ChatGPTをMacアプリにするの代わりになるもの|手放してよい機能

ChatGPTをMacアプリにする代わりの手を探している人は、たいてい公式アプリを入れられない事情を抱えています。OSの版が足りない、会社の端末で権限が下りない、常駐するものを増やしたくない。ところが代わりを探し始めると、どれも似たように見えて決まりません。理由は単純で、公式アプリが持っている機能をひとかたまりの「アプリ」として見ているからです。中身は5つに分かれていて、そのうち代わりが効くものと効かないものははっきり分かれます。ここでは機能を分解したうえで、手放しても困らないのはどれかを整理します。

公式アプリが持っている機能を、5つに分けて数える

まず何を代替しようとしているのかを言葉にします。macOS版の公式アプリが提供しているものは、おおまかに次の5つです。

  • 画面のどこからでも呼び出せる入口(初期設定ではOptionとSpaceの同時押しで、最前面に浮かぶ細いバーが出る)
  • ブラウザとは別の独立したウインドウと、Dockに並ぶ専用のアイコン
  • いま手前にあるアプリの中身を読んで会話に渡す仕組み
  • ログインの保持と、複数アカウントの扱い
  • OS標準の通知と、メニューバーからの常駐

この5つは、それぞれ必要とする仕掛けが違います。3つ目だけはmacOSのアクセシビリティ権限という別区分の許可が要り、ここが会社支給の端末で止まる代表格です。1つ目のグローバルな呼び出しも、常駐するプロセスとキーの登録が前提になります。残りの3つは、ブラウザが持っている機能の組み合わせで近いところまで届きます。

つまり「公式アプリの代わり」という問いは、5つのうち自分がどれを使っているかを数える作業に置き換えられます。数えてみると、1日の使い方で実際に触っているのは2つか3つという場合が多く、残りは入れただけで使っていません。使っていない機能の代わりを探す必要はありません。

数え方は簡単です。1週間だけ、開くたびにどこから開いたかを思い出してみます。キーを押して呼び出したのか、Dockのアイコンを押したのか、ブラウザのタブに戻ったのか。この3つの比率が出れば、失って困るものが自然に決まります。記憶があいまいなら、キーの呼び出しを一時的に切ってみるのが手っ取り早い確認になります。切っても困らなければ、そこは代替の対象です。

代わりが効く機能と、効かない機能の線引き

分解した5つを、代替の可否で並べ直します。

機能 ブラウザ由来の手で代われるか 補足
どこからでも呼び出す入口 代われない 常駐と全画面のキー登録が前提。ランチャー系の別ソフトを足す形になる
独立ウインドウとDockのアイコン 代われる SafariでもChromeでも作れる。Command+Tabの一覧にも独立して並ぶ
手前のアプリの中身を読む 代われない アクセシビリティ権限が要る領域。ブラウザからは届かない
ログインの保持と使い分け 代われる 保存領域を分ける作りなら、むしろ分離は強くなる
通知とメニューバー常駐 通知は代われる Dockのバッジ表示までは届く。メニューバー常駐は別の話

線がはっきり出ます。代われないのは1つ目と3つ目、つまり「呼び出し方」と「画面の読み取り」です。逆に言えば、この2つを使っていない人にとって、公式アプリでなければならない理由は薄くなります。

そして3つ目は、権限の性質上そもそも会社の端末では使えないことが多い機能です。管理者側の設定でコード編集を無効にできるとも案内されているため、支給された機械で項目が出てこないのは不具合ではなく設定である可能性が高くなります。この場合、読者はすでにその機能を手放した状態で使っていることになります。

Safariの「Dockに追加」が引き受ける範囲

macOS Sonoma 14から、Safariは開いているページをそのままアプリとして保存できます。メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選び、名前を入れて追加するだけです。作られたものはホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに入り、DockからもSpotlightからも開けます。

WebページをWebアプリとして使う場合、見た目と動作はSafariの中で使うときと変わりません。それでも、Webアプリの使い勝手は若干異なります。 出典: support.apple.com

この「若干異なります」の中身が、代替を考えるうえで効いてきます。Appleの説明では、作られたWebアプリは閲覧履歴・Cookie・Webサイトデータ・設定情報をSafariと共有しません。ブラウザ側でログアウトしても、こちらは別に持っているので影響を受けないということです。名前とアイコンは自由に決められ、通知を配信するサイトであればDockのアイコンに未読の件数がバッジとして出ます。ログイン項目に登録して、起動と同時に開くこともできます。

引き受けるのは、先の表でいう2つ目・4つ目・5つ目の一部です。ツールバーは戻る・進む・共有だけの細いものになり、ブックマークやタブの機能が要るときは共有ボタンから「Safariで開く」でブラウザ側へ渡せます。反対に、呼び出しのキーは付いてきません。Dockかアプリケーションの切り替えから開く形になります。

Chromeの「アプリとしてインストール」が引き受ける範囲

Chromeを主に使っているなら、同じことをChrome側でもできます。右上のその他アイコンから「キャスト、保存、共有」に入り、「ページをアプリとしてインストール」を選びます。サイトによってはアドレスバーの右端にインストールのボタンが出ます。

Chrome側で作ったものは chrome://apps のページでまとめて管理できます。右クリックからショートカットを作ってデスクトップに置く、ログイン時に自動で開くようにする、といった操作もここに集まっています。消すときはアプリのウインドウの右上から「アンインストール」を選び、「Chromeからもデータを削除する」に印を付けるかどうかでログイン状態の扱いが変わります。

Safariの方式との差は、保存領域の持ち方に出ます。Chromeで作ったものは元のプロファイルに紐づくので、ブラウザ側でログアウトすれば同じ状態になります。仕事用と個人用で別のアカウントを使い分けたい場合は、プロファイルを分けたうえで、それぞれのプロファイルからアプリを作る形になります。

もう1つ、Chrome側には名前やアイコンが更新されたときに通知が出る仕組みがあります。更新を承認するか、無視するか、アンインストールするかを選べる作りです。アイコンが別のアプリに似た形へ変わったときは、まずこの通知を疑うよう案内されています。

混同されやすいのが、同じChromeにある「ウェブサイトのショートカットを作成する」という別の機能です。名前が似ていますが、こちらは開く先を指定するだけの入口で、ウインドウとして独立させるかどうかは作るときの選択に委ねられます。Dockに置いたアイコンを押したのにタブが1本増えるだけだった場合、作ったものがこちら側だったという見分け方ができます。狙っているのが独立したウインドウなら、アプリとしてインストールする側を選びます。

手放しても困らない機能は、使い方の頻度で決まる

代替の可否が分かったところで、最後は自分の使い方に当てます。判断の材料は2つだけです。1日に何回開くかと、1回がどれくらい続くか。

短い質問を30回以上投げるような使い方をしている場合、価値の中心は呼び出しの入口にあります。作業中の画面を離れずに聞いて戻れることが効いているので、ここを手放すと体感が大きく落ちます。この人は公式アプリを入れられる条件を優先して探したほうが早く片が付きます。

反対に、資料を添付して長い会話を1日に3回ほどするような使い方なら、入口の速さは支配的ではありません。開いたあとに何十分も留まるので、独立したウインドウとDockのアイコンがあれば足ります。呼び出しのキーは、手放しても困らない側に入ります。

3つ目の型として、アカウントを行き来する使い方があります。仕事用と個人用でログインを分けている場合、価値の中心は呼び出しの速さではなく、どちらの画面を開いているかが一目で分かることに移ります。この人にとっては、保存領域を分けられる方式のほうが実利が大きく、入口の数は2つあってかまいません。手放してよいのは共通の呼び出しキーのほうです。

もう1つ見ておきたいのが、常駐そのものの重さです。メニューバーに項目が増えることを嫌う人や、起動しているものを減らしたい人にとっては、常駐しないほうが利点になります。この場合は機能を失っているのではなく、要らないものを外していることになります。会議中の画面共有で、手前に浮かぶバーが映り込む心配をしなくてよくなる点を挙げる人もいます。

代わりを2つ並べると、かえって散らかる

分解して考えると、つい「入口はランチャー系のソフト、ウインドウはSafariのWebアプリ」といった組み合わせを作りたくなります。これは動きますが、運用の面で1つ落とし穴があります。同じサービスへの入口が2つになると、どちらでログインしているのかが見えにくくなるからです。

Safariで作ったWebアプリは保存領域を共有しないため、ブラウザ側とアプリ側で別々のアカウントに入ったままになることがあります。片方で仕事用、片方で個人用に入っていて、それに気づかないまま共有リンクを開くと、意図しない方の履歴に会話が残ります。入口を増やすなら、どちらがどのアカウントなのかを名前とアイコンで見分けられるようにしておくのが実際的です。

生成AIの窓口は白か黒の丸いマークが多く、Dockが小さく表示されている画面では並べた時点で区別できません。名前とアイコンを自分で決められるかどうかは、見た目の趣味ではなく押し間違いの回数に直結します。

対応サービスの一覧から読み取れること

サイトをアプリにする道具の側から見ると、この判断はもっと前から始まっています。240以上のプリセットからすぐ作れる形で用意されている一覧を眺めると、並んでいるのは会話の窓口だけではありません。タスク管理、会計、デザイン、社内の管理画面。1日中開きっぱなしになる種類のサイトが中心です。どんなサイトが対象になりやすいかは対応サービス一覧で確かめられます。

道具の側が引き受けているのは、先の表で「代われる」と判定した列です。独立したウインドウ、Dockのアイコン、保存領域の分離、通知。どこまでを引き受ける作りなのかはできることに並んでいます。呼び出しのキーや画面の読み取りまで含めて1つにまとめようとすると、必要な権限が跳ね上がり、会社の端末では入らなくなります。分けて考える価値があるのはそのためです。

費用の条件も、手放す機能を決めてから見るほうが比べやすくなります。買い切りか継続課金か、対応するmacOSの版はどこまでかを料金で先に確かめておくと、あとから乗り換える手間が減ります。作ったあとの直し方や消し方については使い方ガイドにまとまっています。

最後に決めることは1つです。5つの機能のうち、今日実際に使っているものに印を付ける。印が1つ目か3つ目に付いていなければ、代わりの候補はすでに手元のブラウザに入っています。

よくある質問

公式アプリの代わりにすると、会話の履歴は引き継がれますか?

会話はアカウントに紐づいてサーバ側に保存されるため、どの入口から開いても同じ履歴が出ます。引き継がれないのはログイン状態のほうです。Safariで作ったWebアプリは閲覧履歴やCookieをSafariと共有しないため、作ったあとに一度ログインし直す場面があります。

呼び出しのキーだけを別のソフトで足すことはできますか?

ランチャー系のソフトにキーを登録して、作ったアプリを開く形にすれば近いことはできます。ただし公式アプリのバーのように最前面へ浮かぶのではなく、アプリそのものが前面に出る動きになります。作業中の画面を隠したくない用途では、この差が体感に出ます。

会社から支給されたMacでも代わりの手は使えますか?

ブラウザの機能で作る方式は、追加のインストールが要らないため通りやすい部類です。一方でアクセシビリティ権限が要る機能は、管理ポリシーで止められていることがあります。まず権限が要らない範囲で作ってみて、足りない機能があれば管理者に確認する順番が安全です。

Safariで作る方式とChromeで作る方式は、どちらを選ぶべきですか?

ふだん使っているブラウザに合わせるのが基本です。アカウントを分けたい場合はSafariの方式が保存領域を共有しない作りになっており、Chromeの方式はプロファイル単位で分ける形になります。機能拡張を使い続けたいかどうかも判断材料になります。

記事一覧へ戻る