Macのchromeでウィンドウ切り替えショートカットが効かないとき
Macでchromeのウィンドウ切り替えショートカットを調べる人の困りごとは、だいたい2つに分かれます。1つは、紹介されているキーを押しても何も起きないというもの。もう1つは、キーは効いているのに、目的の窓に一発で届かないというものです。前者は日本語配列で既定のキーが違うことが原因で、設定を見れば解決します。後者は設定では直りません。ここでは両方の原因を分けて示し、それぞれに対して現実的な打ち手を並べます。
2つのショートカットは、まったく別の仕事をしている
最初に整理しておくべきは、Macには役割の違う切り替えが2つある、という点です。混同したまま調べると、どの記事を読んでも噛み合いません。
1つはアプリを切り替えるものです。Appleの案内では次のように説明されています。
Command-Tab : Switch to the next most recently used app among your open apps. 出典: support.apple.com
Command+Tabで移動できるのはアプリの単位までです。Chromeの窓を10個開いていても、この一覧に出てくるChromeは1つだけです。押した先で前に出るのは、直前に使っていた窓であって、狙った窓ではありません。
もう1つが、同じアプリの中で窓を切り替えるものです。同じ資料には次のようにあります。
Command-Grave accent (`): Switch between the windows of the app you're using. (The character on the second key varies by keyboard. It's generally the key above the Tab key and to the left of the number 1.) 出典: support.apple.com
注目すべきは括弧の中です。2つ目のキーに割り当てられる文字は、キーボードによって変わると明記されています。日本語で書かれた解説の多くはこの一文を落として「Command+`」とだけ書くため、押しても何も起きないという結果になります。
日本語配列では、既定のキーがそもそも違う
macOSは、キーボードの配列ごとに既定のキーの組を持っています。この既定値の表はシステムの中に配列別で用意されていて、英語配列と日本語配列で中身が違います。
- 英語配列: Commandと、Tabの上にあるバッククォートのキー
- 日本語配列: Commandと、アットマークのキー
日本語配列のMacで「次のウインドウを操作対象にする」に割り当てられているのは、Command+@です。日本語配列のキーボードにはバッククォートが同じ位置に無いため、英語圏の解説をそのまま真似ると空振りします。効かないと感じていた人の多くは、この一点だけが原因です。
現在の割り当ては、システム設定のキーボードから、キーボードショートカットを開き、キーボードの項目を見ると確認できます。ここで別のキーに変えることもできるので、記号のキーが押しにくいと感じるなら、使っていない組み合わせに置き換えてしまうほうが早く済みます。なお、この設定はOS全体のもので、Chrome専用ではありません。他のアプリでも同じキーで窓が切り替わります。
巡回では狙えない、という構造の問題
キーが正しく効くようになっても、多くの人が期待した状態にはなりません。理由は、この機能が「選ぶ」ものではなく「順に回す」ものだからです。
Command+Tabがよく使った順に並ぶのに対して、窓の巡回は並び順を選べません。窓が6つ開いていれば、いちばん遠い窓に届くまで最大5回押すことになります。しかも押している最中に順番が変わるため、何回押せば目的の窓かを体で覚えることもできません。
もう1つの落とし穴が最小化です。Dockにしまった窓は巡回の対象から外れます。Appleの資料でもCommand+Mは前面の窓をDockにしまう操作、Option+Command+Mはそのアプリの窓すべてをしまう操作として説明されています。片付けたつもりで最小化した窓は、巡回では二度と出てきません。Dockから直接クリックして戻す必要があります。
さらに厄介なのが、窓の名前です。Chromeの窓の題名は、そのとき開いているタブの題名になります。作業中にタブを移動すれば題名も変わるので、「あの窓」を名前で覚えておくことができません。切り替え先を名指しできないという点で、これは他の多くのアプリと事情が違います。
窓の一覧を出して、目で選ぶ
順に回して当てるのが無理なら、一覧を出して選ぶほうが速くなります。Macには経路が3つあります。
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アプリの窓を並べる: Control+↓を押すと、いま前面にあるアプリの窓だけが画面いっぱいに並びます。Chromeが前面のときに押せば、Chromeの窓だけが対象になります。狙って選ぶという意味では、これがいちばん確実です。
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すべての窓を並べる: Control+↑を押すと、開いているすべてのアプリの窓が並びます。アプリをまたいで探すときに使います。
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ウインドウメニューから選ぶ: メニューバーのウインドウを開くと、下のほうに開いている窓の一覧が出ます。題名で選べるので、題名が安定している窓には有効です。
3つのうち、日常的に効くのはControl+↓です。ただしこれも万能ではありません。窓の中身を縮小して並べるだけなので、同じ管理画面を4つ開いているような状況では、縮小された画面はどれも同じに見えます。結局は開いて確かめることになり、探す作業は残ります。
タブの移動とウィンドウの移動は別の話
検索の途中で混ざりやすいのが、タブの移動です。Chromeではタブの位置に対応した移動が用意されていて、Command+1からCommand+8で左から数えた位置のタブに、Command+9でいちばん右のタブに移ります。Control+Tabで右隣、Shiftを足すと左隣に動きます。
タブの移動は位置で名指しできるため、窓の巡回よりずっと速く正確です。ここに、窓とタブの使い分けの目安が見えます。同じ作業に属する画面はタブとして1つの窓にまとめておくと、Command+1からCommand+8で直接飛べます。逆に、別の作業に属する画面を同じ窓のタブとして並べると、位置がずれ続けて名指しできなくなります。
窓を増やすほど狙って移動できなくなり、タブを増やしすぎると1つ1つが小さくなって見分けがつかなくなります。ウィンドウ切り替えショートカットで解決しようとしている問題の一部は、実はこの分け方の設計で消せます。
デスクトップへの割り当ては、アプリ単位でしかできない
もう1つ、設定では越えられない制限があります。Dockのアイコンを右クリックしてオプションを開くと、このデスクトップ、すべてのデスクトップ、といった割り当てが選べます。作業スペースを分けて使っている人には便利な機能ですが、この割り当てはアプリの単位でしか指定できません。
つまり、Chromeの窓のうち経理の画面だけを2番目のデスクトップに固定する、という指定はできません。Chromeというアプリ全体に対する指定になってしまいます。窓を手で動かせばその場ではデスクトップをまたげますが、次に開いたときに元の位置へ戻る保証はありません。
ここまでの制限には共通点があります。Command+Tabの枠が1つしかないのも、デスクトップへの割り当てがアプリ単位なのも、Dockのアイコンが1つなのも、すべてMacがChromeを1つのアプリとして扱っているからです。切り替えの手数が減らないのはショートカットの選び方の問題ではなく、行き先に名前が付いていないことの問題です。
手段を比べる
| 手段 | 狙って選べるか | 最小化した窓に届くか | 効く範囲 |
|---|---|---|---|
| 窓の巡回(Command+@) | いいえ | いいえ | 前面のアプリの窓 |
| アプリの窓を並べる(Control+↓) | はい | はい | 前面のアプリの窓 |
| ウインドウメニュー | はい | はい | 前面のアプリの窓 |
| アプリを分ける | はい | はい | Command+Tabの一覧 |
上の3つはすべて「Chromeの中を探す」手段で、共通の上限があります。いちばん下だけが性質が違い、探す対象そのものを減らします。
行き先に名前を付けるという解き方
毎日開く画面が決まっているなら、その画面をChromeの外に出すという選択肢があります。サイトを独立したMacアプリにする道具を使うと、そのサイトだけを持つアプリが1つ作られます。
このとき何が変わるかは、ここまでの制限を1つずつ裏返すと分かります。アプリが別になるのでCommand+Tabの一覧に独立した名前で並び、直接切り替えられます。Dockのアイコンも別になるので、クリック1回で前に出ます。デスクトップへの割り当てもアプリ単位で効くようになるため、経理の画面だけを2番目のデスクトップに固定する、という使い方ができます。題名がタブによって変わることもありません。
何を設定できるかはできることに整理されていて、実際に作る手順は使い方ガイドで追えます。
対応の一覧から読み取れること
サイトをアプリにする道具の側には、よく使われるサービスの設定があらかじめ用意されています。対応サービス一覧を見ると、メール、チャット、表計算、経理、勤怠、学習といった分野が並び、300以上のプリセットからすぐ作れる状態になっています。
この顔ぶれには意味があります。並んでいるのはどれも、開いたまま1日中出入りするタイプの画面です。調べ物のように開いて閉じるだけの用途は、そもそも窓を探す問題を起こしません。窓が増えて困るのは、常駐させている画面が3つも4つもある場合に限られます。
ここから、切り出す対象の決め方が出てきます。今日1日で切り替えた回数がいちばん多い画面を1つだけ選び、それをアプリにする。残りはタブのままで構いません。全部をアプリにすると今度はDockが混雑して、同じ探す作業がDockの中で再発します。導入前に確認されることが多い項目はよくある質問に、費用の考え方は料金にまとまっています。
まず今日やることは2つです。システム設定でCommand+@が割り当てられていることを確認し、そのうえで、いちばん頻繁に行き来している画面を1つ書き出してください。その1つが、切り替えの手数を最も減らせる候補です。
よくある質問
Command+`を押しても何も起きません。壊れているのでしょうか?
日本語配列のキーボードでは、この操作の既定はCommand+@です。英語配列を前提にした解説をそのまま試すと空振りします。システム設定のキーボードから、キーボードショートカットを開き、キーボードの項目で現在の割り当てを確認してください。別のキーに変えることもできます。
窓の巡回で、最小化した窓に切り替えられません。
最小化してDockに入った窓は巡回の対象から外れます。戻すにはDockのその窓を直接クリックするか、Control+↓でアプリの窓を並べて選びます。窓を一時的にどけたいだけなら、最小化ではなく別のアプリを前に出すか、デスクトップを分けて使うほうが取り回しは楽です。
特定のウィンドウに、直接飛べるショートカットは作れますか?
Chromeの窓に個別のキーを割り当てる方法は標準では用意されていません。窓の題名が開いているタブによって変わるため、名前を手掛かりにした指定も安定しません。行き先を名指ししたい場合は、その画面を独立したアプリにして、Command+Tabの一覧に別の名前で並べるほうが確実です。
窓を分けるのとタブを分けるのは、どちらがよいですか?
同じ作業に属する画面はタブにまとめると、Command+1からCommand+8で位置を指定して直接移動できます。別々の作業に属する画面を1つの窓に混ぜると、タブの位置がずれ続けて名指しできなくなります。作業の単位で窓を分け、その中はタブで並べるのが、切り替えの手数がいちばん少ない形です。