ClipchampをMacで使う|Windows版がなくても困らない
「clipchamp mac」で調べていて手が止まるのは、たいてい同じ場所です。製品ページには「デスクトップアプリ」と書かれていて、ダウンロードのボタンを押すとMicrosoft Storeに飛び、そこに並んでいるのはWindows版だけ。Mac版がどこにあるのかは、どのページにもはっきり書かれていません。結論から言うと、Mac用のインストーラーは存在しません。これは抜けや不備ではなく、公表されている提供の形がそうなっているだけです。この記事は、Microsoftが公開している対応デバイスの条件を並べたうえで、Macで編集の画面をブラウザのタブから独立した窓に移すときの手順と判断基準を扱います。
Macで使える形は1つに決まっている
Microsoftのサポートページには、動作するデバイスが版ごとに書き分けられています。Windows 11では個人用の動画エディターが最初から含まれていて、タスクバーの検索欄で「Clipchamp」を検索すれば起動します。Windows 10では、Microsoft Store経由でアプリケーションとしてインストールできます。ここまではWindowsの話です。
Macについての記述は、同じページの次の段落に出てきます。
Clipchampは、デスクトップまたはラップトップ コンピューター上の Microsoft Edge または Google Chrome でも、app.clipchamp.com に移動して実行されます。 これは、Windows、Mac、Linux、Chromebook で動作します。 出典: support.microsoft.com
つまりMacでの入口はブラウザ1本です。同じページには、デスクトップ版のエディターはタブレットやスマートフォンといったモバイル端末では使えないとも書かれています。iPadで代わりにする道も塞がっているので、「Macで使えない代わりにiPadで」という逃げ方は成立しません。スマートフォン向けにはiOS版のモバイルアプリが別に用意されていますが、こちらは撮影と手早い編集に寄せた別の製品です。
職場や学校のアカウントで使う版も、条件は同じ並びです。Windows、Mac、Linuxのノートパソコンまたはデスクトップで、EdgeかChromeから使えると書かれています。入口はMicrosoft 365のアプリの一覧、Microsoft 365 for the webのスタートページ、新規作成のページ、OneDriveとSharePointの「新規」メニューなど複数あります。Macの利用者は、個人用でも職場用でも、ブラウザから入る形になります。
対応ブラウザに挙がっているのはEdgeとChromeの2つ
ここが、Macでの置き方を決めるうえでいちばん効いてくる一行です。読み飛ばしやすいのですが、対応ブラウザとして名前が挙がっているのはMicrosoft EdgeとGoogle Chromeの2つだけです。Safariは、この文にも、対応デバイスのページのほかの場所にも出てきません。
この事実は、Macで最初に思いつく手を1つ潰します。macOS Sonoma 14以降には、SafariでWebページを独立したアプリとして保存する機能があります。Appleのサポートページにはこう書かれています。
Webアプリがホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに保存され、DockやSpotlightからも開けるようになります。 出典: support.apple.com
メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選ぶだけで、費用もかかりません。ほとんどのサイトではこれが最短の正解です。ただしClipchampに限っては噛み合いません。Safariで作ったWebアプリの中身はSafariなので、窓の見た目を整えても、動かしているエンジンは対応ブラウザに挙がっていないものから変わりません。動画編集は、対応していないエンジンで動かしたときの不具合が、読み込み時ではなく書き出しの途中や特定の形式で出る種類の作業です。締め切りのある仕事では避けたい形です。
したがってMacでの選択肢は次の4つに整理できます。
| 置き方 | エンジン | 対応ブラウザとして明記 | Dockに独立した窓 |
|---|---|---|---|
| ChromeかEdgeのタブで開く | Chromium | 明記されている | 出ない |
| Safariの「Dockに追加」 | WebKit | 明記されていない | 出る |
| Chromiumエンジンの窓を作る | Chromium | ChromeとEdgeと同じエンジン | 出る |
| Windows版デスクトップアプリ | Chromium | Windowsのみ | macOSには無い |
残るのは3行目です。手元にあるChromium系のブラウザをそのままエンジンとして使う窓なら、Microsoftが名前を挙げているエンジンで動かしたまま、タブバーの無い窓に移せます。下で動いているブラウザが変わらないので、対応ブラウザの話は最初から論点になりません。この種の道具で何ができるのかはできることに整理されています。
無料で書き出せる範囲と、Microsoft 365で増える範囲
料金の情報が古いまま残っているのも、この検索がこじれる原因の1つです。月額の専用プランがあると書いている記事が今も残っていますが、現在の料金ページに並んでいるのは、無料のプランと、Microsoft 365 PersonalまたはFamilyのサブスクリプションに含まれるPremium機能の2列です。
| 項目 | 無料 | Microsoft 365のPremium |
|---|---|---|
| 書き出しの解像度 | 最大1080p HD | 最大4K UHD |
| 透かしのない書き出し | 含まれる | 含まれる |
| AI動画・オーディオ編集ツール | 含まれる | 含まれる |
| 画面・カメラ・ボイスレコーダー | 含まれる | 含まれる |
| ストック素材とフィルター | 無料のもの | プレミアムのもの |
| ブランドキット | 含まれない | シングルブランド |
| コンテンツのバックアップ | 含まれない | 含まれる |
この表から読み取るべき点は1つです。無料のプランは体験版ではありません。書き出しの本数に制限はなく、透かしも入らず、1080pまで出せます。社内の共有やSNSに載せる用途なら、これで足ります。Premiumへ進む理由は4Kでの書き出し、プレミアムのストック素材、ブランドキット、バックアップの4つに絞られ、どれも基本的な編集そのものの話ではありません。今の表記を自分で確かめたい場合は、Clipchampの料金ページに2列の比較がそのまま出ています。
推奨されているのは8GB以上、望ましいのは16GB以上
窓の話に入る前に、同じサポートページに書かれている機械の条件を読んでおく価値があります。快適に編集するために推奨されるのは、メモリが8GB以上で、16GB以上であればより良く、比較的新しいWindows、Mac、Linuxのコンピューターだと書かれています。
この数字は、ブラウザに余計なものが無い状態を想定して書かれています。複数の映像トラックを並べ、プレビューを再生し、書き出しを走らせるという作業は、Webページに要求する処理としてはかなり重いほうです。8GBのMacで、同じブラウザの中に30枚のタブと配信サイトとチャットが同居していれば、エディターはその残りで動くことになります。
ここに、見た目の整理とは別の、実務的な理由が出てきます。独立した窓は、専用のプロファイルを持つ1枚のページです。ほかのタブとメモリを取り合わず、隣のタブを閉じるつもりの操作で消えることもありません。数分かかる書き出しを走らせている最中に、誰かがウィンドウを閉じて全部やり直しになる事故は、タブで作業している限り起こり続けます。
個人用と職場用でサインインが混ざる
Clipchampには、見た目がほとんど同じで中身が違う2つの版があります。個人用のアカウントに紐づく版と、組織のMicrosoft 365に紐づく職場・学校用の版です。Macではどちらも同じブラウザから入るため、両方を持っている人は必ずサインインの衝突に当たります。
- 職場のアカウントで保存したプロジェクトは、個人のアカウントでは一覧に出ない
- 使えるストック素材やブランドキットの範囲が、後ろにあるサブスクリプションで変わる
- ブラウザは1つのプロファイルで1つのMicrosoftアカウントしか保持しないため、切り替えるたびにサインアウトとサインインが要る
ここで窓を分ける意味が、見た目の話から実務の話に変わります。窓ごとにログイン状態を完全に分けられるので、仕事用と個人用のエディターをDockに2つ並べ、どちらもサインイン済みのまま使えます。名前はアカウントで付けるのが正解です。同じ名前のアイコンが2つ並んでいると、1か月後には区別できなくなります。
保存先の事故も、これで消えます。仕事の動画は組織の保管場所に、個人の動画はそうでない場所に置くべきですが、間違ったアカウントのまま編集を始めることが、置き場所を間違える最短の道です。窓を分けておけば、窓そのものが選択になります。作る手順は使い方ガイドが順を追って説明しています。
窓を作った直後に確かめる3つの許可
Clipchampの録画機能は、カメラとマイクと画面を使います。macOSではこれらの許可がアプリケーション単位で管理されるため、新しく作った窓は、システムから見れば新しいアプリケーションです。ここを知らないまま本番の収録を始めると、何も映っていないファイルができあがります。
最初のひと回しは、編集ではなく許可の確認に使います。
- レコーダーを開いてカメラの撮影を始め、macOSの確認に答える
- マイクの録音を始め、同じように答える
- 画面の収録を始め、同じように答える
確認のダイアログが出ないまま何も記録されない場合は、「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」を開きます。「画面収録とシステムオーディオ録音」と「カメラ」の一覧には、アプリケーションが個別に並びます。サイトをアプリにする道具で作った窓も、一度要求を出せば自分の名前でそこに現れます。
同じひと回しで、あと2点を見ておきます。1つはサインインです。職場のアカウントの認証は別の窓で開くことが多いため、ポップアップを全部遮る設定にしていると、必要な画面が出ないまま止まります。遮らない設定か、認証は通して広告は遮る設定にしておきます。もう1つはファイルの出入りです。素材の読み込みと書き出しの保存はどちらもブラウザのファイルダイアログを通るので、書き出したファイルが想定した場所に落ちることを先に確かめます。費用の考え方は料金に出ています。
対応サービスの並びから見える、窓にすべきサイトの条件
サイトをアプリにする道具の対応サービスの一覧を見ていくと、作業系のサービスが一群として並んでいます。Canva、Figma、CapCut、draw.io、Excalidraw、Notion、Googleドキュメント。ジャンルはばらけていますが、共通点は3つです。ログインが前提であること、1回の利用が数十分以上続くこと、そして開いている間はほかのタブと混ぜたくないこと。
Clipchampはこの3つに全部当たります。Microsoftアカウントでのサインインが前提で、編集は数十分から数時間続き、書き出しの最中に閉じられたくない。逆にこの基準で落ちるものもはっきりします。使い方を調べるための解説記事、1回だけ使う変換サイト、ログインを持たないツール。これらはタブのままで足ります。
数の目安も置いておきます。300以上のプリセットからすぐ作れる形になっていても、Dockに出す価値があるのは、この3条件に当たるものだけです。40枚のタブを40個のアイコンに置き換えるのは、散らかり方を変えただけで、探す手間は減りません。どんなサイトが用意されているかは対応サービス一覧で確かめられます。判断に迷う点があればよくある質問に目を通してから決めると、作ってから戻す手間が省けます。
よくある質問
MacにClipchampのアプリをインストールできますか?
できません。デスクトップアプリはWindows向けの提供で、Windows 11には最初から含まれ、Windows 10ではMicrosoft Storeから入れる形です。Macではapp.clipchamp.comをMicrosoft EdgeかGoogle Chromeで開いて使うと公表されており、この形はWindows、Mac、Linux、Chromebookで動作すると書かれています。
SafariでClipchampを使っても大丈夫ですか?
Microsoftの対応デバイスのページに名前が挙がっているのはEdgeとChromeの2つで、Safariは出てきません。すべての機能が動かないという意味ではありませんが、対応として明記されていないエンジンで動画を扱うことになります。不具合が書き出しの途中で出る種類の作業なので、締め切りのある仕事ではChromium系のブラウザを選ぶほうが安全です。
無料のままで動画を書き出せますか?
書き出せます。無料のプランでも透かしは入らず、本数の制限もなく、1080pのHDまで出せます。4K UHDでの書き出し、プレミアムのストック素材、ブランドキット、コンテンツのバックアップはMicrosoft 365 PersonalまたはFamilyのサブスクリプションに含まれる機能です。月額の専用プランがあると書いている記事は、今の料金ページより前の情報です。
独立した窓にすると、画面収録やカメラは使えますか?
使えますが、許可を取り直す必要があります。macOSはカメラ、マイク、画面収録の許可をアプリケーション単位で管理するため、新しく作った窓は別のアプリケーションとして扱われます。「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」で、その窓の名前に許可が付いているかを確かめてから、本番の収録に使ってください。