Macのコンテンツブロッカーを選ぶ|アプリでも効かせる条件
Macのコンテンツブロッカーは、入れれば終わりという道具ではありません。Safariの設定のどこで切り替わるのか、サイトごとに止めるにはどこを触るのか、そしてDockに出した独立した窓では効くのか。この3つを知らないまま入れると、効いているのか効いていないのか分からない状態になります。結論を先に書くと、選ぶ前に見るのは価格の形と必要なmacOSの版、入れた後に見るのはサイトごとの設定と窓ごとの設定です。
コンテンツブロッカーは、Safariの設定の中で独立した枠を持っている
Safariには、サイトごとにふるまいを変える設定の一覧があります。Appleのユーザガイドでは、「Safari」から「設定」を開いて「Webサイト」をクリックすると、左側にカスタマイズできる設定が並ぶと説明されています。その一覧の中にコンテンツブロッカーが入っています。
コンテンツブロッカー オン: 広告やその他の不要なコンテンツがサイトに表示されないようにします。 オフ: サイトの広告やその他の不要なコンテンツをブロックしません。 出典: support.apple.com
同じ画面にはリーダー、自動再生、ページの拡大と縮小、カメラ、マイク、位置情報、ポップアップウインドウなどが並びます。設定を選んでから、サイトの横のポップアップメニューで目的の選択肢を選ぶ形です。ここが大事な点で、コンテンツブロッカーはサイト単位でオンとオフを決められます。遮断で表示が崩れるサイトを見つけたら、道具そのものを切るのではなく、この画面でそのサイトだけをオフにします。
もう1つの枠が機能拡張です。Appleのサポート情報では、機能拡張はSafariのメニューバーの「Safari」から「設定」を開いて「機能拡張」で有効にする流れです。遮断の道具は、この2つのどちらかの形、または両方の形でSafariに入ります。App Storeから入れたアプリが一覧に出てこないときは、探している場所が違う可能性があります。
App Storeに並ぶ主なものと、価格の形
Macで選べるものは、価格の付け方が3通りに分かれます。App Storeの日本のページで確かめられる内容を並べます。
- AdGuard Mini(旧称はAdGuard for Safari)。本体は無料で、アプリ内課金として1か月800円と1年6,000円が用意されています。macOS 12以降が必要で、日本語を含む34の言語に対応しています
- 1Blocker。本体は無料で、アプリ内課金として月額300円、年額2,000円、買い切り6,000円が並んでいます。macOS 13.0以降が必要で、日本語を含む9つの言語に対応し、評価は1,662件で4.4です
- Wipr 2。本体が800円の買い切りで、ブラウザの外まで遮断を広げる追加機能が別に800円と4,000円で用意されています。macOS 14.0以降が必要で、表示は英語のみ、評価は21件で4.8です
- uBlock Origin Lite。無料で、アプリ内課金はありません。macOS 13.5以降が必要で、表示は英語のみ、評価は121件で4.7です
いずれも表示は税込価格です。無料で始められるものと、最初に一度だけ払うもの、毎月または毎年払うものが混在しているため、総額で比べるには使う年数を決める必要があります。3年使う前提なら、年額2,000円のものは6,000円になり、買い切り6,000円と並びます。5年使うなら買い切りのほうが安くなります。毎年フィルタの整備が続くかどうかを重く見るなら年額、費用を固定したいなら買い切り、という分かれ方です。
日本語のサイトを見るなら、対応言語とフィルタの地域を確かめる
日本語の表示に対応しているかは、設定の項目名が読めるかという話に見えますが、実際にはフィルタの中身のほうが効きます。日本のサイトに出る広告や同意の確認の帯は、地域別のフィルタに入っています。設定画面で地域別の一覧を選べるかどうかを、入れた直後に確かめます。
表示言語そのものは、AdGuard Miniと1Blockerが日本語に対応しており、Wipr 2とuBlock Origin Liteは英語のみです。英語のみのものでも項目数は多くないため、遮断の強さを選ぶ場所とフィルタの一覧を足す場所の2つを押さえれば使えます。設定を細かく詰めたい場合や、家族で共有するMacに入れる場合は、日本語で表示されるほうが説明の手間が減ります。
評価の件数の差も、判断の材料になります。件数が多いものは長く配布されていて、不具合の報告と修正の往復が積み上がっています。件数が少ないものは、良い評価が並んでいても母数が小さい点を踏まえて読みます。どちらが良いという話ではなく、数字の意味が違うという話です。
遮断はSafariが行うため、軽い代わりに融通が利かない
コンテンツブロッカーという枠は、仕組みの上でも拡張機能と違います。アプリ側が遮断のルールをあらかじめSafariに渡し、実際に遮断するのはSafariです。1BlockerのApp Storeの紹介文でも、Safariにフィルタを提供するだけでWebページそのものを変えることはなく、Safariは何を遮断すべきかを事前に把握していると説明されています。uBlock Origin Liteの紹介文にある「完全に宣言的」という説明も同じ考え方です。
この作りには利点があります。遮断のために常に動き続ける処理が要らないので、CPUとメモリの消費が小さく、電池の持ちにも響きにくくなります。ページを開くたびに拡張機能が割り込む形ではないため、表示の速さにも効きます。
一方で不得手もあります。ページの状況を見ながら判断する処理が入れられないため、遮断を検出して表示を止めるようなサイトへの対処が弱くなります。uBlock Origin Liteの開発元の質問集でも、遮断への対抗策を入れているサイトや表示の崩れを抑える場面では不利になる場合があると書かれています。よく開くサイトでうまくいかないときは、設定を細かく詰めるより、ページの内容に介入できる形の拡張機能を併せて検討するほうが早いことがあります。ただし遮断の道具を2つ動かすのは避ける、という原則は変わりません。
ブラウザの外まで広げたい場合は、別の層になる
Safariのコンテンツブロッカーは、Safariの中だけで働きます。ほかのアプリの中に出る広告や、ゲームの中の表示には届きません。ここを広げたい場合は、通信の層で遮断する道具に移ります。
Wipr 2には、遮断をデバイス上のすべてのアプリへ広げる追加機能が用意されています。App Storeの紹介文では、これは通信の層で働くもので、VPNとは違って利用者のデータには一切触れられず、VPNと併用できると説明されています。価格はアプリ内課金として800円と4,000円の2つが並んでいます。AdGuardも、Safari向けの製品とは別に、Mac全体を対象とする製品と、ネットワークの層で遮断する仕組みを公開しています。
広げるかどうかの判断は、困っている場所で決まります。困っているのがブラウザの中だけなら、Safariのコンテンツブロッカーで足ります。ほかのアプリの表示まで気になるなら層を1つ下げることになりますが、通信の経路に手を入れる話になるため、会社から支給されたMacでは先に取り扱いの決まりを確かめる必要があります。仕事で使うMacと私物のMacで、同じ構成にしないほうがよい場面です。
効かないときに見る場所は、4つに絞れる
入れたのに広告が出る場合、確かめる順番があります。
- 第1段。Safariの「設定」の「Webサイト」で、そのサイトのコンテンツブロッカーがオフになっていないか。以前に表示が崩れて切ったまま忘れている場合があります
- 第2段。遮断の道具を2つ以上入れていないか。uBlock Origin Liteの開発元は、ほかのコンテンツ遮断の道具と併用しないよう明記しており、症状が出たらほかの拡張機能をすべて切って確かめる順番を案内しています
- 第3段。更新した直後ではないか。同じ開発元の案内では、拡張機能が更新されたあと完全に準備が整うまで数秒かかり、有効にしているルールセットが多いほど時間がかかると説明されています。Safariが新しいルールセットを自分の形式に変換するためです
- 第4段。上の層で制限がかかっていないか。遮断の道具を配布している別の開発元は、次の点を挙げています
この画面で AdLock の機能拡張がグレーアウトし有効にできない場合、iPhone / iPad の「スクリーンタイム」の設定が影響している可能性があります。 出典: jp.adlock.com
同じ案内では、「設定」から「スクリーンタイム」、「コンテンツとプライバシーの制限」、「App Store、メディア、Web、およびゲーム」、「Webコンテンツ」と進んで「制限なし」を選び、そのうえで機能拡張の画面に戻る手順が示されています。有効にしたあとは元の設定に戻してよいとも書かれています。家族で使う端末や、成人向けサイトの制限を入れている端末では、この層が先に効いていることがあります。
Dockに出した独立した窓で効かせるには、窓ごとの設定を見る
macOS Sonoma 14以降では、Safariで開いているページを独立した窓として保存できます。遮断の効き方はここで変わります。
Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。 出典: support.apple.com
同じ案内では、窓ごとの設定に「機能拡張」タブがあり、そこで機能拡張を有効または無効にできると書かれています。ツールバーに遮断のボタンを出すかどうかは「ナビゲーションコントロールを表示」の項目で決まります。普段のSafariでは広告が消えるのに、Dockに出した窓では出てくる場合は、この2つを順に見ます。
窓ごとに設定が分かれることは、使い道のある性質です。遮断を入れると表示が崩れる社内の管理画面は、その窓だけ切ります。ニュースを読む窓では強めに効かせます。1つのブラウザで両立させようとすると、サイトごとの例外を積み上げることになりますが、窓を分ければ設定は1つずつで済みます。
遮断の要否で、画面を分ける
画面を独立させる候補を選ぶ基準は、1日に開く回数と、遮断を効かせたいかの2つです。毎日開く業務の画面は遮断が不要で、切っておいたほうが表示の事故が減ります。調べ物やニュースは普段のブラウザに残し、遮断を効かせたままにします。この線引きを先に決めておくと、設定を何度も行き来せずに済みます。
作り方をそろえたいときは、URLとアイコンを指定して独立した.appを作る道具を使う経路があります。SafariのWebアプリはmacOS Sonoma 14以降が前提で、ChromeのPWAはサイトによってインストールの項目が出てきません。300以上のプリセットから選ぶだけでアプリにできる作りであれば、URLの入力もアイコンの用意も要りません。作れる範囲はできることに整理されており、実際の流れは使い方ガイドで確認できます。
選ぶときに見る点は3つです。ログイン状態をアプリごとに分けられるか、窓の大きさと位置を覚えるか、ブラウザが更新されたあとも作った.appがそのまま動くか。遮断の効きを画面ごとに変えたい場合は、1つめが効きます。すでに登録されている画面は対応サービス一覧で確認でき、無料で作れる範囲は料金、細かい挙動の違いはよくある質問に書かれています。
まずは無料で始められるものを1つ入れて、よく開くサイトで足りるかを1週間試します。足りない画面が出てきたら、有料の機能を足すか、その画面を独立した窓に分けるかを決めます。両方を同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。
よくある質問
Macのコンテンツブロッカーは無料で使えますか?
無料で使えるものがあります。uBlock Origin Liteはアプリ内課金なしの無料で、macOS 13.5以降に対応しています。AdGuard Miniと1Blockerは本体が無料で、追加の機能がアプリ内課金として用意されています。Wipr 2は本体が800円の買い切りです。
サイトごとに遮断を止められますか?
止められます。Safariの「設定」から「Webサイト」を開き、左側の一覧でコンテンツブロッカーを選ぶと、サイトごとにオンとオフを切り替えられます。遮断で表示が崩れるサイトを見つけたときは、道具そのものを切るのではなくこの画面で対象のサイトだけを切ります。
遮断の道具を2つ入れると強くなりますか?
uBlock Origin Liteの開発元は、ほかのコンテンツ遮断の道具と併用しないよう明記しています。遮断が効かない、表示が崩れるという症状が出たときは、まず遮断の段階を変えて様子を見て、それでも直らないならほかの拡張機能をすべて切って確かめる順番が案内されています。
Dockに追加した画面で広告が出ます。設定はどこですか?
Dockに追加した窓はSafariと設定情報を共有しません。窓を開いてメニューバーでアプリ名をクリックし、「設定」の「機能拡張」タブで有効にします。ツールバーにボタンが見えないだけの場合は、同じ設定の「ナビゲーションコントロールを表示」を確認します。