Chromeのプロファイル切り替えショートカットをMacで作る

Chromeのプロファイル切り替えショートカットをMacで探している人は、たいてい同じ場所で止まっています。右上のアイコンを押して、一覧から目的のものを選ぶ。この2手を1日に何十回も繰り返している。キーボードの割り当てを探しても見つからず、設定のどこにもそれらしい項目がない。見つからないのは探し方が悪いからではなく、Macのブラウザには最初からその機能が用意されていないからです。ここでは、なぜ無いのかを押さえたうえで、実際に使える3つの経路と、その選び分けを整理します。

Windowsにあってmacにない機能が、この検索の出発点

同じChromeでも、Windowsではプロファイルを追加した直後にデスクトップへの近道を作るかどうかを聞かれます。作れば、そのプロファイル専用のアイコンがデスクトップに並び、ダブルクリックすれば目的のプロファイルだけが開きます。切り替えという操作自体が消えるわけです。

Macにはこれがありません。理由はOSの作りの違いにあります。Windowsの近道は、実行ファイルへのパスと引数の組を1つのファイルに保存したものです。同じ実行ファイルを違う引数で呼ぶ近道をいくつでも並べられます。一方でmacOSのアプリはフォルダを1つの束にしたもので、ブラウザの本体はアプリケーションフォルダに1つだけ置かれます。Dockのアイコンも1つ、Command+Tabの並びに出てくる枠も1つです。プロファイルが5つあっても、Macから見ればブラウザは1つのアプリでしかありません。

この違いを踏まえると、やるべきことがはっきりします。Macで近道を作るというのは、引数付きの起動を包んだ小さなものを自分で用意する作業になります。標準の設定画面をいくら探しても出てこない代わりに、いったん作ってしまえばWindowsの近道と同じか、それ以上のことができます。

プロファイルの実体は、画面の名前ではなくフォルダ名

作業の前に、切り替えの対象が何なのかを正確に押さえておきます。ここを飛ばすと、後で書く1行が動きません。

ブラウザのプロファイルは、利用者ごとのデータをまとめたフォルダです。Macでは次の場所に置かれています。

~/Library/Application Support/Google/Chrome/

この中を見ると、Default、Profile 1、Profile 2 といった名前のフォルダが並んでいます。最初に作られたものがDefaultで、以降は作った順に番号が振られます。ここで多くの人がつまずくのが、画面に出ている表示名とフォルダ名がまったく一致しないという点です。プロファイルの一覧に「仕事」「個人」「検証用」と並んでいても、フォルダ側はProfile 3、Profile 12、Profile 20 のような番号のままです。

しかも番号は連続しません。過去に作って削除したプロファイルがあると、その番号は空いたまま残り、新しいものにはさらに大きい番号が付きます。プロファイルを何度か整理した環境では、一覧の上から3番目がProfile 17だった、ということが普通に起こります。

対応づけは、同じフォルダの中にあるLocal Stateという設定ファイルに記録されています。この中の profile.info_cache という項目に、フォルダ名と表示名の組が並んでいます。ターミナルで開いて確認するのがいちばん確実です。表示名だけを頼りに番号を推測すると、別のプロファイルが開くか、空のプロファイルが新しく作られてしまいます。

ターミナルの1行で、狙ったプロファイルだけを開く

フォルダ名が分かれば、あとは起動時にそれを指定するだけです。使うのは profile-directory という起動オプションで、これはブラウザ本体に組み込まれている正式なものです。Macでは次のように書きます。

open -na "Google Chrome" --args --profile-directory="Profile 3"

この1行には、外すと動かない箇所が2つあります。

1つはnです。macOSのopenコマンドの説明書には、nについて「すでに起動していても新しい実体を開く」と書かれています。これを省くと、ブラウザがすでに動いている場合、OSは単に前面に出すだけで、後ろに付けた引数を渡しません。指定したはずのプロファイルが開かず、今開いている窓がそのまま出てくるのは、ほぼこれが原因です。

もう1つは args です。同じ説明書には「以降のすべての引数は、開いたアプリケーションにそのまま渡される」とあります。args より前に書いた文字列はopenコマンド自身への指示として解釈されるため、位置を間違えるとオプションが届きません。

開発者向けの資料でも、プロファイルを分けて起動する方法は近道を作る前提で説明されています。

Create a shortcut or alias that launches the browser, using the --user-data-dir command-line argument to specify the profile's location. 出典: chromium.org

ここで挙げられている user-data-dir は、profile-directory とは別物です。user-data-dir はデータの置き場所ごと丸ごと分ける指定で、ログイン情報も拡張機能も完全に独立します。普段の一覧に出ている既存のプロファイルを開きたいだけなら profile-directory が正解です。なお、この資料のMac向けの手順は現在も「To be provided」と書かれたまま空欄になっています。Macでの近道づくりが情報として整っていないのは、そもそも公式の手順が用意されていないためです。

1行をアイコンに変える3つの経路

ターミナルに毎回打ち込むのでは近道になりません。この1行をクリックできる形にする経路が3つあります。

  • Automatorで作る: アプリケーション形式で新規作成し、シェルスクリプトを実行する処理を1つ置いて、上の1行を貼り付けて保存します。保存したものはアプリとして扱われるので、Dockに置けますし、情報を見るの画面からアイコンも差し替えられます。プロファイルの数だけ作れば、それぞれ専用の入口ができます。

  • ショートカットアプリで作る: 標準で入っているショートカットに、シェルスクリプトを実行する処理を置いて同じ1行を入れます。Dockに追加でき、キーボードの割り当ても付けられるので、Command+Option+1 のような組み合わせで仕事用プロファイルを直接開く、といった使い方ができます。プロファイル切り替えショートカットという言葉に、いちばん近い答えがこれです。

  • 実行ファイルとして作る: 拡張子をcommandにしたテキストファイルに1行を書き、実行の許可を与えるだけでも動きます。作るのは速いのですが、ダブルクリックのたびにターミナルの窓が開くため、常用には向きません。

アイコンについては、どの経路でも差し替えを強く勧めます。3つの入口が同じ既定のアイコンで並んでいたら、Dockを見ても見分けがつかず、結局は開いてから確かめることになります。仕事用は青、個人用は緑のように、色で分けるだけでも判断は速くなります。

この経路で解決すること、しないこと

ここまでの方法は「目的のプロファイルを開く」を確実に速くします。ただし、解決しないことも同じくらいはっきりしています。

解決するのは入口です。一覧を出して選ぶ2手が、アイコン1つに置き換わります。キーボードの割り当てを付ければ、手をマウスに移すこともなくなります。

解決しないのは、開いた後です。作ったものはあくまで起動の合図であり、開いた窓の持ち主はブラウザ本体のままです。Command+Tabの並びにはブラウザが1つ出るだけで、プロファイルごとの枠は増えません。窓を10個開いていれば、その中から目的のものを探す作業は前と変わらず残ります。Dockのアイコンも1つのままです。

つまり、1日に何度も行き来する画面がある場合、近道を作っただけでは半分しか解決しません。朝1回だけ開いて閉じない使い方なら十分ですし、逆に1日中出たり入ったりする画面なら、次に説明する経路のほうが効きます。この見極めを先にやっておくと、作ったのに結局使わなかった、という状態を避けられます。

ブラウザの機能でアイコンを作る経路

ブラウザ自身にも、サイトをアプリの形にする機能があります。現在の版では、右上のメニューからキャスト・保存・共有と進み、ページをアプリとしてインストールを選びます。以前は別の名前で案内されていた機能で、選ぶ場所が変わったため見つけられないという声が多い項目です。

この方法で作られたものは、独立したアイコンとDockの枠を持ちます。Command+Tabの並びにも別の名前で出てくるので、先ほどの「開いた後が解決しない」という問題は解消します。

一方で、注意点も2つあります。1つは、作られたアプリがインストール元のプロファイルに属することです。仕事用プロファイルで作ったものは仕事用のログイン状態で開き、個人用で同じサイトを開きたければ、個人用プロファイルに切り替えてもう一度作る必要があります。もう1つは、これがブラウザの機能である以上、ブラウザ本体の更新や設定の変更に影響を受けることです。アドレス欄や戻る進むといった要素の出方も、通常の窓とは違います。

用途を絞れば十分に実用的です。メール、チャット、社内の管理画面のように、1つのアカウントでしか使わない画面を1つずつ切り出す使い方には向いています。

サイトそのものを独立したアプリにする経路

3つ目は、ブラウザの外に出す経路です。よく開くサイトを独立したMacアプリとして作ってしまうやり方で、Webアプリ化ツールと呼ばれる道具がこれにあたります。

この経路の要点は、プロファイルを切り替えるという発想そのものを捨てる点にあります。プロファイルを分けたい動機の多くは、ログイン状態を混ぜたくないことにあります。同じサービスの2つのアカウントを行き来したい、仕事の記録を個人の閲覧履歴に混ぜたくない、といった理由です。それぞれのサイトが独立したアプリになり、それぞれが独立したログイン状態を持てば、切り替える対象がなくなります。

道具の側でできることは、アイコンの差し替え、開いたときに表示するアドレスの固定、アプリの外へ出るリンクの扱いなどです。具体的にどこまで設定できるかはできることにまとめられており、作る手順そのものは使い方ガイドで追えます。

3つの経路を、何で選ぶか

同じ「プロファイルを速く開く」でも、向き不向きははっきり分かれます。

経路 入口が速くなる 開いた後も速くなる 作る手間
起動の1行を包む あり なし 5分程度
ブラウザのアプリ化 あり あり 数十秒
独立したアプリにする あり あり 数分

選び分けの目安は次の通りです。開くのは朝1回で、あとは閉じないという画面なら、起動の1行を包む経路で十分です。1日に何度も出入りする画面なら、独立した枠を持つ後ろ2つが要ります。同じサービスを複数のアカウントで並行して使いたいなら、いちばん下の経路がいちばん素直です。

対応の一覧から読み取れること

サイトをアプリにする道具の側では、よく使われるサービスの設定があらかじめ用意されています。対応サービス一覧には、メール、チャット、表計算、経理、学習といった分野のサービスが並んでおり、300以上のプリセットからすぐ作れる状態になっています。

この一覧の並びには、Macでプロファイルを分けている人の実態がそのまま出ています。並んでいるのは、まず業務で毎日開くもの、次に個人と仕事で別のアカウントを持ちやすいもの、そして家族や取引先と共有しがちなものです。プロファイルを増やす動機と、アプリとして切り出したいサイトの顔ぶれは、ほとんど重なります。

裏を返すと、プロファイルを5つも6つも作っている環境では、実際に分けたいのはプロファイルではなく個々のサイトである場合が多い、ということでもあります。分ける単位をサイトに下げると、切り替えの操作は消え、Dockに並んだアイコンを押すだけになります。費用の考え方は料金に、導入前に確認されることの多い項目はよくある質問にまとまっています。

まず1つだけ試すなら、いちばん頻繁に開いている画面を選んでください。その1つで手数が減ることを確かめてから、残りを移すかどうかを決めるのが確実です。

よくある質問

プロファイルのフォルダ名は、どうやって確かめますか?

ホームフォルダのLibrary配下、Application Support/Google/Chrome/ の中を見ると、DefaultやProfile 3といったフォルダが並んでいます。表示名との対応は同じ階層のLocal Stateというファイルの profile.info_cache に記録されています。表示名から番号を推測すると別のプロファイルが開くことがあるので、必ずこのファイルで確認してください。

作ったショートカットにキーボードの割り当ては付けられますか?

標準のショートカットアプリで作った場合は付けられます。作成後に詳細の設定でキーの組み合わせを指定すると、その操作だけで目的のプロファイルが開きます。Automatorで作ったものは、そのままではキーを割り当てられないため、クイックアクションとして作り直すか、Dockに置いて使う形になります。

コマンドを実行してもプロファイルが切り替わりません。何が原因ですか?

多いのは2つです。openコマンドにnを付けていない場合、ブラウザがすでに起動していると引数が渡らず、今の窓が前に出るだけになります。もう1つは、指定したフォルダ名が実在しない場合で、このときは空のプロファイルが新しく作られます。指定する文字列は表示名ではなくフォルダ名です。

プロファイルを分けるのと、サイトごとにアプリにするのは何が違いますか?

分ける単位が違います。プロファイルは利用者単位でデータをまとめるので、その中では複数のサイトが同じ枠を共有します。サイトごとにアプリにすると、サイト単位でアイコン、ログイン状態、窓が独立します。同じサービスの複数アカウントを並行して使うなら後者のほうが手数は少なく、ブラウザの設定や拡張機能をまとめて分けたいなら前者が向いています。

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