電子申請をMacで進める|手続きの画面を専用の窓にする
電子申請 macで調べている人が詰まるのは、Macで使えるのかという問いに対する答えが、手続きの種類ごとに変わってしまう点です。結論から書くと、社会保険や雇用保険の手続きを扱うe-Govには専用のmacOS版アプリがあり、国税のe-Taxソフト(WEB版)はMacではSafariだけが推奨環境です。同じMacの中で、系統ごとに使えるブラウザが違います。この記事では公開されている条件を並べたうえで、手続きの画面を独立した窓に切り出して混ざらないようにする方法を整理します。
「電子申請」はひとつの窓口ではない
検索結果に並ぶページを見ると、e-Gov電子申請アプリケーションの更新の案内、税理士や社会保険労務士がMac環境での実務を書いた記事、年金の手続きに関する説明などが混ざっています。これらは別々の系統の話です。
大きく分けると、行政手続の電子申請は複数の入口を持ちます。厚生労働省や総務省などの各省庁が所管する手続はe-Govから、国税はe-Taxから、地方税は地方税共同機構のシステムからという形です。入口ごとに運営する組織が違い、求められる環境も別に決められています。そのため、あるページに「Macでも使えます」と書かれていても、別の手続きでは同じ条件が当てはまりません。
この構造を先に理解しておくと、調べ物の順序が変わります。「Macで電子申請ができるか」ではなく、「これから出す手続きの入口はどこで、その入口が公開している条件は何か」を1件ずつ確かめる形になります。手続きの数が増えるほど、入口ごとに窓を分けておく価値も上がります。
e-GovがmacOSに示している条件
e-Govを使うには専用のアプリケーションを入れます。macOS版が用意されており、更新も続いています。
事前にお知らせのとおり、本日(3/18)、e-Gov電子申請アプリケーション(macOS版)の更新版の提供準備が整いましたのでお知らせいたします。 出典: shinsei.e-gov.go.jp
このお知らせで案内されているのはmacOS版のバージョン1.1.4です。更新の案内が個別に出されている点からも、Windows版の付属品ではなく、独立した提供物として扱われていることが分かります。
インストール要件も公開されています。CPUは1GHz以上、搭載メモリは2GB以上、使用可能ディスク領域は110MB以上です。対応するOSとブラウザの表は、Windows 11にChrome、Edge、Firefoxが並び、実行環境としてMicrosoft .NET 8.0の32ビット版と64ビット版の両方が必要と書かれています。macOSの行はmacOS 14、macOS 15、macOS 26が挙げられ、ブラウザはChrome、Firefox、Safariの3つ、実行環境の欄は「無し」です。Windows 10は2025年10月にMicrosoftのサポートが終了しているため掲載されていない、という注記も添えられています。
Macのほうが前提が少ない、という点は押さえておく価値があります。Windows側は.NETの導入という追加の関門がありますが、Macは実行環境の指定がありません。ただしインストールには管理者アカウントが必要で、ここは両方に共通です。またブラウザのポップアップブロックを解除する手順が、利用準備の中に独立した項目として置かれています。ブロックが有効なままだと画面が正しく表示されない場合があると書かれており、窓の扱いがそのまま動作に影響する作りになっています。
年金や保険の手続きで先に確かめること
e-Govで扱う手続きのうち、年金や保険に関わるものは電子証明書の要否が分かれます。公開されている一覧表では、社会保険関係手続として「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」や「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」、雇用保険関係手続として「雇用保険被保険者資格取得届」や「雇用保険高年齢雇用継続給付の申請」、労働保険関係手続として「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」が挙げられ、これらの電子申請には電子証明書が必要と書かれています。
同じ社会保険関係手続の欄には「年金加入記録照会・年金見込額試算」も並びます。手続きの性質が照会に近いものと届出のものが同じ系統に入っているため、証明書が要るかどうかは手続き名で1件ずつ確認する形になります。
例外も明記されています。GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーの場合、原則として電子申請対象手続を所管する行政機関の指定により、電子署名を省略できることがあるという注記です。アカウントの種類によって準備の重さが変わるため、どのアカウントで入るかを先に決めたほうが早く進みます。使えるアカウントはe-Govアカウント、GビズID、マイナンバーカード、Microsoftアカウント、Googleアカウントです。
提出したあとの流れも公開されています。申請した手続はマイページに一覧で管理され、処理状況や提出先機関からの通知をいつでも確認できます。状況の確認はパソコンのほかスマートフォンからも可能です。手数料の納付が必要な手続では、Pay-Easy対応の金融機関であればATMやインターネットバンキングから電子納付ができます。審査の結果として公文書が発出された場合は、マイページからファイルをダウンロードして手続完了です。つまり、提出して終わりではなく、あとから何度も開く画面がマイページとして残ります。
国税の側はブラウザの条件が違う
同じMacでも、e-Taxソフト(WEB版)の推奨環境は別に決められています。公開されている表では、Windowsの行がWindows 11とMicrosoft Edge、Google Chromeの組み合わせです。Macintoshの行はmac OS 13(Ventura)がSafari 18.6、mac OS 14(Sonoma)がSafari 18.6とSafari 26.0、mac OS 15(Sequoia)とmac OS 26(Tahoe)がSafari 26.0です。PDF閲覧にはAdobe Acrobat Reader DCが挙げられています。
ここで目立つのは、MacではSafariだけが並んでいる点です。e-GovがMacでChromeとFirefoxとSafariの3つを挙げているのに対し、e-Taxの推奨環境にはSafariしか入っていません。サポートが終了しているOSを含め、表にない組み合わせは推奨環境外となり使用できないおそれがあると注記されています。OSはいずれも日本語版であることが必要とも書かれています。
事前準備セットアップの中身も違います。Windows用はexe形式で約28.1MB、Macintosh用はdmg形式で約7.3MBです。加えてWindowsではChrome ウェブストアからブラウザの拡張機能「e-Tax AP」を入れる手順が必要ですが、Macintoshの手順にはその項目がありません。インストールやバージョンアップには管理者権限が必要という点は共通です。
同じMacで入口ごとにブラウザが変わるという問題
ここまでの条件を並べると、Macで電子申請をする人が抱える面倒の正体が見えます。e-GovはChromeでもSafariでも推奨の範囲に入りますが、e-TaxはSafariだけです。手続きを両方扱う立場の人は、1つのブラウザに統一できません。
ブラウザのタブで運用していると、この差が事故につながります。国税の画面をChromeのタブで開いてしまい、途中の操作で表示が崩れたときに、原因が推奨環境の外にいることなのか、入力した内容の問題なのか切り分けられません。窓を分けて、その窓が使う表示の仕組みを固定しておけば、この切り分けが最初から済んでいる状態になります。
閉じる操作の取り違えも起きます。申請の途中で入力した内容は、画面をまたぐたびに引き継がれる形が多く、調べもののタブを閉じるついでに手続きのタブを閉じると、ログインからやり直しになります。行政のシステムはログインの有効期限が短めに設定されていることが多く、開き直しの手数は思ったより増えます。ブラウザの戻るボタンも同じ種類の危険を持ちます。複数の画面をまたぐ申請は画面内のボタンで進む前提で作られているため、ブラウザ側の戻るを押すと想定外の状態になります。
Macで手続きの画面を独立した窓にする
Macの標準機能でできる手順は2つあり、止まる場所が違います。
1つめはSafariの機能です。macOS Sonoma 14以降で使えます。Safariで対象のページを開き、メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選び、名前を付けて追加します。ホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに保存され、DockからもSpotlightからも開けるようになります。
Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。Webアプリで行ったことは、その中だけで完結します。 出典: support.apple.com
Appleの説明には、この用途で効く設定も載っています。「ナビゲーションコントロールを表示」を切れば、戻るボタンと進むボタンを消せます。名前とアイコンは自由に変えられるので、e-Govのマイページとe-Taxの画面を並べても見分けがつきます。CookieがSafariと分かれるため、同じ端末で別のアカウントを使う場面でも混ざりません。
2つめはChromeやEdgeでページをアプリとしてインストールする手順です。macOS Sonoma 14より前の環境でも使え、独立した窓として動きます。e-GovのようにChromeが推奨環境に入っている入口であれば、この手順で作った窓も条件の中に収まります。
| Safariの「Dockに追加」 | Chrome系でインストール | サイトをアプリにする道具 | |
|---|---|---|---|
| 必要なmacOS | Sonoma 14以降 | それより前でも可 | macOS 12以降 |
| 表示の仕組み | WebKitのみ | Chromiumのみ | Chromium系7種から選べる |
| 戻るボタンを隠す | できる | 表示の形に依存 | できる |
| ブラウザとCookieを分ける | 分かれる | 分かれる | アプリごとに分かれる |
| 同じURLで窓を2つ | 作れない | ブラウザ1つに1つまで | 作れる |
| 費用 | 無料 | 無料 | 3アプリまで無料・以降は買い切り |
上から2行目が、この記事の主題に直結します。e-TaxはSafari、e-GovはSafariでもChromeでも通る、という条件の差に合わせるには、窓ごとに表示の仕組みを選べるほうが素直です。無料の2つの手順では、片方はWebKit固定、もう片方はChromium固定になるため、入口ごとに使う手順を変える運用になります。
どの画面を窓にして、どれをタブで済ますか
全部を窓にする必要はありません。判断の基準は、開いたままにする画面なのか、一度で終わる画面なのかです。
窓にする価値が高いのはマイページです。提出後の処理状況の確認、提出先機関からの通知、公文書のダウンロードと、期間をまたいで何度も開きます。同じ場所で同じアイコンから開ける状態にしておくと、確認そのものの回数が増えます。もうひとつは、年度末や算定基礎届の時期のように、同じ画面を短期間に何十回も開く手続きです。
逆に、電子証明書の取得に関する案内ページ、規約、インストール手順の解説は、読んで終わる画面です。タブで足ります。迷ったときは、その画面を1ヶ月に何回開くかを数えるのが早いです。手続きの入口とマイページだけを窓にして、残りをタブに任せる形が、Dockが読みやすいまま保たれる境目になります。
対応サービスの一覧から見えること
サイトをアプリにする道具の側から見ると、窓を分ける対象として選ばれているものには偏りがあります。用意されているプリセットの一覧に並ぶのは、メール、カレンダー、チャット、案件管理、そして業務用の管理画面です。どれも1日のうち何時間も開いたままになるものです。誰かが手作業で窓を分けてきた対象の集計だと考えると、この偏りは「窓を分ける価値がある画面」の実例集として読めます。分野ごとの揃い具合は対応サービス一覧で確認できます。300以上のプリセットからすぐ作れる状態なので、一般的なサービスならURLとアイコンを自分で用意する手間は要りません。
行政のシステムは一覧に載っていないため、URLを自分で登録する形になります。そこで効くのは2点です。1つは表示の仕組みを窓ごとに選べること、もう1つは外部リンクをどう扱うかです。行政の画面には別サイトの案内やPDFへのリンクが混ざるため、それを同じ窓で開くか既定のブラウザに渡すかで、窓が手続き用のまま保たれるかどうかが変わります。この2つの設定はできることに整理されています。
作る手順そのものは短く、登録から起動までの流れは使い方ガイドにまとまっています。先に費用を確かめたい場合は料金を見てから決める形になります。入口が複数あり、それぞれ推奨環境が違うという状況では、窓の数よりも「その窓が正しい表示の仕組みで開いているか」のほうが結果に影響します。
よくある質問
Macでも電子申請はできますか?
入口ごとに条件が違います。e-Govには専用のmacOS版アプリケーションがあり、対応OSとしてmacOS 14、15、26が挙げられ、ブラウザはChrome、Firefox、Safariの3つが載っています。e-Taxソフト(WEB版)のMacintoshの推奨環境はSafariだけです。出す手続きの入口を先に決めて、その入口の表を確認する順序になります。
e-Gov電子申請アプリケーションを入れるのに必要な環境は?
公開されているインストール要件は、CPUが1GHz以上、搭載メモリが2GB以上、使用可能ディスク領域が110MB以上です。Windows版はMicrosoft .NET 8.0の32ビット版と64ビット版の両方が必要ですが、macOS版の実行環境の欄は「無し」と書かれています。インストールには管理者アカウントが必要です。
MacでChromeを使ってe-Taxを開いても問題ありませんか?
e-Taxソフト(WEB版)の推奨環境では、Macintoshの行に載っているブラウザはSafariだけです。サポートが終了しているOSを含め、表にない組み合わせは推奨環境外となり使用できないおそれがあると注記されています。表示できたとしても、不具合が出たときに原因の切り分けが難しくなります。
年金や保険の手続きには電子証明書が要りますか?
公開されている一覧表では、健康保険・厚生年金保険の資格取得届や賞与支払届、雇用保険被保険者資格取得届、労働保険の保険料申告書などについて、電子申請には電子証明書が必要と書かれています。ただしGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーの場合は、所管行政機関の指定により電子署名を省略できることがあると注記されています。