eLTAXをMacで使う|地方税の申告画面を独立させる手順

eLTAXをMacで使えるかどうかは、はい、いいえでは答えが出ません。入口が4つに分かれていて、Macが土台になるのはそのうち1つだけだからです。結論を先に書くと、申告と申請と納付はMacから進められますが、受け取れない通知が1つあり、使える電子証明書にも制限があります。どこまでMacで完結して、どこから別の手段が要るのかを、動作環境の記載に沿って順に並べます。

eLTAXは1つのソフトではない。入口が4つに分かれている

eLTAXに対応した無料のソフトウェアはPCdeskという名前で呼ばれていますが、中身は4つに分かれています。PCdesk(WEB版)はブラウザからアクセスして使う形で、利用届出の新規手続き、電子申告、電子申請と届出、共通納税などが対象です。PCdesk(DL版)はパソコンに導入して使う形で、電子申告と共通納税などが対象です。PCdesk(SP版)はスマートフォンから使う形で、メッセージ照会が対象です。そしてPCdesk Nextは、地方たばこ税やゴルフ場利用税、宿泊税、軽油引取税、不動産取得税といった、その他の税目を扱う新しい申告システムです。

できることは重なっていません。公開されている表では、利用届出(新規)の手続きはWEB版だけが対象で、DL版は対象外です。申請と届出の手続きもWEB版とPCdesk Nextが対象で、DL版は対象外です。逆に、地方公共団体から送られてくる処分通知、つまり特別徴収税額通知を確認する手続きはDL版だけが対象で、WEB版は対象外という並びになっています。

この分かれ方を知らないまま「eLTAXが使えない」と検索すると、答えが噛み合いません。自分がやりたいのが申告なのか、届出なのか、納付なのか、通知の受け取りなのかで、見るべき入口が変わります。まずここを決めるのが最初のステップです。

Macが土台になるのは、PCdesk(WEB版)だけ

動作環境のページには、PCdesk(WEB版)とPCdesk(DL版)とPCdesk(SP版)のそれぞれについて表が用意されています。このうちMacOSの列があるのはWEB版だけです。

WEB版のMacOSの欄では、OSとしてmacOS 14、macOS 15、macOS 26の3つが推奨として挙げられ、WebブラウザはSafariと記載されています。ハードウェアの条件はCPUが1GHz以上、メモリが2GB以上、ハードディスクドライブの空き領域が1GB以上、解像度が1,024×768以上、画面表示色が65,536色以上です。同じWEB版でもWindowsの欄はOSがMicrosoft Windows 11の64ビット版で、ブラウザはMicrosoft EdgeとGoogle Chrome、メモリは4GB以上と、条件そのものが別に書かれています。

PCdesk(DL版)の動作環境にはWindowsの表しかありません。OSはMicrosoft Windows 11の64ビット版で、ブラウザはMicrosoft EdgeとGoogle Chrome、加えて.NET Framework 4.8以上が必要と記載されています。MacOSの列は用意されていないため、DL版はMacの選択肢に入りません。

つまりMacで進める方法は、ブラウザでPCdesk(WEB版)を開くこと、と言い切れます。使うブラウザはSafariです。ふだんChromeを主に使っている場合でも、Macの欄に並んでいるのはSafariだけなので、ここは合わせておくほうが無難です。加えて、電子証明書で署名するためのプラグインをパソコンに導入する必要があると案内されています。

Macで最初に詰まるのは、使える電子証明書の制限

動作環境の説明の中で、Macを使う人にとっていちばん重い制約がこれです。

MacOSを利用される場合は、「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書のみ利用可能です。 出典: eltax.lta.go.jp

eLTAXで使える電子証明書は、本来なら10種類以上が並んでいます。法務省が運営する商業登記認証局が発行するもの、日本税理士会連合会の認証局が作成するもの、TDB電子認証サービス、AOSignサービス、TOiNX電子入札対応認証サービス、e-Probatio PS2サービス、セコムパスポート for G-ID、DIACERTとDIACERT-PLUS、地方公共団体組織認証基盤が発行する職責証明、政府共用認証局が作成するものなどです。このうちMacで使えるのは、公的個人認証サービスに基づく電子証明書、つまりマイナンバーカードに入っているものだけ、という意味になります。

個人事業主が自分のマイナンバーカードで署名するなら問題になりません。一方、法人が商業登記に基礎を置く電子証明書で署名する運用をしている場合、その運用のままMacに移ることはできません。法人の担当者が自分のマイナンバーカードで署名する形に変えるか、署名の工程だけWindowsに残すか、税理士に依頼するか、という選び方になります。なお、税理士に申告書などの作成と送信を依頼している納税者は電子証明書そのものが不要と案内されており、そこは変わりません。

電子証明書の有効期間にも注意が要ります。公的個人認証サービスの場合は発行の日以後5回目の誕生日までとされており、それより前に失効する場合もあると書かれています。申告の直前に切れていた、という形で止まることがあるため、期限は事前に見ておくほうが安全です。

Macでは受け取れない通知が、1つ残っている

もうひとつ、表を読むと見えてくる行き止まりがあります。処分通知等に関する手続き、つまり地方公共団体から送られてくる特別徴収税額通知を確認する手続きは、PCdesk(DL版)だけが対象で、WEB版は対象外です。そしてDL版にMacOSの動作環境はありません。

給与の支払いをしていて、従業員の個人住民税を特別徴収している事業者にとっては、毎年5月に届くこの通知が業務の起点になります。これをMacだけで受け取る経路は、PCdeskの中には用意されていない、ということです。対応としては、通知の受け取りだけWindowsの端末で行う、税理士や社会保険労務士に受け取ってもらう、書面での受け取りを続ける、給与計算のソフトウェア側がeLTAXと連携している場合はそちらを使う、といった分け方になります。

なお、給与支払報告書と給与所得者異動届出書の提出そのものは、申告に関する手続きとしてWEB版でも行えます。出すほうはMacで済み、受け取るほうが残る、という形です。ここを混同すると、Macでは何もできないという誤った結論に飛びます。

メッセージ照会についても、受付通知などを確認する手続きはWEB版とDL版とSP版のいずれでも行えます。送信したデータが受け付けられたかどうかの確認はMacから追えるため、日常の運用で困る場面は多くありません。行き止まりになるのは処分通知の1点で、そこだけを別の手段に振り分ける、という整理の仕方が現実的です。

国税の確定申告とは、推奨環境が別に決まっている

地方税のeLTAXと、国税のe-Taxは別のシステムで、推奨環境も別に決められています。e-Taxソフト(WEB版)のMacintosh向けの表では、mac OS 13(Ventura)にSafari 18.6、mac OS 14(Sonoma)にSafari 18.6とSafari 26.0、mac OS 15(Sequoia)とmac OS 26(Tahoe)にSafari 26.0という組み合わせが並びます。eLTAXのPCdesk(WEB版)がmacOS 14以降であるのに対して、e-Tax側はmacOS 13から入っています。同じMacでも、対象になる範囲が少しずれています。

そして国税側では、パソコンに導入して使うe-Taxソフトについて、Mac OSでは利用できないとはっきり書かれています。地方税のDL版がWindowsだけであるのと同じ構図です。ブラウザで使う版はMacに開かれていて、導入して使う版はWindowsだけ、という線の引かれ方が両方に共通しています。

この事情から、Mac上に仮想マシンでWindowsを用意して手続きを済ませる、という選び方をしている人もいます。会社の設立時にその形を取り、オンライン登記もe-Taxと同じくWindowsだけだったと実際の手順を記録した個人の記事もあります。仮想マシンを用意する前に確かめる価値があるのは、自分がやりたい手続きがブラウザで使う版の対象に入っているかどうかです。申告と申請と納付だけであれば、Macのまま進む道が用意されています。Windowsを用意する費用と手間は、対象外の手続きが実際に出てきてから検討しても遅くありません。

年に数回しか開かない画面を、調べ物の窓から切り離す

地方税の手続きは、確定申告の期間、5月の通知、随時の異動届出、毎月または年2回の納付と、時期が飛び飛びです。年に数回しか開かないサービスは、ブックマークの奥に沈むか、検索から入り直すかのどちらかになります。ログインの入口が複数あるサービスでは、検索から入ると別の入口に着地することもあります。

Macの標準機能でも独立した窓は作れます。SafariではmacOS Sonoma 14以降であれば、開いた状態でメニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選びます。Chromeでは、右上のその他アイコンからページをアプリとしてインストールの項目を選びます。ここで効くのが、作った窓のログイン状態の扱いです。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。 出典: support.apple.com

複数の法人を担当している場合、この分離がそのまま効きます。1つのブラウザで利用者IDを切り替えるより、窓ごとに分けるほうが取り違えが起きません。

作り方をそろえたい場合は、URLとアイコンを指定して独立した.appを作る専用の道具を使う経路があります。Safariの「Dockに追加」はmacOS Sonoma 14以降が前提で、ChromeのPWAはサイトによって項目そのものが出てこないため、年に数回の作業で毎回同じ手順を踏めるとは限りません。300以上のプリセットから選ぶだけでアプリにできる作りであれば、URLの入力もアイコンの用意も要りません。どこまで作れるかはできることに整理されており、作る流れは使い方ガイドにあります。

選ぶときに見る点は3つです。アプリごとにログイン状態を分けられるか、窓の大きさと位置を覚えてくれるか、ブラウザが更新されたあとも作った.appがそのまま動くか。登録済みのサービスは対応サービス一覧で確認でき、無料で作れる範囲は料金に、細かい挙動の違いはよくある質問に書かれています。

進め方としては、まず自分の手続きがPCdesk(WEB版)の対象かを表で確かめ、電子証明書が公的個人認証サービスのものかを確かめ、そのうえで署名用のプラグインを導入します。窓を分けるのは最後で、そこまで済めば、次の時期に開くときには入口を探さずに済みます。

よくある質問

eLTAXはMacで使えますか?

ブラウザから使うPCdesk(WEB版)はMacに対応しています。動作環境のMacOSの欄には、OSとしてmacOS 14、macOS 15、macOS 26、ブラウザとしてSafariが挙げられています。一方、パソコンに導入して使うPCdesk(DL版)の動作環境にはWindowsの表しかなく、Macは対象に入っていません。

Macだと電子証明書に制限があると聞きました。

あります。動作環境の案内には、MacOSを利用する場合は「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書のみ利用可能と明記されています。つまりマイナンバーカードに入っている電子証明書だけです。商業登記に基礎を置く電子証明書などで署名している法人は、その運用のままMacに移ることはできません。

特別徴収税額通知はMacで受け取れますか?

PCdeskの中には経路が用意されていません。処分通知等に関する手続きはPCdesk(DL版)だけが対象で、WEB版は対象外です。そしてDL版にMacの動作環境はありません。通知の受け取りだけWindowsの端末で行う、専門家に依頼する、給与計算のソフトウェア側の連携を使う、といった分け方になります。

MacではSafari以外のブラウザを使えませんか?

PCdesk(WEB版)のMacOSの欄に記載されているWebブラウザはSafariだけです。Windowsの欄にはMicrosoft EdgeとGoogle Chromeが並びますが、Macの欄にこの2つはありません。推奨環境から外れた組み合わせは正常に動かないおそれがあるため、Safariで開き直すところから確かめてください。

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