Fluidの代替を探す前に|手放してよい機能の見分け方 2026年版
Fluidの代替を探している人の多くは、まだ困っていません。困る前に、そろそろ動かなくなりそうだと気づいた段階です。この記事は代わりの製品を並べる前に、Fluidで作ったアプリが今あなたに何を提供しているのかを機能単位で分解し、そのうちどれが手放してよくて、どれを手放すと毎日の作業が止まるのかを切り分けます。判断の材料が揃えば、乗り換え先は自然に絞られます。
Fluidが今どういう状態にあるのか
移行を考えるときの出発点は、製品の評判ではなく配布されている実物です。公式サイトからダウンロードできるのはバージョン2.1.2で、圧縮ファイルの大きさは約6.3MB、動作条件はmacOS 10.12以降と案内されています。更新情報を配っているRSSの最終更新日は2018年10月19日で、配布物の署名の時刻も同じ月です。つまり公開されている最新版は、7年以上前に作られたものがそのまま配られている状態です。
料金についてはサイトに明記があります。
Fluid is free. You can download Fluid for free and create as many Fluid Apps as you like. However, for $5, you can purchase a Fluid License which unlocks a few extra features: 出典: fluidapp.com
本体は無料で、作れるアプリの数に制限はありません。5ドルの有料ライセンスで開くのは、ステータスバーへの常駐、ユーザースクリプトとユーザースタイル、フルスクリーン表示の3つです。終了の告知は出ておらず、ダウンロードも案内も生きています。運営元も当時と同じ作者のままです。値上げも値下げもありません。
ただし、代替を探す理由になる事実が1つあります。配布されている本体も、そこから作られるアプリの雛形も、Intel向けの命令だけで作られています。Apple Silicon搭載のMacでは変換の仕組みを通して動くことになります。
Appleが期限を公表している部分
Intel向けアプリの変換を担うRosettaについて、Appleは期限を公表しています。
Rosetta enables a Mac with Apple silicon to run Intel-based apps. Support for Rosetta will end in a future version of macOS, so check with the app's developer for an updated version. 出典: support.apple.com
同じページには、Rosettaは次のmacOS 27までは引き続き使えること、macOS 28からはIntel向けの枠組みに依存した一部の古いゲームのためだけに残ることが書かれています。手持ちのアプリがどちらなのかは、Finderでアプリを選んでCommand+Iを押し、種類の欄が「アプリケーション(Intel)」なのか「アプリケーション(ユニバーサル)」なのかで判別できます。
この事実の読み方には注意が要ります。今日明日に動かなくなるという話ではありません。一方で、更新が止まっている道具の場合、期限が来たときに対応版が出る見込みは立てにくくなります。移行そのものは急ぎではなく、移行の準備を今のうちに終わらせておくという順番が現実的です。
何を代替するのかを機能に分ける
「Fluidの代わり」と一括りにすると選べません。作ったアプリが実際に担っている仕事は、少なくとも7つに分かれます。
- Dockに独立したアイコンが並び、Command+Tabの切り替えに入ること
- ブラウザのタブから切り離された、単独のウィンドウで開くこと
- ブラウザ本体とは別のCookieとログイン状態を持つこと
- 行き先を制限し、範囲外のリンクを既定のブラウザへ渡すこと
- ユーザースクリプトとユーザースタイルで見た目や挙動を書き換えること
- メニューバー(ステータスバー)に常駐し、キー1つで呼び出すこと
- 利用者エージェントの文字列を差し替えて、サイトへの名乗りを変えること
このうち上の3つは、今のMacに最初から入っている経路でほぼ置き換わります。下の4つは、経路によって残ったり消えたりします。乗り換えで失敗するのは、上の3つだけを見て決めて、下の4つのどれかに毎日依存していた場合です。
追加費用なしで置き換わる範囲
まず確かめるのは、目的のサイトに公式のMac用アプリがあるかどうかです。あるなら、包む道具の話は不要になります。無い場合に残る経路は2つです。
1つはSafariから登録する方法です。Safariで開いているページをDockへ登録すると、アドレスバーやタブの無い独立したウィンドウで開き、Dockのアイコンとして常駐します。Cookieもブラウザ本体とは分かれます。もう1つはChromeやEdgeから、そのページをアプリとして開く登録をする方法です。こちらも独立したウィンドウとDockアイコンが得られ、描画は元のブラウザとまったく同じになります。
どちらも費用はかからず、変換の仕組みにも依存しません。上に挙げた7項目のうち、独立したアイコン、単独のウィンドウ、分かれたログイン状態の3つは、この段階で満たされます。
落ちるのは残りの4つです。行き先の制限を細かく書く欄はありません。ユーザースクリプトを差し込む口も、メニューバーへの常駐も、利用者エージェントの差し替えも、標準の経路には用意されていません。アイコンも取得元のサイトが用意した画像に従うため、同じサービスから2つ作ったときに見分けにくくなります。
有料の道具へ移す場合に見る条件
標準の経路で落ちる4つのうち、どれかが毎日の作業に食い込んでいるなら、専用の道具を見ることになります。比較すべきは機能の数ではなく、動作条件と更新の状態です。
| 確かめる項目 | Fluid 2.1.2 | Unite Pro | Coherence X6 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 無料、追加機能は5ドル | 39.99ドルから | 39.99ドルから |
| 必要なmacOS | 10.12以降 | 15以降 | 13.5以降 |
| Apple Silicon | Intel向けのみ | 対応 | 対応 |
| 描画に使うもの | システムのWebKit | 独自のmacOSアプリ | 導入済みのChromium系ブラウザ |
| 最後の更新 | 2018年10月 | 継続中 | 継続中 |
数字はいずれも各社の案内に出ているものです。CoherenceについてはSetappという月額の集合サービスからも入手でき、そちらは月9.99ドルから多数のMac用アプリごと利用する形になります。
表から読み取れるのは、価格差ではなく前提条件の差です。Unite Proは動作にmacOS 15以降を求めるため、古いMacを使い続けている場合はそもそも選べません。Coherenceは導入済みのChromium系ブラウザを土台にするため、そのブラウザを消したり動かしたりすると作ったアプリに影響します。Fluidはシステム側のWebKitを借りて描画するので、本体の更新が止まっていても、表示そのものはMacの更新に合わせて新しくなります。この点は誤解されやすいところです。
道具ごとに何ができるのかを1つずつ照らし合わせる段階になったら、できることに機能の一覧が、料金に費用の考え方がまとまっています。使う前に前提条件だけ先に確認したい場合は、こちらから見ると早く済みます。
手放してよい機能と、手放すと困る機能
機能の要不要は、使用頻度で決めるのが確実です。過去1か月で一度も触っていない設定は、移行先に無くても気づきません。
手放してよい側に入りやすいのは、利用者エージェントの差し替えです。Fluidが内蔵している選択肢はSafari 12、Chrome 70、Firefox 62、Internet Explorer 11など2018年当時のもので、今のサイトに古いブラウザとして名乗ることになります。現在では、差し替えないほうが通る場面のほうが多くなっています。ブラウザ側面パネルや、プラグインの有効化も同様に、役割を終えている項目です。
手放すと困る側は、人によって分かれます。目安は次の3つです。
- メニューバーに常駐させて、キー1つで呼び出している場合。Dockのアイコンに置き換えると、呼び出しの手数が増えます
- ユーザースクリプトで社内の管理画面に手を入れている場合。スクリプトを差し込める道具か、ブラウザの拡張機能が使える道具に限られます
- 行き先を制限して、範囲外のリンクを既定のブラウザに渡している場合。この挙動を前提に運用しているなら、リンクの扱いを設定できる道具を選ぶことになります
どれにも当てはまらないなら、標準の経路への移行で足ります。有料の道具を検討する必要はありません。
自分がどちら側なのかは、既存のアプリの設定画面を開けば分かります。Fluidで作ったアプリの環境設定は、一般、タブ、セキュリティ、ショートカット、ハンドラ、ホワイトリスト、そして4方向のブラウザ側面パネルという構成になっています。このうち初期状態から書き換えられているのがどのペインなのかを見れば、実際に使っている機能が何本なのかが数えられます。どこも触っていなければ、独立した窓とアイコンだけを使っていたことになり、移行はいちばん軽い形で済みます。
移行の順番を決める
一度に全部作り直すと、どれが動かなくなったのか分からなくなります。数が多いほど、順番を決めたほうが早く終わります。
最初に手を付けるのは、毎日開くものの中で最も単純な1つです。ログインが外部の認証画面を経由せず、拡張機能にも依存していないものを選びます。これを標準の経路で作り直し、1週間そのまま使ってみて、不足が出るかどうかを見ます。不足が出なければ、残りも同じ方法で片付きます。
次が、外部の認証画面を通るものです。会社のアカウントで入る管理画面や、認証基盤を経由するサービスがここに入ります。ログインの往復が最後まで通るかどうかを、作り直した直後に確認します。
最後が、スクリプトや拡張機能に依存しているものです。ここだけ有料の道具を使うという分け方でも構いません。全部を1つの道具で揃える必要はなく、実際、標準の経路と専用の道具を併用している構成はよく見られます。
主要なサービスについて、包む前にどんな設定が要るのかを把握しておくと、この作業は短く済みます。対応サービス一覧に、サービスごとの扱いがまとめられています。個別の手順から先に確認したい場合は、使い方ガイドに作成から設定までの流れが載っています。
判断の材料をどう集めるか
最後に、この記事と同じ確認を自分でやるための手順を残しておきます。他の道具に乗り換えたあと、その道具が同じ状態にならないとは限らないためです。
確かめる点は4つです。1つ目は最終更新の時期で、更新情報のページか配布物の署名日時で分かります。2つ目は対応している命令の種類で、Command+Iの情報ウィンドウに出ます。3つ目は新規の販売が続いているかどうかで、購入の導線が生きているかを見ます。4つ目は運営元の変更で、サイトの表記や告知で分かります。
この4つは、価格表を見比べるよりも寿命に直結します。値段が変わっていなくても、前提が崩れていることはあります。逆に、更新が続いていて対応している命令が新しければ、多少高くても作り直しの手間は発生しません。乗り換えの頻度まで含めて考えると、どちらが安いかの答えは変わってきます。
よくある質問
Fluidは今も無料で使えますか?
本体は無料で、作成できるアプリの数にも制限はありません。有料になるのは追加の3機能だけで、ステータスバーへの常駐、ユーザースクリプトとユーザースタイル、フルスクリーン表示が5ドルのライセンスで開きます。公式サイトには終了の告知は出ておらず、ダウンロードも案内も現在稼働しています。
Apple SiliconのMacでFluidは動きますか?
配布されている本体も、作られるアプリの雛形もIntel向けの命令だけで作られているため、変換の仕組みであるRosettaを通して動きます。AppleはRosettaが次のmacOS 27までは使えること、macOS 28からはIntel向けの枠組みに依存した一部の古いゲームのためにのみ残ることを公表しています。今すぐ止まるわけではありませんが、移行の準備を始める理由にはなります。
追加費用をかけずに置き換えるなら何から見ればよいですか?
まず目的のサイトに公式のMac用アプリがあるかを確認します。無ければSafariからDockへ登録する方法か、ChromeやEdgeからアプリとして開く登録をする方法が使えます。独立したアイコン、単独のウィンドウ、ブラウザ本体と分かれたログイン状態の3つは、この段階で費用をかけずに満たせます。
有料の道具を選ぶとき、価格以外に何を見ればよいですか?
必要なmacOSのバージョン、Apple Siliconへの対応、描画に何を使うか、最後の更新時期の4点です。特に必要なmacOSの下限は、古いMacを使い続けている場合に選択肢そのものを消します。描画に導入済みのブラウザを使う設計の道具は、そのブラウザを消したり移動したりすると作ったアプリに影響が出ます。