Google Chromeのショートカット|PC向けの説明がMacで合わない理由

Chromeのショートカットで検索すると、まったく関係のない2種類のページが並びます。どちらも間違っていません。ショートカットという語が、ブラウザの中で押すキーの組み合わせと、クリックして開くアイコンの両方を指しているためです。そこに「PC」が加わると、3つ目の雑音が入ります。この語で書かれた手順の多くはWindows向けで、Macには同じ位置に無い修飾キーを前提にしているからです。語を分けてしまえば、答えは短くなります。

Googleのヘルプ自体が、3ページに分かれている

分裂はヘルプセンターの目次にそのまま出ています。1つ目は「Chrome でウェブサイトのショートカットを作成する」、2つ目は「ウェブアプリを使用する」、3つ目がキーボードショートカットの一覧で、こちらは最初にWindowsとMacで章が分かれます。この3ページは、それぞれ違う質問に答えています。

1つ目はクリックする対象を作ります。2つ目はOSから見てプログラムに見えるものを作ります。3つ目は何も作らず、ブラウザがすでに受け付けているキーを教えるだけです。

この検索で起きる混乱のほとんどは、3つのうち違うページに着地したことが原因です。Dockにアイコンが欲しかった人がキーの表を読んで、そんな機能は無いと結論します。タブの移動を速くしたかった人がファイルを作る手順を読んで、ブラウザの仕様が変わったと勘違いします。どちらも正確な資料を読んでいて、聞いていない質問の答えを読んでいるだけです。

判断の基準は単純です。目の前にあるブラウザの中を移動したいならキーの組み合わせ、ブラウザを閉じている状態も含めてどこからでも特定のサイトへ行きたいならアイコンで、アイコンには2種類あります。

同じメニューに、名前の似た項目が2つ並んでいる

アイコンを作る2つの項目が同じ場所にあることが、取り違えの最大の理由です。1つ目の手順は、右上のその他アイコンからキャスト、保存、共有を開き、ショートカットを作成を選ぶ、という流れです。表示されたダイアログで既定の名前を使うか変更して、作成を押します。

2つ目の手順は、ほとんど同じ文面です。

右上のその他アイコン [ キャスト、保存、共有 ] [ ページをアプリとしてインストール ] を選択します。 出典: support.google.com

サイトによっては、アドレスバーの右端にインストールの操作が出ることもあります。

できあがるものは同じではありません。インストールした側はヘルプでウェブアプリと呼ばれ、オフラインでコンテンツを閲覧するための追加のストレージ、通知、ファイルシステムへのアクセス、アイコンバッジといった追加機能を持てると説明されています。ブラウザ側にも登録されるので、chrome://apps の画面で一覧して管理でき、アプリの窓の中からその他アイコンを開いてアンインストールを選ぶと、Chromeからデータも一緒に消すかどうかを選べます。

インストールした側には、最初に見ると驚く挙動が1つあります。ウェブアプリが自分の名前やアイコンを変更しようとすると、アプリの窓の右上にアップデートの通知が出て、承認するか、無視するか、アプリごと削除するかを選ばされます。ヘルプはその理由も書いていて、名前やアイコンが急に別のアプリに似たものへ変わった場合は、悪意のある変更を疑ってアンインストールするように案内しています。

もう1つ、作った直後ではなく後から効いてくる差があります。単なるショートカットは、行き先しか属性を持たない1個の物です。どこにも記録されず、一覧にも出ないので、開かなくなったときの調べ方は「開いてみる」しかありません。インストールした側はブラウザに登録されているため、調べる場所があり、データごときれいに消す手順も決まっています。週に数回しか開かないサイトなら前者で十分ですが、1日に何十回も開くサイトでは、この差がそのまま管理のしやすさになります。

Windows向けのキー一覧が、Macで合わなくなる行

Googleのキーボードショートカットのページは、1行も並べる前にWindowsとMacで章を分けています。両方を見比べると、写してきた一覧が動かない理由が分かります。新しいウィンドウはWindowsがCtrlとn、Macは⌘とnです。タブを閉じるのはCtrlとwに対して⌘とw、全画面はWindowsがF11で、MacはFnとfです。

Windows側に対応する行が無い操作もあります。Macで次のタブへ移るのは⌘とoptionと右矢印、前のタブは同じ組み合わせの左矢印です。番号でタブへ飛ぶのは⌘の1から⌘の8までで、⌘と9は9番目ではなく最後のタブに割り当てられています。この最後の行は、番号がそのまま続くと思っている人が必ず引っかかります。

数字の行以外にも、そのまま持ってこられない行があります。Windows側の一覧にはF1からF12を単独で使う行が並びますが、Macのキーボードでは上段のキーが既定で明るさや音量に割り当てられているため、同じ表記を押しても別の動作になります。全画面の行がF11ではなくFnとfになっているのは、この事情の反映です。手元で効かないキーに当たったら、キーの割り当てそのものが違う可能性を先に疑うと早く片付きます。

Mac側の章には、ブラウザと関係のない注意書きも先頭に置かれています。キーボード操作はシステム側の設定で既定で有効になっており、一部の操作にはフルキーボードアクセスの許可が必要だという内容です。キーがまったく効かないという相談の一部は、ブラウザではなくOSの設定を見ています。

Windows向けの記事が間違っているわけではありません。読み替えなければ使えないだけで、急いでいる読者はその読み替えを省きます。

同じ食い違いは、アイコンの側にもあります。メニューの道順が同じなので気づきにくい部分です。Windowsでは作ったショートカットがデスクトップのファイルとして置かれ、デスクトップはそういうファイルを置いて構わない場所です。Macで同じ役割を持つのはDockとアプリケーションフォルダで、デスクトップに散らしたファイルから起動する習慣がそもそもありません。手順どおりに作っても、置き場所だけがMacの流儀から外れます。

OSが何を一覧に載せるか、という点にも差が出ます。Windows向けの案内はタスクバーと、そのOS側の通知設定を指します。Macで対応するのはDockと、システム設定の通知の一覧です。そしてこの一覧に何という名前で並ぶかは、先ほどの2つの項目のどちらを選んだかで変わります。名前がURLのまま並ぶ一覧は、数が増えると実質的に管理できません。ほとんど同じに見える2つのメニュー項目を、なんとなく選んではいけない理由がここにあります。

特定のサイトを開くキーは、Chromeの中には無い

この検索の裏にある本当の要望は、どちらの答えよりも狭いものです。どこからでも、1つのキーの組み合わせで、特定のサイトへ一発で飛びたい、という要望です。

ブラウザはそれを提供していません。公開されている一覧はブラウザ内部の操作の固定された集合で、すべての行がブラウザが手前にあることを前提にしています。他のアプリが手前にあるときに効くキーは、ブラウザの機能ではなくOSの機能です。

macOS側には、条件付きでそれに近い仕組みがあります。Appleの資料によれば、システム設定のキーボードからキーボードショートカットを開き、アプリケーションのショートカットを選べば、任意のアプリのメニュー項目に自分でキーを割り当てられます。対象は個別のアプリでも、すべてのアプリケーションでも構いません。同じページには、アプリによってはキーボードショートカットを設定できない場合がある、とも書かれています。

問題は、この仕組みが何に結びつくかです。結びつく先はアプリの中のメニュー項目です。タブで開いているWebサイトには、自分のメニュー項目がありません。指す対象が存在しないので、どう設定してもタブには届きません。

  • ブックマークに割り当てる。一覧の項目でありメニュー項目ではないので、できません
  • タブに割り当てる。同じ理由でできません
  • ブラウザ自体に割り当てる。これはできますが、ブラウザが手前に出るだけで、タブが20個並んだ最初の状態に戻ります

インストールしたサイトは、ここを変えます。特別な機能が付くからではなく、サイトがアプリになるからです。切り替え枠もキーの割り当ての仕組みも、アプリを相手にする作りになっています。名前で呼び出せて、⌘とtabで届きます。プログラムの中の内容だったものが、プログラムそのものになったという違いです。

3つの答えを、解ける問題で並べる

キーの組み合わせ ショートカットを作成 ページをアプリとしてインストール
書かれているページ キーボードショートカット ショートカットを作成する ウェブアプリを使用する
ブラウザを閉じていても使える 使えない 使える 使える
切り替え枠に独立して並ぶ 並ばない 並ばない 並ぶ
通知やオフライン用の領域を持てる 該当しない 持てない 持てる
一覧で棚卸しできる 該当しない できない chrome://apps でできる
自分でキーを割り当てられる それ自体がキー 割り当てられない OS側の仕組みで割り当てられる

右端の列を上から読むと、毎日開くサイトについては、この経路が他の2つを飲み込むことが分かります。左端の列を上から読むと、それ以外の場面では代わりにならないことも同時に分かります。タブの間を移動する速さで、アイコンがキーに勝つことはありません。

開く回数で線を引く

仕分けの基準は、サイトの種類ではなく開く回数です。1日に1回か2回のサイトはブックマークのままで困りません。問題になるのは、ブラウザを探し、窓を探し、タブを探す3手が積み上がるサイトの方です。

回数を数えるときは、記憶ではなく履歴を見るのが確実です。ブラウザの履歴を1週間分だけ開いて、同じドメインが何度出てくるかを数えます。ここで上位に来るのは、たいてい自分が思っていたサイトとは違います。人は印象に残った作業を多く見積もり、無意識に開いているものを数え落とすためです。上位の数件だけを対象にすれば、作りすぎて管理できなくなる失敗も避けられます。

この後者の集まりは、思っているより小さく、顔ぶれも予想がつきます。300以上のプリセットからすぐ作れる形で並ぶ対応サービス一覧を眺めると、メール、チャット、設計、管理画面、生成AIの窓口が並びます。共通しているのは分野ではなく開く頻度と滞在時間です。

数え終わったら、上位の1件だけを試すのが安全です。いきなり全部をアプリにすると、Dockが埋まって以前より探しにくくなります。1件で1週間過ごしてみて、実際に開く手数が減ったと感じられたときにだけ2件目へ進めば、作りすぎになりません。

見落とされやすいのは社内の道具の側です。勤怠の画面や請求の管理画面をアプリの候補として考える人はほとんどいませんが、開く回数はチャットと変わりません。しかも公式のアプリが用意される見込みがありません。殻がアイコン以外に何を持つのかはできることに、判断に迷いやすい点はよくある質問にまとまっています。

よくある質問

ショートカットを作成とページをアプリとしてインストールは、何が違いますか?

どちらも右上のその他アイコンからキャスト、保存、共有の中にあります。前者はクリックする対象を作るだけです。後者はヘルプでウェブアプリと呼ばれ、オフライン用の追加のストレージ、通知、ファイルシステムへのアクセス、アイコンバッジを持てると説明されており、chrome://apps の画面で管理できます。

解説どおりのキーを押しても効かないのはなぜですか?

読んでいる一覧がWindows側の章である可能性が高いです。Googleのページは最初にWindowsとMacで章を分けており、Macではほとんどの行でCtrlが⌘に置き換わります。全画面はWindowsのF11に対してMacはFnとf、タブの移動は⌘とoptionと矢印です。キーが一切効かない場合は、OS側のフルキーボードアクセスの設定も確認します。

特定のサイトを開くキーを自分で決められますか?

ブラウザの中ではできません。公開されている一覧は固定で、すべてブラウザが手前にあることが前提です。macOSにはアプリのメニュー項目にキーを割り当てる仕組みがありますが、タブにはメニュー項目が無いため届きません。サイトをアプリとしてインストールすると、割り当ての対象になります。

インストールしたウェブアプリはどこで管理しますか?

ヘルプは chrome://apps を管理場所として案内しています。個別に消す場合は、そのアプリの窓で右上のその他アイコンからアンインストールを選び、必要ならChromeからデータも削除するかを選べます。アプリが自分の名前やアイコンを変えようとしたときは通知が出るので、身に覚えのない変更は承認せずに削除する判断になります。

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