google driveのアプリをPCに入れる前に|同期と画面は別物
「google drive アプリ pc」で探すと、ダウンロードの入口はすぐ見つかります。ところが入れてみると、Finderにフォルダが増え、メニューバーに小さなアイコンが座り、肝心のドライブの画面はブラウザのタブに残ったままです。不具合ではありません。公式が配っているパソコン版は、ファイルを同期する道具です。ドライブの画面のほうはWebサイトで、名前が同じだけの別の製品です。「パソコンにドライブのアプリを入れたい」という言い方は、この2つのどちらを指しているかを決めないまま使われがちで、そこを先に分けるだけで作業は半分になります。
同じ名前で呼ばれている2つの製品
パソコン版ドライブは、機械の中に仮想のドライブを作り、クラウドにあるファイルを手元のファイルと同じように扱えるようにします。公式が挙げているメリットも、変更が自動で同期されること、パソコン上の他のドライブと同じようにアクセスできること、共有ドライブのファイルも含めてインターネットに接続していなくても操作できること、といった内容です。焦点はファイルの置き場所にあります。
ドライブの画面は別です。アカウント全体を横断する検索、共有と権限の設定、変更履歴、コメントのやり取り、共有ドライブのメンバー管理、保存容量の管理、そしてドキュメント・スプレッドシート・スライドの編集画面は、すべて drive.google.com の側にあります。同期する道具のほうに出るのは、同期ステータスのタイル、最近の同期アクティビティの一覧、同期エラーの通知、そしてストリーミングされたフォルダの中を探す検索欄です。
ここまで並べると、必要なものがどちらかは短時間で決まります。ファイルに手が届かないことが不便なら前者です。ドライブの画面がタブの列に埋もれていることが不便なら、後者を窓にする話であって、同期の道具はそれを解決しません。両方入れて併用している環境も珍しくありません。
対応OSの下限は、WindowsとMacで別々に決まっている
入れる前に確かめる価値があるのは、対応するOSの版です。公式の一覧では、プラットフォームごとに条件がはっきり分かれています。
| プラットフォーム | 条件 |
|---|---|
| Windows 64ビット | Windows 10 以降、Windows Server 2016 以降 |
| Windows ARM64 | Windows 11 以降 |
| Mac | macOS Ventura 13.0 以降 |
| Linux | パソコン版の提供なし。ウェブ版を使用 |
Windows側にはもう1つ条件があります。
動作には Microsoft WebView2 が必要です。Microsoft WebView2 は通常、Windows 11 およびほとんどの Windows 10 デバイスに搭載されています。インストールされていない場合は、セットアップ時にインストーラが自動的にダウンロードしてインストールします 出典: support.google.com
対応外として明記されているものも2つあります。32ビットのWindowsシステムと、ベータ版のオペレーティングシステムです。
引っかかりやすいのはMac側の数字です。下限がVentura 13.0なので、Monterey 12で止まっている機械には公式の同期の道具がありません。AppleがVenturaの対応機種として挙げている中でいちばん古いのは2017年のiMacとMacBook Pro、MacBook Airは2018年からです。つまり2015年から2016年に買った機械は、まだ十分動いていても線の外側に置かれます。この場合、ブラウザは代替手段ではなく唯一の経路です。そしてドライブはもともとWebのサービスなので、実用上の不足はほとんど出ません。
ファイルシステムの条件も見落とされがちです。対応しているのはmacOSのAPFSとHFS+、WindowsのNTFSで、SMBやNFSのようなネットワークボリュームには対応していません。同期先をネットワーク上の共有ドライブにする計画があるなら、ここで止まります。
ダブルクリックしたときに、何が開くか
同期の道具を入れてブラウザが要らなくなるのかどうかは、この挙動で決まります。公式の説明は明快です。
ファイルを開くには、ファイルをダブルクリックします。Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドのファイルはウェブブラウザで開き、その他のファイルは既定のデスクトップ アプリケーションで開きます 出典: support.google.com
PDFはプレビューで開き、.docxはWordで開き、スプレッドシートで作った表はブラウザのタブが開きます。仕事の大半がOffice形式ではなくドキュメントとスプレッドシートで進んでいる人にとって、同期の道具が変えるのは「ファイルがどこに並ぶか」だけで、「どこで編集するか」は変わりません。
これは設計の欠点ではありません。ドキュメント・スプレッドシート・スライドにはデスクトップ用の編集ソフトが存在せず、ドライブに置かれているのは実体ではなく参照で、編集画面はWebサイトそのものです。「Googleドキュメントをブラウザの外に出したい」という計画は、この事実から出発するしかありません。同期の設定をどう変えても、ここは動きません。
残るのは1つの具体的な問いです。ブラウザが編集に関わり続けるのは避けられないとして、それは無関係なタブが並んだ汎用の窓であるべきか、ドライブ専用の窓であるべきか。サイトをアプリにする道具が答えているのは後者で、同期の道具と置き換わるのではなく、隣に並びます。
入れたあと、画面に出てくるもの
形をあらかじめ知っておくと、入れてからの落胆が減ります。Windowsのインストーラーは「GoogleDriveSetup.exe」で、メニューは画面右下のシステムトレイに出ます。macOSのインストーラーは「GoogleDrive.dmg」で、メニューは画面右上のメニューバーに出ます。どちらの案内にも、仕事用または学校用のアカウントでは自分でインストールできない場合があり、組織側でインストールしてもらう必要があるという但し書きが添えられています。
メニューのアイコンの奥にあるのは、ファイルの一覧ではなく小さなパネルです。最近同期されたファイルと現在の同期アクティビティを示す同期ステータスのタイル、最近の同期アクティビティの詳しい一覧、時間的制約のある同期エラーなどの通知が並びます。同期はいつでも一時停止と再開ができ、パソコン上のフォルダを追加してドライブ側へ上げることもできます。
このパネルで押さえておく価値があるのは検索です。公式はOSの検索と直接対比していて、Windowsサーチやスポットライトとは異なり、パソコン版ドライブの中で検索すればストリーミングされたフォルダの中のすべてのファイルを見つけられると説明しています。ストリーミングされたファイルは実体が手元にないので、OSの索引には全部が載らないためです。既定のホットキーはWindowsが Ctrl + Alt + g、macOSが Command + アクセント(`)+ g で、詳細設定から変えられます。
ファイル自体には2か所から届きます。1つはパソコン版ドライブのパネルにあるフォルダアイコン、もう1つはエクスプローラーやFinderで、マイドライブ、共有ドライブ、その他の同期フォルダが並びます。どちらの経路にも、ドライブのWebサイトを開くための入口はありません。検索に戻ってくる人が多いのは、この一点が理由です。
ストリーミングとミラーリングで、ディスクの減り方が変わる
パソコン版ドライブには、ファイルの持ち方が2通りあります。差は機械の空き容量に出ます。公式は1文で書いています。
ファイルのストリーミングでは、パソコンの容量はほとんど使用しませんが、ミラーリングの場合、完全なコピーがパソコンに直接ダウンロードされます 出典: support.google.com
同じ場所に、読み間違えやすい数字についての注意も添えられています。パソコン版ドライブの容量トラッカーに出ているのは、Googleアカウントの保存容量ではなく、パソコンのハードドライブの空き容量です。共有ファイルは同期するとハードドライブの容量を消費しますが、Googleの容量は消費しません。
選び方は容量の事情で決まります。大きな書庫を抱えたアカウントと、SSDの小さいノートの組み合わせならストリーミングです。必要になった時点で降りてくるからです。移動中や電波の届かない建物の中で確実に開きたい一群があるならミラーリングです。フォルダごとに使い分けることもでき、実際の環境ではたいてい両方が混ざります。
切り替える前に知っておきたい点が1つあります。ストリーミングのアカウントの接続を解除すると、オフライン用に手元へ置いていたファイルはすべて削除されます。ローカルのコピーは残ると思い込んでいると、ここで慌てます。
アカウントは4個まで。詰まるのはその外側
パソコン版ドライブでは、一度に使えるアカウントが4個までです。追加はメニューアイコンからプロフィール写真、続けて「アカウントを追加」と進み、ログインはブラウザ側で行い、最後にパソコン版ドライブを再起動します。
個人利用なら十分な数で、複数の取引先のワークスペースを抱えている人には足りません。そして重要なのは、この上限が同期の道具だけの話だという点です。ブラウザ側は別の仕組みで動いていて、複数のGoogleアカウントはURLの中の番号で区切られ、リンクをどのアカウントで開くかは、ブラウザがどれを先に見るかで決まります。この食い違いが、ドライブのリンクを押すと違うアカウントで開き、アカウント切り替えを経由して開き直す、という毎日の手間を生みます。
解き方は、アカウントごとに入れ物を分けることです。手段は2つあります。Chromeのプロファイルを分ければログイン状態が別々に保たれ、それぞれから作ったドライブの窓はそのアカウントに固定されます。アプリごとに独立した保存領域を持つ道具を使えば、ブラウザ側でプロファイルを切り替える手順そのものが要りません。どちらの経路でも、狙いは同じです。アカウントごとに別のアイコンを持つ窓を作り、切り替えではなくクリックで選べるようにすることです。
ドライブの画面に専用の窓を与える判断
同期とは関係のないところで、窓が効く場面が3つあります。
1つ目は、Ventura 13.0に届かないMacです。同期の道具が使えないので、Webサイトが製品のすべてになります。その画面にアプリの窓を与えると、本来なら同期の道具が持ってきたはずのDockのアイコンとアプリ切り替えの一覧が戻ってきます。
2つ目は、アカウントが4個を超える場合、あるいはメニューではなくアイコンでアカウントを選びたい場合です。1アカウントに1つの窓、それぞれが自分のログインを抱えている形にすれば、切り替えの手順が消えます。
3つ目は、注意の向きです。ドライブは読む場所ではなく行き来する場所なので、一日中開きっぱなしになり、開きっぱなしのタブは隣のタブを呼びます。タブの列から出すという小さな変更が、無関係な用事でブラウザを開く回数に効いてきます。
独自データから見える傾向
サイトをアプリにする道具の側から見ると、ドライブのような「置き場所」型のサービスには共通した扱いがあります。対応サービス一覧には、クラウドストレージ、グループウェア、業務の管理画面といった、同じアカウントを一日に何度も開き直す種類のサービスが並びます。300以上のプリセットからすぐ作れる形になっているのは、窓の大きさや外部リンクの扱いといった判断が、サービスの性質ごとにおおむね決まっているためです。
一覧を眺めると、ドライブと同じ扱いになるサービスの共通点が見えます。編集画面がWebにしかなく、アカウントを複数持たされ、リンクで共有される。この3つが揃うサービスは、同期の道具が用意されていても、窓の問題は別に残ります。逆に、単独のアカウントで完結して共有リンクをほとんど受け取らないサービスは、同期だけ整えれば足ります。
作り方の流れを先に確かめたい場合は使い方ガイドに手順が載っています。順番としては、まず不便がファイル側なのか画面側なのかを分け、ファイル側なら公式の同期の道具を入れてフォルダごとにストリーミングとミラーリングを決める。画面側なら窓を作る。この切り分けを先にしておけば、入れてから「思っていたものと違った」となる場面はほぼ無くなります。
よくある質問
パソコン版ドライブを入れれば、GoogleドキュメントをブラウザなしでExcelのように編集できますか?
できません。公式には、ドキュメント・スプレッドシート・スライドのファイルはダブルクリックするとウェブブラウザで開き、その他のファイルは既定のデスクトップアプリケーションで開くと書かれています。これらの形式にはデスクトップ用の編集ソフトが存在しないため、同期の設定では変わりません。
Macはどのバージョンから対応していますか?
公式の一覧ではmacOS Ventura 13.0以降です。Monterey 12までしか上げられない機械には公式の同期の道具がなく、drive.google.com のウェブ版が正規の経路になります。ブラウザ側は機械の年式ではなくブラウザの版で条件が決まります。
アカウントは何個まで同時に使えますか?
パソコン版ドライブでは一度に4個までです。追加はメニューアイコンからプロフィール写真、「アカウントを追加」の順に進み、最後に再起動します。それ以上を分けたい場合は、ブラウザのプロファイルを分けるか、アカウントごとに別の窓を用意する形が使われます。
アカウントの接続を解除したら、手元のファイルが消えました。
ストリーミングのアカウントの接続を解除すると、オフライン用に手元へ置いていたファイルは削除される仕様です。解除する前に、残しておきたいファイルはドライブのフォルダの外へコピーしてください。