Google MeetをMacアプリにするとは|何ができて、どこで詰まるか

Google MeetをMacアプリにする、という言い方には二通りの意味が混ざっています。ひとつは「公式のデスクトップアプリを入れる」という意味、もうひとつは「ブラウザで開いているmeet.google.comを、Dockから開く独立したウインドウにする」という意味です。この二つを分けないまま情報を集めると、手順の記事を読んでも自分の環境と噛み合いません。ここでは、パソコン向けのMeetが実際にどういう形で提供されているのかを確かめたうえで、アプリにしたときに何が変わり、どこで詰まるのかを順番に見ていきます。

パソコン向けのMeetは、ブラウザで開く形で提供されている

まず前提の確認です。Googleが公開している利用条件のページでは、会議に必要なものとして「Meetモバイルアプリ、Gmailモバイルアプリ、またはサポート対象のウェブブラウザ」が挙げられています。モバイルにはアプリがあり、パソコンにはブラウザが挙がっている。この並びが、パソコン向けの提供形態をそのまま表しています。

対応するブラウザとして名前が挙がっているのは、Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safariの4つです。いずれも最新版の利用が推奨されています。OSの側にも条件があり、macOSについては最新バージョンとその2つ前までのメジャーリリースが対象とされています。3世代より古いmacOSに留まっているMacでは、アプリの形にするかどうか以前に、Meet自体が対象外になっている可能性があります。

つまり「Google MeetをMacアプリにする」という作業は、配布されている専用アプリを探してくる作業ではありません。ブラウザで動いているものに、専用のウインドウとDockのアイコンを与える作業です。ここが分かると、次に確かめるべき点もはっきりします。中身はブラウザのままなので、ブラウザ由来の制限はそのまま引き継がれるということです。

アプリにしたときに、実際に手に入るもの

作られるのは、タブの並びから切り離された一枚のウインドウと、Dockに置ける専用のアイコンです。この二つが揃うと、いくつかの動きが変わります。

  • アプリケーションスイッチャー(CommandとTabの同時押し)に独立した項目として並ぶ
  • Dockのアイコンを押せば、会議の画面に直行できる
  • ブラウザのタブを閉じる操作で、通話中の画面を巻き添えにしなくなる
  • Spotlightからアプリ名で呼び出せる
  • ログイン状態を、ブラウザ側とは別に保持できる作りにもできる

会議のソフトに限って言えば、3つ目の効果が一番大きく出ます。ブラウザのタブが30枚ほど並んだ状態で通話をしていると、別の作業でタブを整理した拍子に通話のタブごと閉じてしまう事故が起きます。独立したウインドウになっていれば、その事故は構造的に起きません。

一方で、手に入らないものもあります。画面のどこからでも呼び出す全画面のキー登録は、ウインドウを作っただけでは付いてきません。常駐するプロセスとシステム全体へのキー登録が要る仕組みだからです。会議の予定が近づいたら知らせるという動きも、カレンダー側の通知とは別物として考える必要があります。

ウインドウの中身が、画質と機能の上限を決める

ここが、この題材でいちばん見落とされる部分です。作ったアプリの中で動いているのがどのブラウザエンジンなのかによって、Meetで使える機能が変わります。Safari系のエンジンで作るのか、Chromium系のエンジンで作るのかは、見た目の好みではなく機能の上限の話です。

送信する映像の解像度について、Googleは次のように書いています。

重要: Firefox と Safari は 1080p に対応していません。 出典: support.google.com

この一文は、Safariのエンジンで包んだアプリにもそのまま効きます。加えて、1080pで送れるアカウントの側にも条件があり、Business Plus、Business Standard、Education Plus、Enterprise各種、Google Oneの保存容量2TB以上、Google Workspace Individual、Teaching and Learning Upgradeといったエディションに限られます。受信する側は対応デバイスがあれば誰でも見られます。

被写体を自動で中央に寄せる動画のフレーム処理も、対応ブラウザが限られています。Windows、Mac、Linuxで使えるのはChromeのM91以降と、Edge(Chromium)の91以降です。WebGLへの対応とハードウェアアクセラレーションが有効になっていることも条件になります。

反対に、背景のぼかしやエフェクトの側は事情が違います。Macで視覚効果を使うための条件として挙がっているのは、ChromeのM114以降、Firefoxの110以降、Edgeの114以降、そしてSafariの16.4以降です。ここにはSafariが入っています。「Safari系だと全部が使えない」わけではなく、機能ごとに線が引かれている、というのが正確なところです。

カメラとマイクの許可は、作ったアプリでもう一度聞かれる

ブラウザでMeetを使っていたときに一度許可したのだから、アプリにしても引き継がれるだろう。そう考えて作ると、最初の通話で声が出ません。

カメラとマイクの許可は、サイトの出どころ(オリジン)と保存領域の組み合わせに対して記録されています。独立した保存領域を持つ形でアプリを作った場合、そこは記録がまだ無い場所です。もう一度、アプリのウインドウの中で許可を出す必要があります。Googleの案内でも、アクセスを許可する操作はブラウザでMeetのホームページを開いて行うものとして説明されており、許可を出す場所と許可が効く場所は対応しています。

ブラウザ側で以前ブロックしたまま忘れている場合も同じです。画面右上の「カメラはブロックされています」の表示から、meet.google.comへのカメラとマイクのアクセスを常に許可する設定に変えられます。作ったアプリで映像が出ないときは、アプリのウインドウの中でこの表示を探すのが先です。ブラウザの設定画面をいくら見直しても、別の保存領域の話なので変わりません。

画面共有は、macOS側の許可がもうひとつ要る

もう一段深いところに、OSの許可があります。画面を共有する動きは、macOSでは画面収録の区分に入ります。システム設定のプライバシーとセキュリティにある画面収録の一覧に、そのアプリが載っていて、かつ有効になっている必要があります。

ここが詰まりやすいのは、許可を求める主体がアプリごとに分かれているからです。Chromeに画面収録を許可してあっても、Chromeを土台にして作った別のアプリは別の名前で登録されます。会議が始まってから共有ボタンを押して、何も起きずに焦る、という流れになりがちです。作ったその日に、一人で会議を立てて共有を一度試しておくと、この事故は避けられます。許可を与えた直後にアプリの再起動を求められる場合もあります。

会社から支給されたMacでは、この一覧が管理ポリシーで制御されていることがあります。その場合は自分の操作では有効にできません。共有を使う予定があるなら、作る前に管理者へ確認しておく順番が安全です。

招待リンクがどこで開くかを、決めておく必要がある

会議は、たいていカレンダーの招待から始まります。招待のリンクを押したとき、それが作ったアプリで開くのか、いつものブラウザで開くのかは、作り方によって変わります。何も決めずに作ると、ブラウザ側で開いてしまい、せっかくのアプリが使われないまま残ります。

この動きを扱えるかどうかは、使う道具によって差が出る部分です。特定のURLの並びを指定して、その範囲は自分のアプリで開き、それ以外は既定のブラウザへ渡す、という振り分けを設定できるものがあります。逆に、単純なウインドウを作るだけの方式では振り分けの設定が持てず、リンクの扱いはOSの既定のブラウザ設定に従います。

もうひとつ、会議のURLは毎回変わります。入口として固定しておくのはmeet.google.comのホーム画面にして、個別の会議はそこから入るか、リンクの振り分けで受け取る形にするのが扱いやすい形です。特定の会議のURLを入口に固定してしまうと、その会議が終わった翌日から使えないアプリになります。

端末の性能が足りているかは、作る前に確かめられる

Meetは、使っている端末の性能に応じて会議中の動きを自動的に調整します。判断の材料になるのはCPUの性能、端末の設計、周囲の温度などの環境要因だと説明されています。

具体的な目安も公開されています。最小の要件はデュアルコアのプロセッサとメモリ2GBで、これは会議への参加と、動画以外のコンテンツの表示までの範囲です。高品質の映像と音声、動画を含む資料の共有、ビジュアルカメラエフェクトの利用、会議中のマルチタスクまで求めるなら、第10世代のIntel i3、i5、i7(Ice Lake以降)やAMD 3000シリーズのRyzen 5または7が推奨される最小基準として挙がっています。最適な条件としては、第11世代のIntel i5やi7、AMD 5000シリーズのRyzen、Apple SiliconのM1、1080p対応のカメラ、WebGL 2.0に対応したグラフィックが並びます。

アプリの形にしても、この条件は軽くなりません。ウインドウの見た目が変わるだけで、映像の符号化と復号、エフェクトの処理はGPUを使って同じように走ります。古いMacで会議が重い場合、原因はウインドウの作り方ではなく端末の側にあります。この切り分けを先にしておくと、道具を替えても解決しない問題に時間を使わずに済みます。

対応しているサービスの一覧から読み取れること

サイトをアプリにする道具の側から見ると、会議のサービスは少し特殊な位置にいます。用意されている対応サービス一覧を眺めると、並んでいるのはタスク管理、会計、デザイン、社内の管理画面のように、1日中開きっぱなしになる種類のサイトが中心です。会議のサービスはそれらと違い、1日のうち決まった時間だけ前に出てきて、終われば引っ込みます。

この違いは、何を設定しておくべきかに直結します。開きっぱなしのサイトなら、通知とログインの保持がいちばん効きます。会議のサービスで効くのは、起動の速さと、リンクの受け取り方と、権限が事前に通っていることです。どこまでを道具の側が引き受ける作りなのかはできることに並んでおり、作ったあとに設定を直す手順や、不要になったときの消し方は使い方ガイドにまとまっています。

費用の条件も、必要な機能を決めてから見比べるほうが判断しやすくなります。買い切りなのか継続課金なのか、対応するmacOSの版はどこまでなのかを料金で先に確かめておくと、作り直しの手間が減ります。権限まわりで引っかかりやすい点はよくある質問にも整理されています。

決めることは最終的に3つに絞られます。中身のエンジンをSafari系にするかChromium系にするか。招待リンクをどこで受け取るか。画面共有の許可を事前に通しておくか。この3つに答えが出ていれば、作ったその日から使える形になります。答えが出ていないまま作ると、最初の会議で止まります。

よくある質問

Google Meetに、Mac向けの公式デスクトップアプリはありますか?

Googleが公開している利用条件のページでは、会議に必要なものとしてモバイルアプリかサポート対象のウェブブラウザが挙げられています。パソコンで使う形はブラウザが前提です。アプリにするという話は、ブラウザで開いている画面に専用のウインドウとDockのアイコンを与える作業を指します。

アプリにすると画質は良くなりますか?

ウインドウの形を変えても、映像の処理そのものは変わりません。むしろ中身のエンジンによって上限が決まります。送信の1080pについてはFirefoxとSafariが対応しておらず、加えて送信できるアカウントのエディションにも条件があります。画質を優先するならChromium系のエンジンで作る判断になります。

画面共有ができないときは、どこを見ればよいですか?

macOSのシステム設定にある、プライバシーとセキュリティの画面収録の一覧を確認します。作ったアプリがそこに載っていて有効になっている必要があります。土台にしたブラウザに許可が出ていても、別名で登録される別のアプリとして扱われるため、あらためて許可を出す操作が要ります。

仕事用と個人用のアカウントを分けて使えますか?

保存領域を分ける作り方であれば、片方を仕事用、もう片方を個人用として並べられます。ただし分けた分だけカメラとマイクの許可も別々に出す必要があります。Dockに並べたときに見分けが付くよう、名前とアイコンを変えておくと押し間違いが減ります。

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