iCloudをMacアプリにする|共有の設定をする窓を分ける

写真の共有アルバムに家族を招いたり、iCloud Driveのフォルダを取引先に渡したりする作業を毎週やっていると、iCloud デスクトップ アプリという形を探したくなります。Macの「システム設定」を開くのか、ブラウザでiCloud.comを開くのか、その都度迷うからです。結論を先に書くと、AppleがMac向けに配っているiCloudのデスクトップアプリはありません。Macでは設定が本体に組み込まれていて、ウェブの画面はiCloud.comが担います。そのiCloud.comだけを独立した窓にすると、共有の設定をする場所が1か所に固定されます。

AppleがアプリとしてMacに配っているものは何か

Appleのサイトを見ると、デスクトップ向けのiCloudアプリはWindowsパソコン向けとして案内されています。iCloud+のページには、保存したものをどこから扱えるかが次のように書かれています。

iCloud.com。 あなたがiCloudに保存したものを、どのブラウザでもデバイスでも、簡単に表示、管理、編集、共有できます。Windows用iCloudアプリを使えば、iCloudに保存した写真やファイルに、あなたのWindowsパソコンから直接アクセスすることもできます。 出典: apple.com

Macについては、同じページのストレージの確認方法の案内が「iPhone、iPad、Macで『設定』、[あなたの名前]、『iCloud』の順に選択してください」となっています。つまりMacでは、容量の確認や同期のオンオフといった設定の側がOSに組み込まれており、アプリとして別に配る必要がない作りです。

ウェブの側については、iCloudユーザガイドに独立した項目が立っています。「ウェブでiCloudを使用する」として、iCloud.comでメール、写真、ファイルなどを表示できると案内されています。Macの利用者にとってのiCloudは、OSに入った設定画面と、ブラウザで開くiCloud.comの2つに分かれている、と整理できます。

検索結果に「macOS版をダウンロード」という見出しのページが並ぶのは、この構造を知らないまま探した人の受け皿になっているためです。

macOS版をダウンロードiCloudは、Appleデバイス向けのクラウドサービスで、写真、ドキュメント、連絡先などを安全に保存・同期することができます。このアプリの開発者ですか?掲載情報を管理するには、所有権を確認してください。 出典: webcatalog.io

末尾に開発者向けの所有権確認の案内が出ているとおり、これはAppleが出しているページではありません。Webの画面をアプリの形で開く仕組みを提供している第三者のサービスの掲載情報です。やっていること自体は、この記事で後述する「iCloud.comを独立した窓にする」と同じ系統の話になります。どこが出している何なのかを見てから進むほうが、後で取り違えません。

Macの「設定」とiCloud.comの役割の違い

Macに組み込まれた設定の側で決めるのは、どのアプリのデータをiCloudに載せるかという分担です。写真、iCloud Drive、メモ、カレンダー、Safari、パスワードとキーチェーン、連絡先のそれぞれについて、同期のオンオフを切り替えます。ここは1回決めたら、しばらく触らない性質の場所です。

対してiCloud.comで行うのは、保存したものの扱いです。写真の共有アルバムにメンバーを追加する、iCloud Driveのフォルダのリンクを作る、閲覧だけか編集もできるかを選ぶ、といった操作がここに集まります。Appleの説明では、共同作業についてファイル、フォルダ、書類などをリンクで共有し、データを表示、編集、共有できるメンバーを管理でき、ほかの人が編集している様子をリアルタイムで確認できるとされています。

つまり、頻度が高いのはiCloud.comの側です。設定は年に数回、共有の操作は週に何度も発生します。それなのに、iCloud.comはブラウザのタブの中にあり、検索結果や取引先のサイトと同じ列に並んでいます。共有アルバムに1枚追加するだけのつもりで開いて、タブを探すところから始まるのは、回数が多いぶん積み上がります。

Macの標準機能だけで、この頻度の高い側を独立した窓に出せます。しかも費用はかかりません。

Safariの「Dockに追加」でiCloud.comの窓を作る

macOS Sonoma 14以降を使っているなら、Safariの機能がそのまま使えます。SafariでiCloud.comを開き、メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選び、名前を付けて「追加」をクリックします。作られたものはホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに保存され、DockからもSpotlightからも開けるようになります。

この窓がSafariのタブと何が違うのかは、Appleの説明にはっきり書かれています。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。Webアプリで行ったことは、その中だけで完結します。 出典: support.apple.com

Cookieが共有されないため、Safariで既にサインインしていても、作った窓では改めてサインインを求められます。2ファクタ認証を使っている場合は、その確認コードの入力も窓ごとに1回通ることになります。所要はせいぜい1分ですが、手元にiPhoneがない状態で始めると止まるので、先に用意しておくと滞りません。

作ったあとに変えられる項目もそろっています。窓を開いてメニューバーでアプリの名前をクリックし、「設定」を選ぶと、アプリケーション名、アイコン、ナビゲーションコントロールを表示するかどうかを選べます。共有のリンクをチャットに貼る作業が多いなら、共有ボタンを含むナビゲーションコントロールを表示しておくほうが速く済みます。素のアプリらしい見た目に寄せたい場合は非表示にできますが、URLを取り出す手数が増えます。使い方に合わせて決める部分です。

Chromeでアプリとしてインストールする手順

Safariを主に使っていない場合は、Chrome側の手順があります。Chromeで対象のページを開き、右上のその他アイコンから「キャスト、保存、共有」を選び、「ページをアプリとしてインストール」を選びます。サイトによっては、アドレスバーの右側にインストールのアイコンが出ることもあります。

Chromeのヘルプでは、こうしたウェブアプリについて、ウェブサイトがアプリとして機能し、パソコンやモバイルデバイスのランチャーやホーム画面からアクセスできるようになると説明されています。一部のウェブアプリには、オフラインでコンテンツを閲覧するための追加のストレージ、通知、ファイルシステムへのアクセス、アイコンバッジなどの追加機能が含まれるとも書かれています。単なるブックマークとは別物として扱われている点が、Safariの場合と共通しています。

Chromeで作ったものはchrome://appsから管理でき、アイコンを右クリックして「起動時に開く」を選べば、Macにログインした時点で開いた状態にできます。デスクトップやメニューにショートカットを作る項目も同じ場所にあります。毎朝いちばんに共有アルバムを確認する使い方なら、ここを入れておくと開く操作自体が要らなくなります。

なお、インストールの項目が出てこないサイトもあります。その場合はSafariの「Dockに追加」を使うか、あとで触れる専用の道具を使う経路になります。

共有の設定をする窓を分けると何が変わるか

共有の操作を独立した窓に移すと、効いてくるのは次の4点です。

  • Command+Tabの並びにアイコンが入る。共有アルバムを開く動きが、タブを探す動きから切り替え操作に変わります
  • 窓の中で通知の許可を与えれば、Dockのアイコンに未読の件数がバッジとして表示されます
  • システム設定の通知一覧に、WebサイトのURLではなく窓の名前で並びます。ここだけ通知を出し、ほかを切るという調整ができます
  • ログイン項目に追加しておけば、Macにログインした時点で開いた状態にできます

家族や仕事の相手と共有する範囲を管理する作業は、取り違えが起きると面倒な種類の作業です。共有写真ライブラリは自分以外の最大5人と写真やビデオを共有できる仕組みで、共有アルバムはAndroidやWindowsのデバイスを使っている人も含めて写真、ビデオ、コメントを追加できます。誰をどこに入れたかを確かめる画面が固定された場所にあるほうが、確認の手数が減ります。

一方で、変わらないことも把握しておくべきです。表示される画面も、操作も、できることも、ブラウザで開いたときと同じです。窓にしたからといって同期が速くなることはありませんし、保存できる容量も変わりません。変わるのは、そこへ到達するまでの手数と、取り違えの起きにくさだけです。

ストレージのプランと、窓の数の関係

窓を分ける話と料金の話は本来別ですが、気になる人が多いので整理しておきます。iCloudは5GBまで無料で、iCloud+の料金は50GBが月額180円、200GBが月額540円、2TBが月額1,800円、6TBが月額5,500円、12TBが月額11,000円という構成です。いずれのプランも、追加料金なしで自分以外の家族5人までと共有できるとされています。

窓をいくつ作っても、ここに影響はありません。同じアカウントで開く窓が増えるだけで、契約が増えるわけではないからです。関係するのは、使っているApple Accountの数と、それぞれの契約です。

窓の数が効いてくるのは、Apple Accountを複数使い分けている場合です。個人用と、家族の管理用、あるいは仕事で使っているものを行き来する人は、1つのブラウザで回していると、開いた画面がどのアカウントのものかを都度確かめる作業が発生します。Cookieとサイトデータが共有されない仕様は、ここで効きます。アカウントごとに窓を作ってそれぞれサインインしておけば、開いた時点でどれかが確定します。名前とアイコンを変更できるので、Dockの中で見分けも付けられます。

費用の面で言えば、Macの標準機能で作る分にはかかりません。専用の道具を使う場合も、作れるアプリの数に上限を設けた無料の範囲を用意しているものがあります。まず費用のかからない範囲で1つ作り、効き目を確かめてから広げる順序が無理のない進め方です。

ほかの毎日開くサイトも同じ形にそろえる

iCloud.comを窓にして具合がよければ、次はメール、カレンダー、チャット、社内の管理画面へと広がります。ここで問題になるのが、作り方がばらつくことです。SafariのWebアプリはmacOS Sonoma 14以降が前提で、Chromeのウェブアプリはインストールの項目が出ないサイトもあり、作った窓の設定画面もそれぞれ別の場所にあります。

作り方を1つにそろえたい場合は、サイトをアプリにする専用の道具を使う経路があります。URLとアイコンを指定して独立したアプリを作る形で、アプリごとに別のブラウザプロファイルを割り当てるものが多く、アカウントの使い分けを前提に設計されています。300以上のプリセットからすぐ作れる作りであれば、よく使われるサービスはURLの入力もアイコンの設定も要りません。作れる範囲はできることにまとまっており、実際の流れは使い方ガイドで確認できます。

選ぶときに見る点は3つです。ブラウザが更新されたときに作ったアプリがどうなるか、通知をアプリごとに切り替えられるか、複数のサービスを1つの窓にまとめる形を選べるか。写真とファイルとカレンダーを数分おきに行き来するなら1つの窓にまとめたほうが速く、通知の扱いを分けたいならアイコンを分けたほうが向きます。登録済みのサービスは対応サービス一覧で確認でき、無料の範囲でどこまで作れるかは料金にあります。細かい挙動の違いはよくある質問に整理されています。

進め方としては、まずSafariの「Dockに追加」で1つ作り、1週間そのまま使うのが確実です。共有の操作をする場所が固定されたか、アカウントの取り違えが減ったかを見ます。そこで足りるなら追加の道具は要りません。macOSの版が合わない、Apple Accountが3つ以上ある、ほかの毎日開く画面も同じ形にしたい。この3つのどれかに当たった人だけが、次を見ればよい話です。

よくある質問

iCloudにMac用の公式デスクトップアプリはありますか?

Appleのサイトでデスクトップ向けのアプリとして案内されているのはWindows用iCloudアプリです。Macでは容量の確認や同期の設定が「設定」の[あなたの名前]から「iCloud」を選ぶ形でOSに組み込まれており、ウェブの画面はiCloud.comが担います。アプリとして別に配られてはいません。

検索で出てくる「macOS版をダウンロード」は公式のものですか?

掲載元を見ると、Webの画面をアプリの形で開く仕組みを提供している第三者のサービスの掲載情報です。ページ内に開発者向けの所有権確認の案内が出ていることからも、Appleが配布しているものではないと分かります。仕組みとしては、Macの標準機能で窓を作る方法と同じ系統になります。

iCloud.comを窓にすると、サインインはやり直しになりますか?

やり直しになります。Appleの説明では、SafariのWebアプリは閲覧履歴やCookie、Webサイトデータ、設定情報をSafariと共有しません。そのため作った窓で初回のサインインと2ファクタ認証を1回通す必要があります。確認コードを受け取る端末を手元に置いてから作業を始めると滞りません。

窓を分けると容量や同期の速さは変わりますか?

変わりません。表示される画面も操作もできることもブラウザで開いたときと同じで、保存できる容量はiCloudのプランで決まります。iCloudは5GBまで無料で、iCloud+は50GBが月額180円、200GBが月額540円、2TBが月額1,800円です。窓を増やしても契約が増えることはありません。

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