Macのソフトを増やさないという選び方|おすすめの線引き

Macを新しくしたときや環境を作り直したときに、おすすめのソフトを探して片っ端から入れていくと、半年後には起動しないソフトと期限切れのライセンスが残ります。いま同じ作業がWebの画面でできているなら、ソフトを増やさずに済ませる道があります。判断の分かれ目は、そのソフトが手元のファイルを直接扱うかどうかの1点です。

ソフトを1本入れるたびに3つの手間が増える

Macにソフトを1本入れると、その時点から3種類の手間が発生します。数えておくと、おすすめの一覧を眺めるときの目が変わります。

1つ目は更新です。App Store経由のものは自動で更新されますが、開発元のサイトから落としたものは、起動のたびに更新の確認が出たり、自分で新しい版を取りに行ったりする必要があります。入れたソフトが 20 本あれば、更新の通知も20本分届きます。

2つ目はライセンスの管理です。買い切りのもの、月額のもの、年額のもの、無料だが機能に制限があるものが混ざると、どれをいつまで払っているのかが把握できなくなります。年に1度だけ使うソフトに月額を払い続けていた、という形で気づくことが多いのがこの種の出費です。

3つ目はOSを新しくしたときの互換です。macOSの大きな更新のたびに、動かなくなるソフトが出ます。開発が止まっているソフトほどこの影響を受けやすく、そのソフトのためだけにOSの更新を見送る、という状態に陥ることがあります。ソフトの本数が増えるほど、この足かせに当たる確率は上がります。

Webの画面は更新作業が要らない

Webサービスには、この3つの手間がほとんどありません。新しい機能は運営側が画面を差し替えた時点で全員に届き、利用者側で何かを入れ直す作業は発生しません。機能が変わったことに気づかないまま新しい版を使っている、というのが普通の状態です。

ライセンスについても、契約の管理はサービス側の画面に集約されます。解約も同じ画面でできるため、「どこで買ったか分からないソフト」が生まれにくくなります。OSを新しくしたときの互換も、Webの画面である限りは問題になりません。土台になるブラウザが動けば、中身は同じように表示されます。

近年は、以前ならソフトを入れる必要があった作業の多くがWebで完結するようになりました。文書の作成、表計算、図の作図、画像の切り抜き、動画の簡単な編集、請求書の発行、勤怠の入力といった作業は、ブラウザの中で足ります。おすすめのソフトを探す前に、その作業がすでにWebでできていないかを確認する価値はここにあります。

Webが不利になるのは4つの場面

とはいえ、Webが常に有利なわけではありません。ソフトを入れたほうがよい場面は4つに絞れます。

1つ目は、手元のファイルを直接扱う作業です。大量の写真の整理、動画の書き出し、音の編集、大きなファイルの圧縮といった作業は、ファイルを読み書きする速度がそのまま作業時間になるため、Macの中で動くソフトのほうが速くなります。

2つ目は、インターネットに繋がっていない場所で使う場合です。移動中や電波の弱い場所で作業するなら、手元にデータが残る形が要ります。3つ目は、OSの機能と深く結びつく作業で、スクリーンショットの加工、画面の録画、キーボードの割り当ての変更、ウインドウの整列といった道具は、ブラウザの外にいる必要があります。

4つ目は、起動の速さが体感を左右する作業です。ひらめいたことをすぐ書き留めるメモのような用途では、ブラウザを開いてタブを探す2段階が邪魔になります。ただし、この4つ目については、Webのページを独立した窓に切り出すことで解決できる場合があります。Dockのアイコンを1回押せば開く状態になれば、ソフトを入れた場合と操作の手数は変わりません。

この4つに当てはまらない作業のためにソフトを入れようとしているなら、一度立ち止まる価値があります。おすすめの一覧に並んでいるという理由だけで入れたソフトは、最初の1週間を過ぎると起動されなくなることが多く、それでも更新の通知だけは届き続けます。

ブラウザだけは更新を続ける必要がある

Webに寄せる場合でも、更新から完全に解放されるわけではありません。ブラウザ本体は更新を受け取り続ける必要があります。Googleはこの点を明記しています。

最新のセキュリティ アップデートでユーザーを保護するために、Google Chrome は、新しいバージョンが利用可能になったときに自動更新できるようになっています。 出典: support.google.com

Chromeの更新は、ブラウザを閉じて次に開くまでの間にバックグラウンドで行われます。しばらく開きっぱなしにしていると保留中の更新が溜まるため、1日に1度は閉じて開き直すと、意識せずに最新の状態が保てます。

ここで重要になるのが、Webのページを切り出して作ったアプリが、この更新をどう受け取るかです。この種の道具は、選んだブラウザの実体を参照する形でアプリを組み立てるため、ブラウザを更新すると生成したアプリにも自動的に反映されます。アプリの本数が 10 本あっても、更新するのはブラウザ1本だけで済みます。ソフトを10本入れた場合との差が出るのはここです。

おすすめの一覧に並ぶ定番を分類してみる

Macのおすすめソフトとして挙がる顔ぶれは、だいたい6つの区分に収まります。この区分ごとに、Webへ置き換えられるかどうかを見ると判断が早くなります。

メールとカレンダー、チャットの3つは、Webの画面が本家であることが多い区分です。GmailにもGoogleカレンダーにもmacOS向けの公式アプリは配布されておらず、App Storeに並ぶのはどれも他社が作ったものになります。この区分は、Webの画面をそのまま独立させるのが素直な形です。

文書と表計算、資料作成の3つは、Webでもソフトでも成立する区分です。共同編集を前提にしているならWebが有利で、細かい書式を詰めたり大きなファイルを扱ったりするならソフトが有利になります。画像と動画、音の編集はソフトが優位な区分で、ファイルの読み書きが速度を決めるためWebでは代わりになりにくい部分が残ります。

作業の記録やタスクの管理、メモの区分は、起動の速さが体感を左右します。Webのままでも、独立した窓に出して起動を1回の操作にすれば、ソフトを入れた場合との差はほとんどなくなります。最後の区分がユーティリティで、画面の録画、ウインドウの整列、クリップボードの履歴、メニューバーの整理といった道具です。この区分はブラウザの外にいる必要があるため、素直にMacへ入れる対象になります。

Webに寄せるときに注意する3点

Webに寄せる方針にも、押さえておくべき弱点があります。1つ目は、ログインの情報が1箇所に集まることです。ブラウザに全部のサービスのログインを預ける形になるため、そのブラウザのプロファイルを守る重みが増します。アプリごとにプロファイルが分かれる方式を選ぶと、1つのプロファイルが抱える範囲が狭くなり、この重みを分散できます。

2つ目は、ブラウザが不調のときに影響が広がることです。ソフトを個別に入れていれば、1本が落ちても他は動きますが、全部をブラウザに寄せていると一度に止まります。この点は、土台にできるブラウザを複数の候補から選べる方式なら、一部のアプリだけ別のブラウザで作るという逃げ道が作れます。

3つ目は、機械を入れ替えるときの手間です。ソフトの場合は入れ直しが必要ですが、Webの場合はログインのやり直しと二段階認証の再設定が必要になります。作業量としてはどちらも同じくらいで、Webにしたから移行が楽になるとは限りません。設定を書き出して別の機械へ持っていける仕組みがあるかどうかは、道具を選ぶときに見ておく価値があります。

入れるものと入れないものの線引き

整理すると、線引きは次のようになります。手元のファイルを直接扱うもの、OSの機能と結びつくもの、オフラインで使うものはMacに入れる。それ以外で、すでにWebの画面で用が足りているものは入れない。

そのうえで、Webのまま使うと決めたサービスのうち、1日に何度も開くものだけを独立した窓に切り出します。この選別が要るのは、全部を独立させるとDockがアイコンで埋まり、探す手間がタブからDockへ移るだけになるからです。目安は、今日1日でそのタブを探した回数が指で数えきれるかどうかです。

候補になるサービスの顔ぶれは、この種の道具にあらかじめ登録されているプリセットの一覧を見ると見当が付きます。対応サービス一覧には、メール、カレンダー、チャット、AIの対話画面、動画、買い物、業務系の管理画面といった区分で並んでいて、上位に来るのはどれも開いている時間が長く、他のタブと見比べる意味が薄いものです。逆に、検索や調べものに使うページはこの一覧の上位には来ません。他のタブと行き来することに意味があるページは、ブラウザの中に置いたままのほうが扱いやすいためです。

切り出した窓をどこまで自分に合わせられるか

独立した窓に出すと決めたあと、どこまで細かく指定できるかで使い勝手が変わります。300以上のサービスプリセットから選ぶだけで作れることのほか、アプリごとにブラウザのプロファイルを分けられる点、拡張機能をアプリ単位で切り替えられる点、Webサイトの通知をmacOSの通知センターに流せる点ができることに並んでいます。プロファイルが分かれる性質は、同じサービスのアカウントを2つ以上使い分けている人に効きます。

作る流れと設定の意味は使い方ガイドが画面ごとに順を追っています。タブバーを隠すかどうか、Dockに表示するかどうか、終了時に確認を出すかどうか、前回のタブを復元するかどうかといった項目が1つずつ説明されていて、あとから変更もできます。ソフトを増やさない方針を取る場合、設定を作り込みすぎないほうが移行のときに楽になります。

費用の考え方も先に見ておくと迷いません。料金では無料で作れる本数と買い切りの金額が並んでいて、まず 3 本まで作って試してから決める形になっています。買い切りの価格は 3,980 円(税込)で、月額の課金はありません。ソフトを増やさない方針を取る理由の1つが月額の積み上がりなら、買い切りかどうかは選ぶときの基準になります。

導入の前に引っかかりやすい点は、先に答えを見ておくと想定外が減ります。どのブラウザが必要か、ブラウザが更新されたときに生成したアプリはどうなるか、アプリを削除したときにログイン情報はどこへ行くのかといった項目がよくある質問に並んでいます。

やることの順番はこうなります。まず、いま入っているソフトの一覧を開いて、直近1か月で起動していないものに印を付けてください。次に、そのうちWebの画面で同じことができるものを外します。最後に、毎日開くWebサービスだけを独立した窓に切り出します。この3手順で、入れるものと入れないものの境界は自分の使い方に合った位置に落ち着きます。

よくある質問

Macにソフトを入れずにWebで済ませると何が変わりますか?

更新作業、ライセンスの管理、OSを新しくしたときの互換という3つの手間が減ります。Webサービスは運営側が画面を差し替えた時点で新しい機能が届くため、利用者側で入れ直す作業が発生しません。契約の管理もサービス側の画面に集約されます。

どんな作業はWebではなくソフトを入れたほうがよいですか?

手元のファイルを直接扱う作業、インターネットに繋がっていない場所で使う作業、OSの機能と深く結びつく作業の3つです。大量の写真の整理や動画の書き出し、画面の録画、キーボードの割り当ての変更などが当てはまります。

Webのページをアプリにすると、更新はどうなりますか?

この種の道具は選んだブラウザの実体を参照してアプリを組み立てるため、ブラウザを更新すると生成したアプリにも自動的に反映されます。アプリが何本あっても、更新するのはブラウザ1本だけで済みます。

毎日開くWebサービスを全部アプリにしてよいですか?

全部を独立させるとDockがアイコンで埋まり、探す手間がタブからDockへ移るだけになります。目安は、今日1日でそのタブを探した回数です。指で数えきれないほど開いているものだけを切り出し、調べものに使うページはブラウザの中に置いたままにしてください。

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