kintoneをブラウザの外に出す|通知を見落とさない置き方

自分宛の通知に気づくのが遅れて、差し戻しのコメントを半日そのままにしてしまう。kintone デスクトップ アプリという形を探す人の多くは、この場面から入ります。結論を先に書くと、サイボウズがkintone向けに配っているデスクトップアプリはありません。ただし、Macでkintoneを独立した窓に出す手順はあり、しかも通知を受け取りたいかどうかで作り方が先に決まります。ここを取り違えると、窓は作れたのに通知が出ない状態になります。

サイボウズが配っているデスクトップ用ツールの対象

サイボウズのツールダウンロードのページは、専用スマートフォンアプリとデスクトップ用ツールの2つに分かれています。スマートフォン側には「kintone モバイル」があり、自分宛の通知をリアルタイムにプッシュ通知で受け取れると案内されています。配布先はiPhoneとAndroidです。

デスクトップ用ツールの欄に置かれているのは「Cybozu Desktop 2」の1つで、新着情報をデスクトップでお知らせするアプリケーションと説明されています。こちらにはWindows版とMac版の両方が用意されており、Mac版の動作環境はMacOS X 10.10以降、インストールにはMac App Storeを利用するためのApple IDが必要とされています。ただし、対応製品として挙げられているのはクラウド版のサイボウズ OfficeとGaroon、およびパッケージ版のサイボウズ Office 10バージョン10.2以降とGaroonバージョン5.0以降です。kintoneはこの一覧に含まれていません。

つまり、同じ提供元がMac向けの通知アプリを出してはいるものの、その対象にkintoneは入っていない、という状態です。kintoneをパソコンから使う前提はWebブラウザで、サービスそのものの位置づけも次のように案内されています。

kintone(キントーン)は、AIとノーコードで、現場の業務にフィットする業務アプリをつくれて、業務を進めるほどAI活用の土台となるデータがたまる、サイボウズの業務改善プラットフォームです。 出典: kintone.cybozu.co.jp

検索結果には第三者が出している「デスクトップ・モバイルアプリ」の掲載ページも混ざります。仕組みとしては、この記事で後述する「Webの画面を独立した窓にする」と同じ系統のものです。提供元がどこかを見てから進むほうが、話が食い違いません。

デスクトップ通知が出る条件を先に読む

窓の作り方を決める前に、通知の条件を読む必要があります。ヘルプには次のように書かれています。

kintoneでは、「自分宛」の通知が届いたときにデスクトップ通知を表示できます。 デスクトップ通知を有効にすると、Webブラウザーにkintoneの画面を開いているタブがある状態で「自分宛」の通知を受信した場合、パソコンのデスクトップに通知タイトル、通知メッセージが表示されます。 出典: jp.kintone.help

ここから読み取れる条件は3つです。1つ目は、画面を開いた状態が要ること。閉じていると通知は出ません。2つ目は、対象が「自分宛」の通知だけであること。3つ目は、同じヘルプに明記されているとおり、デスクトップ通知機能を利用できるのはGoogle ChromeまたはMicrosoft Edgeを使っている場合のみ、という点です。この2つ以外のWebブラウザーを使っているときは、個人設定の画面に[デスクトップ通知]の項目自体が表示されないと書かれています。

手順の側も整理されています。まずWebブラウザーの通知設定で、利用しているkintoneのURLを通知の送信を許可するサイトとして追加します。次にOSの通知設定でWebブラウザーの通知の受信を有効にします。macOSの場合は「システム設定」の「通知」から設定すると案内されています。そのうえで[個人設定]画面の[デスクトップ通知]で[有効にする]を選びます。

挙動の癖も書かれています。通知を受信してからデスクトップ通知が表示されるまでには時間差があり、表示される前にWebブラウザーでその通知を閲覧した場合は、デスクトップ通知が表示されません。窓を開きっぱなしにして自分で先に見てしまうと通知は出ない、という動きになります。

通知を受け取りたいなら、窓はChrome側で作る

以上を踏まえると、作り方は自動的に決まります。デスクトップ通知を使いたいなら、窓の中身がChromeかEdgeであることが前提になります。macOS標準のSafariから作るWebアプリは、ヘルプが挙げている2つのブラウザーには当たらないため、この条件では対象外と読むのが素直です。窓としては問題なく作れますが、[個人設定]に[デスクトップ通知]が出ないことになります。

Chromeで作る手順は次の通りです。Chromeで自社のkintoneのURLを開いてログインし、右上のその他アイコンから「キャスト、保存、共有」を選び、「ページをアプリとしてインストール」を選びます。サイトによっては、アドレスバーの右側にインストールのアイコンが出ることもあります。

Chromeのヘルプでは、こうしたウェブアプリについて、ウェブサイトがアプリとして機能し、パソコンやモバイルデバイスのランチャーやホーム画面からアクセスできるようになると説明されています。一部のウェブアプリには、オフラインでコンテンツを閲覧するための追加のストレージ、通知、ファイルシステムへのアクセス、アイコンバッジなどの追加機能が含まれるとも書かれています。単なるブックマークとは扱いが違う点が要点です。

作ったものはchrome://appsから管理でき、アイコンを右クリックして「起動時に開く」を選べば、Macにログインした時点で開いた状態にできます。通知が「画面を開いているタブがある状態」で出る仕様なので、この設定と相性が良い部分です。デスクトップやメニューにショートカットを作る項目も同じ場所にあります。

作り終えたら、自分宛のコメントを1件書いて、通知が出るところまで一度通しておくのが確実です。ブラウザー側の許可、OS側の許可、kintoneの個人設定の3か所がそろって初めて出るため、どれか1つが抜けていると出ません。

通知を使わない場合にSafariで作る利点

通知はモバイルアプリで受けているので、パソコンでは画面を分けたいだけ。この使い方なら、Safariの手順が簡単です。macOS Sonoma 14以降で、Safariでkintoneを開き、メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選び、名前を付けて追加します。ホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに保存され、DockからもSpotlightからも開けるようになります。

この窓の性質は、Appleの説明にはっきり書かれています。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。Webアプリで行ったことは、その中だけで完結します。 出典: support.apple.com

Cookieが共有されないため、自社の環境と取引先から招かれた環境のように、複数のkintoneを行き来する人には効きます。環境ごとに窓を作ってそれぞれログインしておけば、開いた時点でどちらかが確定します。名前とアイコンも変更できるので、Dockの中で取り違えることがなくなります。二要素認証を使っている場合は、窓ごとに初回の認証を通す必要があるため、認証用の端末を手元に置いてから始めると滞りません。

窓に出すと業務のどこが変わるか

効果が出るのは次の4点です。

  • Command+Tabの並びにアイコンが入る。レコードを確認する動きが、タブを探す動きから切り替え操作に変わります
  • 通知の許可を窓の中で与えれば、Dockのアイコンに未読の件数がバッジとして表示されます
  • システム設定の通知一覧に、URLではなく窓の名前で並びます。ここだけ通知を出し、ほかを切る調整ができます
  • ログイン項目や「起動時に開く」に入れておけば、Macにログインした時点で画面が開いた状態になります

業務用の画面ほど、この差が積み上がります。1日に20回開くものと、週に1回開くものでは、1回あたりの手数の差が効く総量がまるで違うためです。窓にする候補を選ぶときは、開く回数が多いかどうかを基準にすると外しません。

一方で、変わらないことも押さえておくべきです。表示される画面も、操作も、アクセス権も、ブラウザで開いたときと同じです。IPアドレス制限を設定している環境でも、窓を分けたところで通信の経路は変わらないため、制限の挙動に影響はありません。アプリの設定やプラグインの動きも同じです。

料金と、窓の数の関係

窓を分ける話と契約の話は別ですが、実務では絡むので整理しておきます。kintoneのコースは3つで、ライトコースが月額1,000円、スタンダードコースが月額1,800円、ワイドコースが月額3,000円で、いずれも1ユーザーあたりの税抜の表示です。最小ユーザー数はライトとスタンダードが10ユーザー、ワイドが1,000ユーザーとされています。年額サービスの場合は1ユーザーあたりライトが12,000円、スタンダードが21,600円、ワイドが36,000円です。30日間の無料お試しも用意されています。

窓をいくつ作ってもライセンスの数には関係しません。同じアカウントで開く窓が増えるだけだからです。関係するのは、参加している環境の数と、その環境ごとの契約です。取引先の環境にゲストとして招かれている場合、その契約は相手側のものなので、こちらで増える費用はありません。

窓を作る側の費用についても同じです。Macの標準機能やChromeの機能で作る分にはかかりません。専用の道具を使う場合も、作れるアプリの数に上限を設けた無料の範囲を用意しているものがあります。まず費用のかからない範囲で1つ作り、効き目を確かめてから広げる順序が無理のない進め方です。

ほかの業務画面も同じ形にそろえる

kintoneを窓にして具合がよければ、次は勤怠、経費、チャット、社内の管理画面へと広がります。ここで問題になるのが、作り方がばらつくことです。SafariのWebアプリはmacOS Sonoma 14以降が前提で、Chromeのウェブアプリはインストールの項目が出ないサイトもあり、通知の条件はサービスごとに違います。

作り方を1つにそろえたい場合は、サイトをアプリにする専用の道具を使う経路があります。URLとアイコンを指定して独立したアプリを作る形で、アプリごとに別のブラウザプロファイルを割り当てるものが多く、環境やアカウントの分離を前提に設計されています。300以上のプリセットからすぐ作れる作りであれば、よく使われるサービスはURLの入力もアイコンの設定も要りません。作れる範囲はできることにまとまっており、実際の流れは使い方ガイドで確認できます。

選ぶときに見る点は3つです。どのブラウザエンジンで動くか、通知をアプリごとに切り替えられるか、複数のサービスを1つの窓にまとめる形を選べるか。kintoneのようにブラウザーの種類で使える機能が変わるサービスでは、1つ目が特に効きます。同じ案件の中で業務アプリとチャットを数分おきに行き来するなら1つの窓にまとめたほうが速く、通知の扱いを分けたいならアイコンを分けたほうが向きます。登録済みのサービスは対応サービス一覧で確認でき、無料の範囲でどこまで作れるかは料金にあります。細かい挙動の違いはよくある質問に整理されています。

進め方としては、通知を使うかどうかを先に決め、使うならChromeの手順で1つ作り、1週間そのまま使うのが確実です。通知の出方と、見落としが減ったかどうかを見ます。そこで足りるなら追加の道具は要りません。環境が3つ以上ある、ブラウザーの選び方に縛られたくない、ほかの業務画面も同じ形にしたい。このどれかに当たった人だけが、次を見ればよい話です。

よくある質問

kintoneにMac用の公式デスクトップアプリはありますか?

サイボウズのツールダウンロードのページでデスクトップ用ツールとして配られているのはCybozu Desktop 2で、対応製品はクラウド版のサイボウズ OfficeとGaroon、およびパッケージ版のサイボウズ Office 10バージョン10.2以降とGaroonバージョン5.0以降です。kintoneは含まれていません。パソコンからはWebブラウザーで使う前提になっています。

デスクトップ通知はどのブラウザーでも使えますか?

使えません。ヘルプには、デスクトップ通知機能はGoogle ChromeまたはMicrosoft Edgeを使っている場合のみ利用できると明記されています。それ以外のWebブラウザーを使っているときは、個人設定の画面に[デスクトップ通知]の項目自体が表示されません。通知を使いたい場合は、窓の中身がこの2つのどちらかである必要があります。

通知を有効にしたのに表示されないのはなぜですか?

確認する場所は4つあります。Webブラウザーで通知の送信を許可するサイトとしてkintoneのURLを追加したか、OSの通知設定でWebブラウザーの通知を有効にしたか、個人設定の[デスクトップ通知]を有効にしたか、対象が「自分宛」の通知かどうかです。表示される前に自分でその通知を閲覧した場合も表示されません。

窓を分けるとアクセス権やIPアドレス制限はどうなりますか?

変わりません。表示される画面も操作もアクセス権も、ブラウザで開いたときと同じです。IPアドレス制限は通信の経路で判定されるため、窓を分けても挙動は変わりません。変わるのは画面へ到達するまでの手数と、複数の環境を行き来するときの取り違えの起きにくさです。

記事一覧へ戻る