Linear の Mac アプリ|入れて変わることと変わらないこと
Linear の Mac アプリを探す状況は、だいたい2つに分かれます。ブラウザのタブが増えすぎて課題管理の画面を見失っている場合と、通知に気づくのが遅れて公式アプリなら直るのではと考えた場合です。公式のデスクトップ版は実在しますが、その中で動いているのはブラウザで開くのと同じWebアプリです。ここを先に押さえると、入れた後に何が変わって何が変わらないのかを取り違えずに済みます。
判断の材料になるのは、配布の形、入れて変わる範囲、そして公式アプリを出していない他のツールをどうするかの3つです。
配布されている形と、入手できる環境
Linear のダウンロードページで案内されているのは、web、macOS、Windows、iOS、Android です。Linux 向けのデスクトップ版はここに並んでいません。ブラウザで使う前提の設計なので、対応していない環境ではWeb版がそのまま代替になります。
macOS 版はディスクイメージで配られ、ファイル名に universal と入った1つのビルドになっています。Apple Silicon と Intel でファイルを選び分ける必要はありません。容量はおよそ213MBで、同じバージョンの Windows 版インストーラはおよそ199MBです。
この容量が、Webサービスのデスクトップ版とは何かを示しています。画面はWebアプリで、容量の大半は一緒に同梱されたブラウザエンジンです。手元のブラウザに依存せず動かすために、各社が自前でエンジンを抱える形になっている。同じ作りのアプリを8本入れれば、ほぼ同じエンジンの複製が8つディスクに置かれ、更新の経路も8本に分かれます。
入手の経路も押さえておくと迷いません。macOS 版は App Store ではなく、公式サイトのダウンロードページから直接配布されています。ディスクイメージを開いてアプリケーションフォルダへ移す形なので、更新もアプリ自身が担当します。App Store 経由でまとめて管理したい環境では、この違いが運用の負担として効いてきます。
もう1つ、バージョンの管理が別系統になる点があります。デスクトップ版は独自の周期で自分を更新します。ブラウザのタブで開いていれば常に最新の画面が出ますが、デスクトップ版は更新が止まった状態があり得ます。動きが古いと感じたときは、まずアプリの更新状況を見る流れになります。
入れて変わること
日常的に効く違いは4つです。
- 独立した窓を持つ: タブの中ではなく、単独の窓で開く
- Command+Tab の並びに出る: アプリとして切り替えの対象になる
- Dockにアイコンとバッジが出る: 未読の件数を数字で確認できる
- アドレスバーとタブバーが無い: その窓が別のサイトに変わることがない
4つ目は地味に見えて効きます。タブは放っておくと増えます。別のサイトを開けない窓は、作業の途中で調べ物の入口に化けることがありません。課題管理の画面をタブから取り出す目的なら、この性質そのものが目的に当たります。
通知については、公式の資料が経路を明示しています。
For real-time alerts, you can use the Linear desktop app, mobile app, Slack, or email digests. 出典: linear.app
リアルタイムに知らせを受け取る経路として、デスクトップアプリ、モバイルアプリ、Slack、メールのダイジェストが並んでいます。デスクトップ版はこのうちの1つという位置づけです。ここを取り違えると、通知のためだけに入れて、期待した変化が起きないという結果になります。
変わらないこと
画面そのものは同じです。ショートカットも表示の切り替えも同じコードから来ているので、入れた後に新しい機能が現れることはありません。
通知もデスクトップ版の専有ではありません。同じ資料に、ブラウザでも動くと書かれています。
Desktop notifications are supported in both the Linear desktop app and supported web browsers. 出典: linear.app
デスクトップ通知は、デスクトップアプリと対応するWebブラウザの両方で使えると書かれています。タブで開いたまま通知の許可を出しておけば、同じ知らせが届きます。通知が唯一の動機なら、ブラウザ側の許可を先に確認するほうが早く、費用もかかりません。
料金の区分も変わりません。公開されている価格表では、無料プランが0ドルで、メンバー数は無制限、チームは2つ、課題は250件までとされています。有料は年払いで1人あたり月10ドルの Basic と、月16ドルの Business、それに個別見積もりの Enterprise という並びです。デスクトップ版を入れても、この上限は動きません。
オフラインで使えるようになるわけでもありません。通信が要るWebアプリは、デスクトップの窓に入れても通信が要ります。
ブラウザ側の負担が減るわけでもない点は見落とされがちです。他のタブがある以上ブラウザは開いたままなので、デスクトップ版の消費するメモリは、ブラウザから移るのではなく上に積み上がります。動作が重いことが動機なら、入れる前にタブの本数そのものを減らすほうが効きます。
通知が来ないときに見る場所
デスクトップ版を入れたのに知らせが届かない場合、原因はアプリの中ではなく外にあることが多いです。順番に見ると切り分けが早く済みます。
1つ目は macOS 側の設定です。公式の案内でも、macOS の設定で Linear の通知を有効にし、赤いバッジを表示する指定も入れておくよう説明されています。バッジだけが出ない場合は、ほぼここです。
2つ目はアプリ側の設定です。アカウントの通知設定で、どの種類の知らせをどの経路で受け取るかを切り替えられます。経路ごとに有効か無効かが表示されるため、デスクトップの欄が切れていないかを確認します。
3つ目は集中モードです。Macの集中モードが入っていると、設定側で許可していないアプリの通知は保留されます。時間帯によって届く日と届かない日がある場合は、この設定が絡んでいます。
4つ目はブラウザ側の許可です。タブで運用していた期間に通知を拒否していると、その状態が残ります。デスクトップ版に移った後もタブを開いたままにしている場合、どちらから来ているのか分からなくなるので、使わないほうを閉じるか通知を切っておくと整理されます。
もう1つ、通知が届いていても気づかない状態があります。アプリを終了していると、当然ながら知らせは届きません。デスクトップ版を通知の経路として使うなら、ログイン項目に登録して起動時から常駐させておく形になります。システム設定の「一般」にあるログイン項目で追加できます。ここまで確認しても届かない場合に初めて、アプリ側の不具合を疑う順番になります。
逆に、通知を増やしたくない使い方もあります。課題管理は自分から見に行くもので、割り込まれたくないという運用です。その場合はデスクトップ版を入れたうえで通知を切り、窓としての利点だけを取る選択ができます。入れる目的が「見失わないこと」なのか「気づくこと」なのかで、設定の入れ方が変わります。
窓に出す価値があるツールの見分け方
デスクトップ版があるからといって、すべて入れる必要はありません。窓として独立させる価値があるのは、次の3つを満たすものです。
- 毎営業日に開いている
- 検索結果やリンクからではなく、自分の意思で開いている
- ログイン状態を保っておく価値がある
課題管理、メール、予定表、チャット、社内の管理画面はたいてい当てはまります。月に数回しか触らないサービスや、他の資料から辿って開くページは当てはまりません。前者に恒久的な置き場所を与え、後者はブックマークに残す。この線引きをしないまま入れ物を増やすと、タブの散らかり方がDockに移るだけになります。
判断に迷うときは、そのツールを開くときに他の画面と行き来しているかを見ます。課題を見ながら仕様書とコードレビューを往復する作業は、3つがタブとして同じ窓に並んでいるほうが速く動きます。逆に、割り込みで開いて処理して閉じる使い方なら、独立した窓のほうが早く戻れます。同じ製品でも、使い方によって答えが変わる部分です。
入れ物を1本ずつ増やす費用
公式アプリが1本だけなら、入れるかどうかの判断は単純です。難しくなるのは、同じ問いをブラウザに並んでいる他のツールにも当てたときです。
| 公式のデスクトップ版 | ブラウザのタブ | サイトから作った独立アプリ | |
|---|---|---|---|
| 入手先 | 提供元ごとに配布 | すでに入っている | 手元でURLから作る |
| 1本あたりの容量 | 自前のエンジンを同梱 | かからない | 既存のブラウザを使う |
| 通知 | 出る | 許可すれば出る | 許可すれば出る |
| Dockのアイコン | 出る | 出ない | 出る |
| 拡張機能 | 提供元の方針による | ブラウザのもの | 土台にしたブラウザのもの |
| 更新 | アプリごとに個別 | ブラウザに追従 | ブラウザに追従 |
| 用意できる範囲 | 配布している製品だけ | すべて | URLがあるすべて |
判断を分ける行は、いちばん下です。Linear は公式のデスクトップ版を配っていますが、隣のタブで開いている社内の管理画面や、取引先が用意した小さなポータル、地域限定のサービスは、探してもMac用アプリが見つからないことが多い。そして日々のタブで見失いやすいのは、たいていそちら側です。
揃わない側をどう扱うか
課題管理だけを窓に出しても、残りのタブは元の状態のままです。全体を同じ扱いに揃えるなら、URLさえあれば独立したアプリにできる道具を使う形になります。公式アプリの有無に関係なく、Dockのアイコンも独立した窓も同じように用意できます。
土台に手元のChromium系ブラウザを使う作りであれば、アプリを1本増やすたびにエンジンの複製が増えることもありません。ログイン状態も拡張機能も、土台にしたブラウザのものがそのまま効きます。300以上のプリセットからすぐ作れる形なら、URLもアイコンも名前も選んだ時点で埋まるため、本数が増えても作成の手数は変わりません。自分が毎日開くサービスが含まれているかは対応サービス一覧で確認でき、窓の挙動やアイコンの指定をどこまで決められるかはできることにまとまっています。
揃えた後の見た目も、地味に効いてきます。ブラウザから作った入れ物は、アイコンがサイト側のファビコンで決まることが多く、似た色の四角が並びます。アイコンを自分で選べる作りであれば、Dockでも切り替えの一覧でも一目で区別が付きます。手順そのものは使い方ガイドに画面付きでまとまっています。
同じ考え方は、2つのワークスペースを行き来する場合にも効きます。入れ物を2つ作れば、それぞれが別のログイン状態を保つため、切り替えのたびにサインインし直す必要がなくなります。Dockには別々の名前と別々のアイコンで並ぶので、押し間違いも減ります。名前は作る時点で決まるため、取引先名やワークスペース名を1語足しておくと後で読み分けられます。
費用の桁も先に見ておくと迷いません。ブラウザ標準の機能は0円、専用の道具は3アプリまで無料で、それ以上を作る段階で3,980円の買い切りに移る形があります。線引きは料金に、導入前に出やすい疑問はよくある質問に整理されています。
よくある質問
Linear の Mac アプリとブラウザ版で機能に違いはありますか?
画面と機能は同じです。デスクトップ版で増えるのは、独立した窓、Command+Tab の並びへの登録、Dockのアイコンとバッジ、そしてタブバーとアドレスバーが無いことです。ショートカットや表示の切り替えはどちらでも同じように動きます。
通知を受け取るためにデスクトップ版は必要ですか?
必要ではありません。公式の資料に、デスクトップ通知はデスクトップアプリと対応ブラウザの両方でサポートされていると書かれています。タブで開いたまま通知を許可すれば同じ知らせが届きます。デスクトップ版は、モバイルやSlackと並ぶ経路の1つという位置づけです。
Dockのアイコンに未読の数字が出ないのはなぜですか?
多くの場合、原因はアプリの外にあります。macOS の設定で Linear の通知が有効になっているか、赤いバッジの表示が指定されているかを確認します。集中モードが入っている時間帯も保留されます。この2つを見た後で、アプリ側の通知設定を確認する順番が早いです。
Macアプリを配布していないサービスはどうすればよいですか?
社内の管理画面や小規模なポータルは、公式アプリが用意されないことが多い部分です。URLがあれば独立したアプリとして作れる道具を使えば、公式アプリと同じようにDockのアイコンと単独の窓が用意できます。手元のブラウザを土台にする作りなら、本数が増えても容量の負担が積み上がりません。