MacのVNC接続|画面共有アプリとvnc://で相手の画面を開く

mac vnc 接続で検索すると、Appleのユーザガイド、Raspberry Piにつなぐ話、WindowsからMacを操作する話が混ざって出てきて、自分の場合はどれを読めばよいのか分からないまま終わります。先に結論を書くと、Macには最初からVNCと互換のある仕組みが入っていて、追加のソフトを買わなくても相手の画面を独立した1枚の窓として開けます。つまずきの大半は、道具が足りないことではなく、入口が3つあってそれぞれ前提が違うことから来ています。ここでは接続される側で先に決める設定、接続する側の3つの入口、標準と高パフォーマンスの違いを順に整理します。

Macの画面共有は、VNCと互換のある仕組みとして用意されている

VNCは1つの会社の製品名ではなく、ネットワーク越しに別のコンピュータの画面を見て操作するための取り決めです。Appleはこれを独自方式で囲い込まず、macOSの「画面共有」とApple Remote Desktopの両方で互換性を持たせています。

画面共有およびApple Remote Desktopは、TCP/IPを使用してネットワーク上のコンピュータをリモート制御するための業界標準であるVNC(Virtual Network Computing)と互換性があります。 出典: support.apple.com

ここが分かっていると、検索結果の読み方が変わります。「Mac用のVNCソフトを入れる」という記事も「Macの画面共有を使う」という記事も、同じ取り決めの上で動いている話なので、どちらが正しいという関係ではありません。手元にMacがあるなら、まず最初から入っているものを試すのが早いという順序になります。

画面共有アプリの置き場所も、覚えておくと迷いません。Appleのユーザガイドは、Dockの検索アイコンをクリックして検索フィールドに「画面共有」と入力する手順を案内しており、アプリそのものは「/アプリケーション/ユーティリティ/」フォルダにあると書いています。Launchpadの並びを目で追って見つからず、そこで諦めてしまう人がいますが、名前で検索すれば出てきます。

通信の経路も公開されています。Appleがまとめているポートの一覧では、TCPとUDPのポート番号 5900 がサービス名rfb(Remote Framebuffer)として登録されており、説明の欄に「Apple Remote Desktop、画面共有」と書かれています。社内のネットワークで接続が通らないときに、どこを開けてもらえばよいかを説明する材料になります。

接続される側のMacで先に決める4つのこと

VNC接続は、つなぐ側の操作よりも、つながれる側の設定で決まります。Appleのユーザガイドが示す手順は次の並びです。

  • アップルメニューからシステム設定を開き、サイドバーの「一般」をクリックして「共有」を開く
  • 「リモートマネージメント」がオンになっている場合はオフにする
  • 「画面共有」の横にあるボタンをクリックして「画面共有」をオンにする
  • 「アクセスを許可」のメニューで「すべてのユーザ」か「次のユーザのみ」を選ぶ

2番目が見落としやすい箇所です。ユーザガイドには「画面共有」と「リモートマネージメント」の両方を同時にオンにすることはできないと明記されています。以前に複数台のMacを管理する目的でリモートマネージメントを入れたことがある環境では、ここが先に埋まっていて画面共有のスイッチが入らない状態になります。

もう1つ、他社製のVNCビューアーを使う人にとって決定的な項目があります。画面共有をオンにしたあとの選択肢は2つあり、1つは「ほかのユーザが画面操作の権限を要求することを許可」、もう1つは「VNC使用者が画面を操作することを許可」です。ユーザガイドは後者について、このオプションをオンにする場合はパスワードを入力する必要があると書いています。つまり、Mac同士で使うならユーザ名とパスワードでサインインする形で足りますが、Mac以外の端末や他社製ビューアーから入る場合は、この専用のパスワードを用意しておく必要があります。

「アクセスを許可」で「次のユーザのみ」を選んだ場合の一覧には、そのMacのユーザに加えて、ローカルネットワーク上のネットワークユーザとネットワークグループも表示されます。家庭で1台のMacを共有しているなら「すべてのユーザ」で足りますが、職場の共有機では許可する相手を明示しておいたほうが、後から誰が入れるのかを説明しやすくなります。

接続する側には入口が3つある

つなぐ側の道は3本あり、必要な準備の量が違います。

1本目は画面共有アプリです。ユーザガイドが示す接続の方法は3通りで、サイドバーの「ネットワーク」から相手のコンピュータにポインタを合わせて「接続」をクリックする、サイドバーの「すべての接続」から選ぶ、ツールバーのボタンをクリックしてホスト名かApple Accountを入力する、のいずれかです。一度つながると、その接続情報は「すべての接続」に保存され、次回は素早く接続できると書かれています。同じ相手に毎日入るなら、ここに溜まっていくのが効いてきます。

2本目はFinderからの直打ちです。Finderの「移動」メニューから「サーバへ接続」を選び、アドレスの欄にvnc://で始まる宛先を入れます。相手のホスト名をそのまま使えるので、IPアドレスが変わる環境でも書き換えが要りません。

Finderを開いて、タブの「移動」から、「サーバーへ接続」を選択。 下のようにアドレスを入力して、接続します。 vnc://raspberrypi.local 出典: oomori1006.cocolog-nifty.com

Raspberry PiにVNCで入ろうとして遠回りした経緯を書いた記事でも、最後にたどり着いたのは同じ道でした。MacからRaspberry Piへの接続を扱ったZennの記事は、Finderのサーバ接続でvnc://ホスト名を指定し、設定したパスワードで認証すればつながると述べています。相手がMacでなくても、VNCで待っている側であれば同じ入口が使えるということです。

3本目はApple Remote Desktopです。Mac App Storeで配られている有償のアプリで、価格は 13,000円、対応はMacのみ、大きさは7.9MBと表示されています。説明文が挙げているのはソフトウェアの配布、エンドユーザへのリアルタイムなオンラインヘルプ、詳細なソフトウェアおよびハードウェアレポートの作成、日常的な管理タスクの自動化です。1台の画面をのぞくためのものではなく、複数台をまとめて管理するためのものなので、用途が合わないうちは画面共有アプリで足ります。

標準と高パフォーマンス、どちらを選ぶかで前提が変わる

新しい接続を作るとき、「画面共有タイプを選択」の画面で「標準」か「高パフォーマンス」を選びます。この2つは画質の好みの違いではなく、要求される環境が違います。

標準は、解像度とフレームレートがネットワークの状況に応じて調整される方式です。回線が細い場所でも、画質を落として動き続けます。高パフォーマンスは、ステレオオーディオ、HDRビデオリファレンスモード、4:4:4のクロマサブサンプリング、30または60fpsの高速フレームレート、低レイテンシに対応します。ただし使える条件が限られており、AppleシリコンとmacOS Sonoma 14以降を搭載したMacという前提が付きます。

要求される回線も具体的に書かれています。1つの4Kディスプレイに対して 75メガビット/秒 の帯域と、一貫した低レイテンシが必要で、有線接続が推奨されています。両方のMacがUDPポートの5900、5901、5902で相互に通信できる必要があり、1台のMacで同時に有効にできる高パフォーマンスのセッションは1つだけです。仮想ディスプレイ1つで扱える最大の画面サイズは4K(3840 x 2160ピクセル、または1920 x 1080のHiDPI)です。

挙動の面でも違いがあります。高パフォーマンスで相手にログインすると、そのMacにつながっているハードウェアのディスプレイには何も表示されなくなります。共有エリアに置いたMacのプライバシーを守るための仕組みですが、裏を返すと、その間はほかの人がそのMacを使えません。自宅の別室にあるMacに入るなら好都合で、家族が使っている最中のMacに入るなら向きません。動画や音を扱わない作業なら、標準のままで不足しません。

他社製のVNCビューアーを見るときの3つの観点

「Mac用VNCビューアーのおすすめ」という切り口の記事は多いのですが、比べる軸を決めずに一覧を眺めても選べません。事実として確かめられる観点は3つです。

1つ目は、認証の方式です。前述のとおり、Mac以外の端末や他社製ビューアーから入る場合は、接続される側で「VNC使用者が画面を操作することを許可」をオンにして専用のパスワードを設定しておく必要があります。この設定を前提にしているビューアーかどうかで、最初につながるかどうかが変わります。

2つ目は、接続先の持ち方です。画面共有アプリは、一度つないだ相手を「すべての接続」に残します。管理台数が2台や3台なら、これで用が足ります。台数が増えて、機種名やOSの版まで一覧で押さえたくなった時点で、管理を目的にしたアプリの領域に入ります。

3つ目は、相手がMacかどうかです。相手がMacなら標準と高パフォーマンスという選択肢が使えますが、Raspberry PiやLinuxのように別のVNCサーバが待っている場合は、その実装が対応している範囲でしか動きません。前掲のRaspberry Piの記事が遠回りになったのも、Mac同士の話とそれ以外の話が混ざっていたことが原因でした。

接続がそもそも成立しないときに見る順番は、Appleが3点に絞って案内しています。共有される側で画面共有かリモートマネージメントがオンで権限の一覧に自分が入っているか、どちらのMacもスリープしていないか、両方が同じネットワークにつながっているか。この3つを先に潰すと、原因の切り分けが早く終わります。

画面共有アプリが1枚の窓であることには、意味がある

ここまでを通して見ると、画面共有が使いやすい理由の1つは技術ではなく形にあります。相手の画面が、ブラウザのタブではなく独立した1枚の窓として開くという点です。Dockにアイコンが並び、アプリの切り替え画面から一手で戻れて、ほかの作業とウインドウを取り違えません。

一方で、リモートの操作を伴う画面の多くは、いまブラウザの中にあります。ルーターやNASの管理画面、仮想化基盤のコンソール、クラウドの管理画面、ブラウザの中で動くリモートデスクトップ。これらはVNCの話とは別の経路ですが、開く頻度も急ぎ具合も画面共有とよく似ています。にもかかわらず、タブが十数個並んだ列の中に埋もれていて、必要なときにまず探すところから始まります。

この差は、道具を増やさなくても埋められます。macOSのSafariには、開いているページをWebアプリとしてDockに追加する機能があり、Chromeにもページをアプリとして扱う機能があります。どちらも指定したURLを独立した窓で開く形になるので、管理画面を1枚の窓として切り出せます。作り方をサービスごとにそろえたい場合は、サイトをアプリにする専用の道具を使う経路もあり、300以上のプリセットから選ぶだけで作れる形であれば、URLの入力もアイコンの用意も要りません。どこまで作れるかはできることに整理されていて、1本作るまでの流れは使い方ガイドにまとまっています。

選ぶときに見る点は、画面共有アプリを選ぶときと似ています。窓ごとにログイン状態を分けられるか、ブラウザが更新されたときに作った窓がどうなるか、複数の画面を1つの窓にまとめる形も選べるか。管理画面は権限の強いものが多いので、ふだん使っているブラウザのログイン状態と混ぜないほうが素直です。登録済みのサービスは対応サービス一覧で確認でき、無料の範囲でどこまで作れるかは料金に書かれています。細かい挙動の違いはよくある質問にも並んでいます。

順序としては、まず画面共有アプリで相手のMacに1回つないでみて、それが独立した窓として手元に残る感触を確かめるのが確実です。そのうえで、同じように毎日開いているのにタブの中にある画面が何枚あるかを数えると、次に窓へ出すべきものが決まります。

よくある質問

MacでVNC接続するために、別のソフトを買う必要はありますか?

相手がMacなら必要ありません。macOSには画面共有アプリが最初から入っており、Appleのユーザガイドは画面共有とApple Remote DesktopがVNCと互換性を持つと明記しています。複数台をまとめて管理したい場合だけ、Mac App Storeで13,000円のApple Remote Desktopという選択肢が出てきます。

接続される側のMacでは、何をオンにすればよいですか?

システム設定の「一般」から「共有」を開き、「画面共有」をオンにします。「リモートマネージメント」がオンだと画面共有と同時には使えないので、先にオフにします。Mac以外の端末や他社製ビューアーから入る場合は、「VNC使用者が画面を操作することを許可」をオンにして専用のパスワードを設定してください。

vnc:// のアドレスは、どこに入力するのですか?

Finderの「移動」メニューから「サーバへ接続」を選び、アドレスの欄にvnc://に続けて相手のホスト名かIPアドレスを入れます。ホスト名で指定できるため、相手のIPアドレスが変わる環境でも書き換えが要りません。認証は、接続される側で設定したパスワードで行います。

「標準」と「高パフォーマンス」は、どちらを選べばよいですか?

動画や音を扱わないなら標準で不足しません。高パフォーマンスはステレオオーディオやHDR、30から60fpsに対応する代わりに、AppleシリコンとmacOS Sonoma 14以降が必要で、4Kのディスプレイ1つあたり75メガビット/秒の帯域と有線接続が推奨されます。使用中は相手のMacの実機の画面が消える点にも注意してください。

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