サイトをアプリにする方法:Googleのサービスを独立したMacアプリにする

サイトをアプリにする方法をgoogleという語と一緒に調べると、検索結果には性質の違う2つの記事が混ざって出てきます。ひとつはChromeの機能を使ってどんなサイトでもアプリにする手順、もうひとつはGmailやGoogleカレンダーといったGoogleのサービスを独立した窓で開く話です。どちらを探していても、決めるべきことは同じ2つに落ち着きます。どの経路で包むかと、ログインをどう分けるか。この2つを外すと、作った翌日には結局ブラウザのタブに戻っています。

検索結果に混ざっている2つの意味を先に分ける

前者は道具の話です。Chromeが持っている機能で、URLさえあれば社内の管理画面でも取引先の受発注システムでも独立した窓のアプリにできます。作られるものはChromeのプロファイルの中で動くページで、Chrome本体が入っていることが前提になります。

後者は対象の話です。Gmail、Googleカレンダー、Googleドライブ、Googleメッセージ、YouTubeは、いずれもブラウザからインストールできる形で提供されており、Dockに独立したアイコンを置けます。この場合、包む手段はChromeに限りません。macOS Sonoma 14以降のSafariにも同じことをする機能があり、専用のWebアプリ化ツールを使う道もあります。

つまり検索意図が「Chromeでやる方法」なら経路は1つに決まっていて、「Googleのサービスをアプリにしたい」なら経路は3つあります。そして、この記事で扱う価値があるのは後者です。前者は手順を1回なぞれば終わりますが、後者は経路の選択がそのまま毎日の使い勝手を左右するからです。特にGoogleのサービスは仕事用と個人用でアカウントが分かれている人が多く、そこが最初の分岐点になります。

アプリにすると何が変わり、何は変わらないのか

先に期待値を合わせておきます。包んだところで中身はWebページのままで、描いているのはブラウザのエンジンです。読み込む内容も通信の相手もタブのときと変わりません。表示が速くなることはなく、動作が軽くなることもありません。

変わるのはMac上での立ち位置です。40枚のタブの1枚だったものが、単独で呼び出せる対象になります。Dockに固定できるアイコンができ、Command+TabとMission Controlに別の項目として並び、タブバーもアドレスバーも無い窓で開きます。多くの経路では保存領域も分かれるため、同じサービスの2つ目のアカウントを同時にサインインさせたままにできます。

そのほかのさまざまな点で、Webアプリはほかのアプリと同じように機能します。ログインすると自動的に開くように、ログイン項目として追加することもできます。 出典: support.apple.com

Gmailを例に取ると、効き目が出るのは検索の癖がある人です。Command+Tabで直接メールに戻れるようになるので、ブラウザを前面に出してからタブを探す動作が1手減ります。逆に、メールを開いたついでにリンクを次々たどる使い方をしている人にとっては、アドレスバーが無いことが不便に転じます。効き目は使い方に依存し、サービスの種類には依存しません。

Chromeで作る手順と、名前が似ている2つの項目

Chromeの経路でつまずく原因は、ほぼ1か所に集中しています。メニューの中に、似た名前の項目が2つ並んでいることです。

対象のページを開いた状態で右上の3点メニューを開き、「キャスト、保存、共有」の中を見ると、「ショートカットを作成」と「ページをアプリとしてインストール」が見つかります。独立した窓のアプリになるのは後者です。前者は現行のChromeでは通常のタブでページを開くランチャーを作ります。古い解説記事にある「ウインドウとして開く」のチェックボックスは、このダイアログから既に外れています。

Starting in Chrome 128, the Create Shortcut menu item in More > Save and share now creates a bookmark on the user's desktop or homescreen. The previous behavior of this menu item on desktop has moved to the Install Page as App option. 出典: developer.chrome.com

Gmailのように配布側がアプリとしての表示に対応しているサービスでは、アドレスバーの右端にインストールを促すアイコンが出ることもあります。そこから入れても結果は同じです。できあがったアプリはChromeのプロファイルの中で動くため、最初の起動時点で既にログイン済みで、そのプロファイルに入れてある拡張機能もそのまま効きます。手数が最も少ないのがこの経路の利点です。

代償は結び付きの強さです。作成に使ったプロファイルを削除したり名前を変えたりすると、アプリ側が壊れます。Chromeを入れていないMacには持って行けません。

Safariで作る手順と、最初にログイン画面が出る理由

Safariの経路はmacOS Sonoma 14以降で使えます。対象のページを開き、メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選び、名前を確認して追加するだけです。作られたアプリはホームフォルダの「アプリケーション」フォルダに保存されます。

ここで多くの人が驚くのが、作ったアプリを最初に開いたときにログイン画面が出ることです。Safariでは何年もサインインしたままだったのに、と感じるところですが、これは不具合ではありません。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。 出典: support.apple.com

この性質は、Googleのサービスを扱う場面では欠点ではなく利点になります。保存領域が分かれるということは、仕事用のGoogleアカウントで作ったアプリと、個人用で作ったアプリを、同時に開いたままにできるということです。Chromeの経路ではこれができません。作成したプロファイルのログインをそのまま引き継ぐ設計だからです。

Safari側の弱点は拡張機能です。使えるのはSafari機能拡張だけで、Chromeウェブストアのものは動きません。エンジンがWebKitなので、設定では埋められない差になります。

アカウントを複数持っている人が最初に詰まる場所

Googleのサービス特有の事情がここにあります。Googleは1つのブラウザに複数のアカウントを同時にサインインさせられる仕組みを持っていて、URLの中の番号でどのアカウントの画面かが決まります。仕事用が0番、個人用が1番、といった具合です。

そのため、Chromeの経路でも2つのアプリを並べること自体は可能です。番号を含むURLを開いた状態でそれぞれインストールすれば、Dockには2つのアイコンが並びます。落とし穴は番号の決まり方で、これはサインインした順に割り当てられます。一度すべてサインアウトして入り直したり、3つ目のアカウントを追加したりすると、番号の対応が入れ替わることがあります。そうなると、仕事用のつもりで開いたアプリに個人のメールが出ます。

保存領域そのものが分かれる経路で作れば、この問題は起きません。アプリごとに独立したログインを持つので、URLの番号に依存しないからです。2つ以上のGoogleアカウントを日常的に使い分けているなら、Safariの経路か、アプリごとにプロファイルを分ける専用の道具を選ぶほうが、後から作り直す手間が減ります。

通知とオフラインは、経路によって扱いが変わる

毎日開くサービスをアプリにする目的の半分は通知にあります。ここは経路差がはっきり出る部分です。

Safariの経路で作ったWebアプリは、システム設定の「通知」に単独の項目として並びます。ブラウザ全体をまとめて許可するのではなく、そのアプリだけを許可したり止めたりできます。メールは通知を出し、カレンダーは出さない、といった分け方が設定画面の上で完結します。

Chromeの経路で作ったアプリは、通知の扱いがChrome側の設定と連動します。サイトごとの許可はChromeの設定に記録されているものが引き継がれるため、ブラウザで通知を切っていたサイトは、アプリにしても静かなままです。作ってから通知が来ないと感じたときは、アプリ側ではなくブラウザの設定を見るのが早道です。

オフラインの扱いにも差があります。Gmailにはネットワークに繋がっていない状態でも過去のメールを読める仕組みがありますが、Googleのヘルプではこの機能の対象がChromeブラウザに限定されています。同じことをSafariの経路で作ったアプリに期待しても動きません。移動中に読むことが目的なら、そのサービスだけChromeの経路で作るのが妥当です。3つの経路は排他ではないので、サービスごとに使い分けて構いません。

どのGoogleサービスをアプリにする価値があるか

全部作る必要はありません。判断の基準は「そのサイトを1日に何回、別の作業から戻ってくる形で開くか」です。

  • Gmailとカレンダー:割り込みで開き、用が済んだら離れる。戻る回数が多いのでアプリ化の効果が大きい
  • GoogleドライブとGoogleドキュメント:ファイルを開くとタブが増える性質があるため、独立させると散らかりが目立つようになる
  • YouTube:音を出したまま裏に回す使い方なら効果があり、検索して見比べる使い方なら不向き
  • Google広告やSearch Consoleのような管理画面:数字を眺める用途に合い、アドレスバーが無くても困らない

作る個数も効き目に関係します。3個までなら名前とアイコンを手で整えるのは苦になりませんが、25個になると、URLを調べてアイコンを探す時間がそのまま積み上がります。数を増やす前に、本当に戻ってくるサイトだけを選ぶほうが結果的に速くなります。

手数と費用から、次の一手を決める

同じ「サイトをアプリにする」でも、総額の幅は大きく開きます。macOSやChromeの標準機能は0円で、まず試すならここからで足ります。専用のWebアプリ化ツールには、3アプリまで無料で使えて、それ以上を作るときに3,980円の買い切りへ移る形があります。月額課金の製品では、3年間の合計が28,700円前後になるものもあります。何を求めるのかを決めずに金額だけ比べても、意味のある比較にはなりません。

有料の道具が費用に見合うのは、無料の経路が空欄のまま残す行です。アプリごとのログインの分離、拡張機能を残したままの独立、通知の個別管理、メニューバーやサイドバーへの常駐、そしてmacOSやブラウザが変わったときに更新を出す作り手がいること。この5つのうち複数に当てはまるなら、道具を見に行く価値があります。何をどこまで制御できるのかはできることに整理されており、実際の作成手順は使い方ガイドで画面付きに追えます。

道具を比べるときは、機能の箇条書きより先に雛形の並びを見ると判断が速くなります。300以上のプリセットからすぐ作れる形であれば、GmailやカレンダーはURLもアイコンも選んだ時点で埋まり、一覧に無い社内の管理画面も同じ手順で扱える見込みが立ちます。自分が毎日開くサービスが含まれているかは対応サービス一覧で先に確認できます。無料枠と買い切りの線引きは料金にまとまっており、導入前に出やすい疑問はよくある質問に集まっています。

長く使うときに効いてくるのは、機能の数より壊れにくさです。Chromeは数週間おきに更新され、ブラウザ本体に紐づく方式の入れ物は、そのたびにアイコンが戻ったり起動しなくなったりすることがあります。アプリが3個ならその都度直せば済みますが、数が増えるほど更新のたびの作業になります。どこまで自動で復旧するのかは道具によって差があるので、数を増やす前に確かめておく価値があります。

よくある質問

Gmailをアプリにすると、オフラインでもメールを読めますか?

Chromeの経路で作った場合だけ、Gmail側のオフライン機能を有効にすれば読めます。Googleのヘルプではこの機能の対象がChromeブラウザに限られており、SafariでDockに追加して作ったアプリでは動きません。移動中に読むことが目的なら、そのサービスだけChromeの経路で作るのが確実です。

仕事用と個人用のGoogleアカウントを、2つのアプリで同時に開けますか?

保存領域がアプリごとに分かれる経路であれば開けます。SafariのDockに追加や、アプリごとにプロファイルを分ける専用の道具がこれに当たります。Chromeの経路では作成したプロファイルのログインを共有するため、URLの番号で分ける方法しかなく、サインインの順が変わると対応が入れ替わることがあります。

Chromeのメニューに「ウインドウとして開く」のチェックが見当たりません。

Chrome 128以降で仕様が変わり、「ショートカットを作成」はデスクトップにブックマークを作る項目になりました。独立した窓のアプリを作るのは、隣にある「ページをアプリとしてインストール」のほうです。古い解説記事の手順をなぞると前者にたどり着くため、機能が無くなったと誤解されがちです。

作ったアプリを消すと、元のアカウントやデータに影響しますか?

影響しません。アプリは既存のWebページを開くための入れ物なので、削除してもサーバー側のメールや予定は残ります。消えるのはそのアプリが持っていたログイン状態と設定だけで、ブラウザから同じURLを開けば従来どおり使えます。

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