Notionをアプリとして使う代わりの手段|手放してよい機能の見極め

Notionをアプリとして使う代わりの手段を探している人の多くは、すでに一度は公式のデスクトップアプリを入れています。そのうえで「これでなくてもいいのではないか」と考え始めている。理由はだいたい決まっていて、ワークスペースを2つ以上持っているのにDockのアイコンが1つしかない、起動が重い、社内wikiとして公開しているNotionページだけを開きたいのにログイン済みの自分の画面が出てくる、といったところです。

この記事では、代わりになる手段を4通りに整理し、置き換えたときに何が残って何が消えるのかを、公式に公開されている仕様の範囲で並べます。判断の材料を出すだけで、どれを選ぶべきかは書きません。使い方が違えば答えが変わるからです。

「アプリとして使う」という言葉が指している4つの状態

同じ言葉で4つの違うものが呼ばれています。ここを分けないまま比較すると話が噛み合いません。

1つ目は公式のデスクトップアプリです。Notionが配布しているmacOS向けのビルドで、Universal、Apple Silicon、Intel x64 の3種類が用意されています。Notion Calendar は同じページから別のダウンロードとして提供され、Web Clipper は Chrome の拡張機能として配られています。つまり公式側でもアプリは1本ではなく、役割ごとに分かれています。

2つ目はSafariの「Dockに追加」です。macOS Sonoma 以降のSafariは、開いているページをWebアプリとしてDockに置けます。専用のウインドウで開き、アイコンがDockに常駐します。

3つ目はChromeの「アプリとしてインストール」です。Chromeのメニューから現在のページをアプリ化すると、アドレスバーのないウインドウで開くようになります。

4つ目が汎用のアプリ化ツールです。任意のURLを指定して、独立したmacOSアプリの形に包むものを指します。Webアプリ化ツールと呼ばれることもあります。

この4つは「Dockにアイコンが出る」という結果だけが同じで、中身の作りはまったく別です。

公式のデスクトップアプリでしか起きないこと

代わりの手段を検討する前に、公式アプリが何を持っているかを確定させておく必要があります。捨てるものが分からなければ、捨ててよいかも判断できません。

公式アプリは独自のタブとウインドウを持っています。Notionのヘルプに載っているデスクトップ専用のキーボード操作は、新しいページを作るcmd+N、新しいNotionウインドウを開くcmd+shift+N、ページを別ウインドウで開くoption+shift+クリック、リンクをNotionのタブで開くcmd+クリック、新しいタブを作るcmd+Tです。

Use cmd/ctrl + shift + N to open a new Notion window. Use option + shift + click to open a page as a new window. Use cmd/ctrl + click to open a link as a new Notion tab. 出典: notion.com

ここが重要な分かれ目です。公式アプリはブラウザのタブとは別に、Notion専用のタブを持っています。他のアプリ化手段はこれを持ちません。ブラウザのタブから逃げるためにアプリ化したのに、アプリの中にまたタブが増えるのが嫌だという人もいれば、Notion内の移動がタブで完結するほうが速いという人もいます。好みが割れる場所です。

もう1つは、オフラインで開ける仕組みです。Notionの料金ページには、デスクトップアプリとモバイルアプリでオフラインが使えること、オフライン用にダウンロードするページを選べること、最近見たページとお気に入りは自動でダウンロードされることが書かれています。これは公式アプリがローカルにデータを持っているから成立する機能で、Webページを包んだだけのアプリでは再現できません。

手放してよい機能を見分ける表

代わりの手段に移ったときに何が消えるかを、機能ごとに並べます。

機能 公式デスクトップアプリ SafariのDock追加 Chromeのアプリ化 汎用のアプリ化ツール
Dockに独立したアイコン あり あり あり あり
Notion専用のタブ あり なし なし なし
オフラインでページを開く あり なし なし なし
ワークスペースごとに別アイコン なし できる できる できる
ログインの状態を分ける なし 一部 プロファイル単位 アプリ単位
Notion以外のサイトも同じ仕組みで扱う なし あり あり あり
公開中のNotionページだけを開く 向かない 向く 向く 向く

表の右側3列が近い性質を持ち、左端だけが別物であることが分かります。公式アプリは「Notionを深く使うための道具」で、残りは「Dockの整理のための道具」です。目的が違うので、片方がもう片方の上位互換になることはありません。

手放してよいかの判断は、実際のところ次の3点でほぼ決まります。オフラインで見る場面が年に何回あるか。Notion内のリンクをたどる回数が1日に何回あるか。Dockに置きたいアイコンが1つで足りるか。この3つに答えを出せば、表のどの列が自分に合うかは自動的に決まります。

検索と移動の速さは手段で変わるか

毎日使う道具では、開いてから目的のページに着くまでの手数が効きます。ここは手段によって差が出る場所なので、置き換えを考えるなら先に確認しておく価値があります。

Notionの検索は、cmd+Pまたはcmd+Kで呼び出します。ページ内の文字を探すのはcmd+F、ページのURLをコピーするのはcmd+L、前のページに戻るのはcmd+[、進むのはcmd+]、明るい表示と暗い表示を切り替えるのはcmd+shift+Lです。これらはNotionのWeb側が持っている機能なので、公式アプリでも、ブラウザのタブでも、Dockに置いたWebアプリでも、アプリ化ツールで包んだアプリでも同じように働きます。

つまり検索そのものは、どの手段を選んでも失われません。差が出るのはその手前、つまり「Notionの画面に着くまで」です。ブラウザのタブに混ぜている状態では、まずブラウザを前面に出し、目的のタブを探し、そこで初めてcmd+Pが使えます。Dockに独立したアイコンがある状態なら、アイコンをクリックするかアプリ切り替えで直接その画面に着きます。省けるのはこの前半の部分だけで、後半は変わりません。

この見方をすると、アプリ化に期待してよい効果の大きさが具体的になります。1日に20回Notionを開く人なら、1回あたり数秒の差でも積み上がります。週に数回しか開かないページであれば、Dockのアイコンが1つ増える負担のほうが上回ることもあります。頻度を数えるのが、手段を選ぶ前の一番確実な下準備です。

ワークスペースが複数ある場合に起きること

公式アプリは1つのアプリの中で複数のアカウントとワークスペースを切り替える作りです。Dockのアイコンは1つのまま、中で切り替わります。これは席が1つしかないのと同じで、仕事用と個人用を同時に並べて見たい人には向きません。

このときに代わりの手段が効いてきます。SafariのDock追加も、Chromeのアプリ化も、汎用のアプリ化ツールも、URLごとに別のアイコンを作る仕組みなので、ワークスペースAとワークスペースBを別のアイコンとして置けます。2つのワークスペースを行き来している人にとっては、これが公式アプリを外す最大の理由になります。

ただしログインの状態をどう分けるかは手段ごとに違います。Chromeはプロファイルを分ければセッションが分かれますが、アプリ化したページはそのプロファイルに属します。汎用のアプリ化ツールは、アプリごとに保存領域を分ける作りのものが多く、その場合は同じサービスに別アカウントで同時にログインできます。どこまで分かれるかは道具によるので、導入前に確かめる項目です。何ができるかはできることの一覧に整理されているので、必要な条件を先に決めてから照らし合わせると早く済みます。

公開しているNotionページを配る側の話

Notionを社内wikiや顧客向けのマニュアルとして公開している場合、話が変わります。読む側はNotionのアカウントを持っていないことも多く、公式アプリを入れてもらう前提は立ちません。

この用途では、公開URLをそのまま独立したアプリにする手段が現実的です。読む人は自分のNotionにログインする必要がなく、そのページだけが開きます。公式アプリを入れると自分のワークスペースが開いてしまい、目的のページに行くのに何手かかかる、という問題がそもそも起きません。

どのサービスがこの形で扱えるかは対応サービス一覧にまとまっています。Notionのように公式アプリを持つサービスと、公式アプリが存在しないサービスが混在しているので、自分が毎日開いているものがどちらなのかを見ておくと、置き換えの範囲がはっきりします。

料金が判断材料になるかどうか

アプリ化の手段そのものの費用と、Notionの利用料は別の話です。混ぜて考えると判断を誤ります。

Notionの料金は公式ページで公開されていて、日本円の表示では無料プランが0円、Plusが1人あたり月額1,650円、Businessが1人あたり月額3,150円、Enterpriseは問い合わせとなっています。消費税は別途かかります。無料プランではファイルのアップロードが5MBまでで、ページ履歴をさかのぼれるのは7日間、外部ゲストは10人までです。Plusではページ履歴が30日、Businessでは90日に伸びます。

ここで押さえておきたいのは、アプリ化の手段を変えてもこの料金は1円も動かないということです。公式アプリを使うのをやめても、無料プランの5MB制限は5MBのままです。アプリ化はプラン選びとは無関係の層にある話で、料金を理由にアプリ化の手段を選ぶ理屈は成り立ちません。

逆に、アプリ化ツール側の費用は道具によって買い切りと月額に分かれます。両方を足した金額で比べようとすると、性質の違うものを足すことになるので、別々に判断したほうが結論が早く出ます。道具側の考え方は料金に書かれています。

対応の広さから読み取れること

アプリ化ツールの側から見ると、Notionは「公式アプリがあるのに、それでもアプリ化の需要があるサービス」という少数派に入ります。公式アプリを持たないサービスなら、アプリ化する理由は「アプリがないから」の一言で終わります。Notionの場合は理由がもっと具体的で、ワークスペースを分けたい、公開ページだけ開きたい、Notion以外の10個のサイトと同じ並びに置きたい、のいずれかです。

つまりNotionだけを見てアプリ化の手段を選ぶと、判断を間違えやすいということです。Dockに置きたいものがNotion1つなら公式アプリで足りる場面が多く、Notionを含めて毎日開くサイトが5個も10個もあるなら、全部を同じ仕組みで扱えるかどうかのほうが効いてきます。同じ操作で開き、同じ場所に並び、同じ手順で消せることの価値は、対象が増えるほど大きくなります。

判断を先に進めるなら、いま毎日開いているURLを紙に書き出して、そのうち公式のMacアプリがあるものに印を付けてください。印の付かないものが多数派なら、全部をまとめて扱う手段を選んだほうが手数が減ります。印の付いたものだけなら、公式アプリを個別に入れるほうが素直です。手順の全体像は使い方ガイドにあり、判断に迷う点はよくある質問でも扱われています。

よくある質問

公式のデスクトップアプリを消してから別の手段に移るべきですか?

消す必要はありません。公式アプリとDockに置いたWebアプリは同時に存在でき、干渉しません。しばらく両方を置いて、実際にどちらから開くかを2週間ほど観察してから、使わないほうを外すのが確実です。先に消すと、オフラインで見たい場面が出たときに戻せません。

Notionの無料プランでもアプリ化の手段は全部使えますか?

使えます。アプリ化はブラウザやOSの側の機能、あるいは別の道具の機能であり、Notionのプランとは関係がありません。無料プランのファイルアップロード5MBやページ履歴7日といった制限は、どの手段でアプリ化しても変わりません。

ワークスペースを2つ同時に開いておくことはできますか?

公式アプリはcmd+shift+Nで新しいウインドウを開けますが、Dockのアイコンは1つのままです。アイコンを分けたい場合は、SafariのDock追加、Chromeのアプリ化、汎用のアプリ化ツールのいずれかでワークスペースごとに作ることになります。ログインを分けられるかは手段によって違うので、事前の確認が要ります。

アプリ化するとオフラインでも読めるようになりますか?

なりません。オフラインで読めるのは公式のデスクトップアプリとモバイルアプリの機能で、ローカルにデータを持つ仕組みがあるから成立しています。Webページを包んだだけのアプリは、回線が切れれば表示できません。オフラインが要るなら公式アプリを残す判断になります。

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