PWAをMacに入れる代わりの手段|手放してよい機能の見極め

PWAをMacに入れようとして止まる理由は、だいたい3つに収まります。アドレスバーにインストールの印が出ない、Safariで探しても該当する項目が見当たらない、会社から支給されたMacに指定のブラウザを入れられない。どれも操作の問題ではなく、条件の問題です。

行き詰まったときに効くのは、別の道具を探すことではなく、PWAという言葉が束ねているものを分解することです。5つの機能に分けてしまえば、そのうち自分に要るのは1つか2つだと分かり、代わりの道が見えてきます。

PWAという言葉が束ねている5つの機能

まず前提として、サイト側の作りがなければ成立しない部分があります。インストールできる状態かどうかは、サイトが配っている設定ファイルに依存します。

As a minimum requirement for installability, most browsers that support it use the Web App Manifest file and certain properties such as the name of the app. 出典: web.dev

つまり、サイト側がその設定ファイルを置いていなければ、どのブラウザでも規格どおりのインストールは始まりません。ここを最初に押さえておくと、道具を乗り換えても解決しない項目が区別できます。

PWAとして語られる機能を分けると、次の5つになります。

  • 独立した窓とDockのアイコン(ブラウザのタブから出て、1つのアプリとして開く)
  • 回線が切れても表示できること(サイトが手元に内容を保存する仕組みを持っている場合)
  • 通知とアイコンのバッジ
  • ログインやCookieの保管場所がブラウザと分かれること
  • ファイルや特定の形式のリンクを受け取れること

この5つのうち、2番目だけがサイト側の作りに完全に依存します。残りの4つは、入れる側の道具で埋められます。逆に言えば、オフラインで読めることが目的なら、道具をいくら変えても届きません。

自分が求めているのがどれかを切り分ける

分解した5つのうち、実際に困っているのがどれなのかを先に決めます。ここを飛ばすと、選んだ道が合っているかどうかを判断できません。

タブの中で見失うのが不満なら、要るのは1番目だけです。この場合、サイトがインストールに対応しているかどうかは関係がなくなります。

チャットや問い合わせの知らせを取りこぼすのが不満なら、3番目が中心です。この場合は、通知の許可をどこで出すかが結果を左右します。

同じサービスの2つのアカウントを行き来しているなら、4番目です。ブラウザのタブでは同時に2つを開いたままにできないので、保管場所が分かれる道を選ぶ必要があります。

移動中や回線の弱い場所で読みたいなら、2番目です。これだけは、サイト側が対応していないかぎり、どの道を選んでも手に入りません。

見分けがつかないときは、いま起きている不便を具体的な動作で書き出すと早く決まります。「探すのに時間がかかる」ではなく「ブラウザのウインドウを2つ行き来して、タブを左から順に見ている」と書けば、要るのは1番目だと分かります。「返事が遅れる」ではなく「昼に開いたら2時間前のメッセージが溜まっていた」と書けば3番目です。動作まで下ろすと、5つのうちどれかは1つに決まります。

そのサイトが対応しているかを3分で確かめる

サイト側の対応は、手元で確かめられます。Chromeの場合、アドレスバーにインストールの印が出るか、メニューの「キャストと保存、共有」の中に「ページをアプリとしてインストール」があるかを見ます。Googleの案内では、この項目からアプリにでき、入れたものは chrome://apps に並ぶと説明されています。印が出ないページでもこの項目自体は使えますが、その場合に手に入るのは1番目の機能が中心です。

Safariの場合は事情が違います。macOS 14以降には「ファイル」メニューに「Dockに追加」があり、対応の有無にかかわらずページをアプリの形にできます。ただしこれはPWAの規格でいうインストールとは別の仕組みで、規格の側から見るとSafariは非対応として扱われています。同じ「アプリにする」という言葉が、2つの違う仕組みを指しているわけです。

確かめた結果を、次の表に当てはめます。

欲しい機能 Safariの「Dockに追加」 Chromeのインストール 汎用のアプリ化ツール
独立した窓とDockのアイコン 手に入る 手に入る 手に入る
オフラインでの表示 サイト次第 サイト次第 サイト次第
通知とバッジ 手に入る 手に入る 手に入る
ログインの分離 分かれる ブラウザと共有 分かれる
表示形式の選択 通常の窓のみ 通常の窓のみ 3つから選べる

Safariの「Dockに追加」で残るもの

macOS 14以降であれば追加の費用はかからず、作ったアプリはホームフォルダのアプリケーションフォルダに入ります。Appleの案内で明確なのは、保管場所が分かれる点です。

It shares no browsing history, cookies, website data, or settings with Safari. 出典: support.apple.com

この一文が意味するのは2つあります。利点としては、同じサービスの別アカウントを入れっぱなしにできること。手間としては、作った直後にログインをやり直すことです。

設定できるのは、アプリの名前とURL、アイコン、戻る進むなどの操作部分を出すかどうか、タイトルバーの色をサイトに合わせるかどうか、そしてSafariの拡張機能をこのアプリで使うかどうかです。通知を許可した場合は、Dockのアイコンに未読の数が赤いバッジで出ます。この許可はアプリの中で答える必要があり、Safari側で答えても反映されません。消すときはアプリケーションフォルダからゴミ箱に入れます。

作るときに打ち込む名前は後から効いてきます。Spotlightで呼び出すときの手がかりになるので、サービス名をそのまま入れるより、自分が打つであろう最初の2文字か3文字で決めておくと、開くまでの手数が減ります。

手に入らないのは、メニューバーに常駐させる形や画面の端に寄せる形です。作れるのは通常の窓だけになります。

Chromeのインストールで残るもの

こちらも費用はかかりません。入れたアプリは共有のアプリケーションフォルダの中の専用フォルダに置かれ、chrome://apps にも一覧として出ます。サインイン時に自動で開く設定もここから指定できます。消すときはアプリの窓のメニューから行い、そのときに関連するデータを一緒に消すかどうかを選べます。

Safariとの違いがはっきり出るのは保管場所です。入れたアプリはブラウザのプロファイルをそのまま使い続けるので、ログインはブラウザと共有されます。すでにログイン済みならアプリでも入った状態で開く利点がある一方で、同じサービスの2つ目のアカウントを分けたい用途では狙いが外れます。プロファイルを分ける操作が別に要ります。

もう1つ、アプリの名前とアイコンはサイト側が配っている設定に従います。名前が長すぎてDockで読めない、アイコンがファビコンのまま小さい、といった不満が出ても、アプリ側からは変えられません。ブラウザ本体を消すと、入れたアプリも動かなくなります。独立したプログラムではなく、ブラウザの一部として動いているためです。

更新の扱いも押さえておくと後で慌てません。中身はブラウザの表示部分をそのまま使うので、ブラウザが更新されれば挙動も変わります。会社の端末でブラウザのバージョンが管理されている場合、そこで固定されている版がそのままアプリの土台になります。ブラウザを別のものに乗り換えると、入れたアプリは作り直しになります。

もっと軽い代わりとして、開く動作だけを替える

5つのうち要るのが1番目だけで、しかも「独立した窓」ではなく「探さずに開けること」が本当の目的だった、という場合もあります。このときは、アプリを作らずに開く動作だけを替える道が残っています。

Dockに置いたブックマークから開く、Spotlightで名前を打って開く、ショートカットの機能でキー1つに割り当てる、といった方法です。いずれもブラウザのタブとして開くので、窓は分かれず、ログインもブラウザと共有したままになります。通知もブラウザ全体の設定に従います。手に入るのは「1回の操作でその画面が出る」という一点だけです。

それでも足りることはあります。1日に2回か3回しか開かず、通知も要らず、アカウントも1つなら、アプリを作って管理する対象を増やすより手数が少なく済みます。作ったアプリは、macOSを更新したときやサイトの作りが変わったときに見直す対象になります。持ち物を増やさない選択にも理由はあります。

汎用のアプリ化ツールが埋める欄

表の右端の列が、前の2つで空欄になった部分に当たります。表示形式を通常の窓、メニューバー、サイドバーから選べること、通知やカメラやマイクの許可をアプリごとに管理できること、そしてログインの保管場所をアプリごとに分けられることです。

このうち日々の使い方が変わるのは表示形式です。1日に20回開いて10秒で閉じるチャットを通常の窓で持つと、作業中の道具とアプリ切り替えの列を奪い合います。メニューバーに置けば、その競合が消えます。無料の2つの道はこの形を持っていないので、ここは道具側の費用が向かう先になります。何が設定できるかはできることに一覧があり、手順は使い方ガイドに書かれています。

ここでも埋まらないのはオフラインです。ページを包んだだけのアプリは、回線が切れれば表示できません。2番目の機能が要るなら、サイトが公式のデスクトップアプリを出していないかを先に確かめるほうが早く終わります。

費用の位置づけと、対応の広さから読めること

費用は3つの道で性質が違います。OSやブラウザに含まれる2つは無料で、道具を使う場合は買い切りか月額に分かれます。道具側の考え方は料金にまとまっており、判断に迷う点はよくある質問でも扱われています。

判断の材料として、アプリ化の道具が用意しているサービスの一覧が使えます。対応サービス一覧には300を超えるプリセットからすぐ作れる形で候補が並び、チャット、AI、動画と音楽、生産性、業務と開発、買い物、暮らしといった区分に分かれています。ここに並んでいるサービスの多くは、規格どおりのインストールに対応していないサイトです。対応していないサイトをアプリの形で使いたいという需要が、これだけの数あるということです。

逆に、自分が入れたいサイトが1つだけで、そのサイトがインストールに対応しているなら、無料の2つの道で足りる可能性が高くなります。道具の費用は、対象が増えるほど、そして表示形式や権限の指定が要るほど意味を持ちます。

次にやることは1つです。入れたいサイトをChromeで開き、アドレスバーにインストールの印が出るかどうかを見てください。印が出るなら、欲しいのが5つのうちどれかを決めるだけで道が決まります。印が出ないなら、2番目の機能は最初から候補から外れるので、残り4つのうち何が要るかで選ぶことになります。

よくある質問

Safariで「Dockに追加」が見当たりません。どうすればよいですか?

この項目はmacOS 14以降のSafariにあります。ファイルメニューか、ツールバーの共有ボタンの中を確認してください。それより古いmacOSでは表示されないので、Chromeでページをアプリとしてインストールするか、別のアプリ化の道具を使うことになります。

アプリにすればオフラインでも読めますか?

読めません。回線が切れても表示できるかどうかは、サイト側が手元に内容を保存する仕組みを持っているかで決まります。ページを包んだだけのアプリは、どの道具で作っても回線が切れれば表示できません。オフラインが要るなら公式のデスクトップアプリを探すのが近道です。

同じサービスのアカウントを2つ、別々のアプリで開けますか?

Safariの「Dockに追加」や汎用のアプリ化ツールで作ったものは保管場所が分かれるので、アカウントごとに別のアプリとして持てます。Chromeでインストールしたアプリはブラウザのプロファイルを共有するため、分けたい場合はプロファイル自体を分ける操作が別に必要になります。

通知が届きません。どこを確認すればよいですか?

許可を出した場所を確認してください。ブラウザ側で許可を出しても、アプリ側には反映されません。アプリを開いた状態で通知の要求に答え直すと届くようになります。あわせて、macOSの通知設定でそのアプリが許可されているかも確認してください。

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