PWAをMacに入れるの手順|最初に決めておくこと
PWAをMacに入れる操作そのものは、メニューを2回押すだけで終わります。手間がかかるのは作ったあとです。あとから名前を変えたい、別のアカウントで開きたい、通知が来ない、といった理由で作り直すことになると、そのたびにDockの並びとキー操作の記憶がずれていきます。この記事は、押す前に決めておけば作り直さずに済む4つの項目と、その順番に沿った手順、作った直後に確かめる内容をまとめたものです。
押す前に決める4つのこと
手順の解説はどれも似ていますが、うまくいく人とやり直す人の差は、操作より前にあります。決める順番には意味があり、後ろの項目は前の項目が決まっていないと決められません。
1つ目に、どのブラウザで作るか
作った入れ物は、作ったブラウザの仕組みの上で動き続けます。あとから中身だけを別のブラウザに移すことはできません。判断の材料は3つです。
そのサイトの表示がどのブラウザで安定しているか。読み込みが重いサイトや、特定のブラウザでしか正しく動かない社内システムがあるなら、その時点で選択肢は絞られます。
通知を受け取りたいか。SafariでDockに追加した入れ物は Web Push と バッジ表示に対応していて、未読の数がDockのアイコンに赤い印として出ます。通知を最優先にするならここが分かれ目になります。
拡張機能に頼っている作業があるか。翻訳や自動入力を拡張機能でまかなっているなら、その拡張機能が動く側で作る必要があります。
なお、Firefox にはサイトごとの独立した窓を作る機能がありません。過去に試作されたものは 86 で削除されており、デスクトップ版での復活も示されていないので、Firefox を使っている人はここで Safari か Chromium 系に移るか、サイトを包む道具を使うかを決めることになります。
2つ目に、どのアカウントの状態で作るか
ここが最も作り直しの原因になります。Safari でDockに追加すると、そのサイトの Cookie が追加した瞬間に入れ物へコピーされます。つまり、作った瞬間にログインしていたアカウントが、その入れ物の初期状態になります。コピーはその1回きりで、以降はブラウザ側と行き来しません。
仕事用と個人用を分けたいなら、作る順番はこうなります。ブラウザで仕事用のアカウントにログインし直してから、仕事用の入れ物を作る。次にアカウントを切り替えてから、個人用の入れ物を作る。順番を逆にしたり、途中で切り替えを忘れたりすると、同じアカウントで開く入れ物が2つ並びます。
Chromium 系で作る場合は、Cookie ではなくプロファイルに紐づきます。どのプロファイルを開いた状態で作ったかが、そのままアプリの人格になります。プロファイルを複数持っている人は、作業を始める前にどのプロファイルにいるかを確認してください。
3つ目に、何という名前にするか
名前は見た目の問題ではなく、呼び出しの速さの問題です。作られた入れ物は Spotlight の検索対象になるので、名前の先頭数文字が、そのまま毎日打つキーになります。
サービス名をそのまま付けると、同じ頭文字のアプリと競合します。仕事用と個人用のように2つ作るなら、頭に1文字か2文字の区別を足しておくと、打鍵1回で狙ったほうが先頭に出ます。長い正式名称をそのまま入れると、候補の中で見分けにくくなります。
名前は作るときに入力を求められます。あとから Finder でファイル名を変える方法もありますが、Dockの並びや、キー操作を割り当てている場合の設定が追従しないことがあるため、最初に決めておくほうが確実です。
4つ目に、どこまでを中で開かせるか
入れ物の中でリンクを押したとき、その先が入れ物の中で開くか、既定のブラウザに飛ぶかは、リンク先がその入れ物の範囲に入っているかで決まります。macOS Sequoia 以降は、押したリンクが範囲と一致していれば、既定のブラウザではなく入れ物の側で開きます。
問題になるのは、認証のために別のドメインを経由するサービスです。社内の認証基盤や、外部のアカウントでログインする画面は、範囲の外に出るためブラウザに飛びます。飛んだ先で認証を終えても、入れ物に戻ってこないことがあります。この形のサービスを入れ物にするなら、ログイン済みの状態で作って、なるべく再認証が起きないようにするのが現実的です。ここでも2つ目の項目が効いてきます。
ブラウザ側で先に済ませておくと楽なこと
4つを決めたら、作る前にブラウザの側で片付けておくと手戻りが減る作業が3つあります。
1つ目は、そのサイトの通知を有効にしておくことです。通知の許可はサイトごとに記録されるので、ブラウザ側で許可を出してから作ると、入れ物の側でもその状態から始められます。あとから許可を出し直す手間が省けます。
2つ目は、パスワードの保管場所を決めておくことです。ブラウザの拡張機能に保管している場合、入れ物の中ではその拡張機能が同じようには使えません。作ったあとで「ログインし直したいのにパスワードが取り出せない」という詰まり方をします。保管場所をブラウザの外に移すか、その場でログインできる状態にしておくかを、先に決めておいてください。
3つ目は、最初に開く画面を確定させることです。追加した瞬間に表示していた画面が起点になるので、ブラウザ側で並び替えや絞り込みを済ませ、毎朝見たい状態にしてから追加します。トップページのまま追加すると、毎回そこから目的の画面まで移動することになり、手数を減らすという目的が半分になります。
Safariで作る手順
決めたことが揃ったら、操作自体は短いです。
対象のサイトを Safari で開き、目的の画面まで進めます。トップページではなく、毎日最初に見る画面まで進めておくのが要点です。通知の受信画面や、担当している案件の一覧など、実際に開きたい場所で追加すると、次からその画面が最初に出ます。
メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選びます。ツールバーの共有ボタンからでも同じ項目が選べます。
名前を入力して追加します。アイコンを調整できる場合はここで整えます。追加すると、ホームフォルダの中の「アプリケーション」フォルダに保存されます。
The web app is saved to the Applications folder of your home folder 出典: support.apple.com
保存先が分かっていると、あとで整理するときに迷いません。不要になったものを片付けるときは、ホームフォルダの「アプリケーション」を開いて、その項目をゴミ箱に入れます。システム側のアプリケーションフォルダではないので、探す場所を間違えないようにしてください。
Chromium系で作る手順
Chrome の場合は、メニューの「キャスト、保存、共有」の中にある「ページをアプリとしてインストール」を選びます。以前は「その他のツール」の下に「ショートカットを作成」という名前で置かれていた項目で、名前も場所も変わりました。古い解説どおりに探しても見つからないのはこのためです。サイトによっては、アドレス欄の右側にインストールの印が出ることもあります。
作られたものは、ホームフォルダの「アプリケーション」の中に、ブラウザごとのフォルダを作ってそこに入ります。Chrome なら「Chrome Apps」、Microsoft Edge なら「Edge Apps」という具合に、使っているブラウザの数だけフォルダが並びます。複数のブラウザで同じサイトの入れ物を作ってしまうと、見た目がほぼ同じものが2つできるので、どれを残すかは早めに決めておくほうが混乱しません。
入れたものの一覧を見たいときは、ブラウザで chrome://apps を開くと並びます。消すときは、その入れ物を開いた状態でメニューからアンインストールを選ぶと、関連するデータを一緒に消すかどうかも選べます。
作った直後に確かめる5点
作って終わりにすると、必要なときに動かないことに気づきます。次の順で確かめると、直せるうちに直せます。
最初に、開き直したときにログイン状態が残っているかを見ます。いったん閉じて、もう一度Dockから開きます。ここでログインを求められるなら、作ったときのアカウントの状態が想定と違っていた可能性があります。
次に、通知が届くかを試します。サイト側の設定で通知を有効にして、実際に1件届くところまで確認します。Dockのアイコンに未読の印が出るかどうかも、ここで見ます。
3つ目に、よく使うリンクを1つ押してみます。入れ物の中で開くか、ブラウザに飛ぶかを見ておくと、あとで慌てません。飛ぶリンクがあるなら、それは想定内として覚えておきます。
4つ目に、Spotlight で名前を打って呼び出せるかを試します。打ちにくい、候補が先頭に出ない、と感じたらこの時点で名前を見直します。作った直後なら、消して作り直す手間は小さいです。
5つ目に、Dockに固定します。作った直後はDockに出ていても、次に閉じると消える設定になっていることがあります。アイコンを右クリックして、Dockに残す設定にしておきます。
作り直しが必要になる場面
次のどれかに当たったときは、設定を探すより作り直したほうが早いです。
別のアカウントで開きたくなったとき。入れ物の中でログインし直せば切り替えられますが、両方を同時に使いたいなら2つ目を作ることになります。
作ったブラウザを乗り換えたとき。入れ物は作ったブラウザの仕組みで動くので、ブラウザを変えるなら入れ物も作り直します。
名前を変えたいとき。呼び出しに使うキーが変わるので、中途半端に直すより作り直して、古いほうを片付けるほうが混乱しません。
開きたい最初の画面が変わったとき。追加したときの画面が起点になるため、毎日見る画面が変わったなら作り直す価値があります。
うまくいかないときの確認順
症状から原因にたどり着く順番を決めておくと、時間の節約になります。
Dockに追加の項目が見当たらないときは、まずブラウザを確かめます。Safari であればメニューバーの「ファイル」の中にあります。Firefox なら機能そのものが無いので、探しても見つかりません。Chrome で「ショートカットを作成」を探している場合は、名前が変わっているので別の場所を見ます。
開くとブラウザのタブになってしまうときは、押しているアイコンが入れ物ではなく、URLを保存しただけのファイルである可能性があります。デスクトップやDockの右側に置いた種類のものは、押すと既定のブラウザが開きます。
通知が来ないときは、入れ物の側の設定と、サイト側の設定の両方を見ます。入れ物ごとに通知の出し方を選べるようになっているので、そこで止まっていることがあります。
毎回ログインを求められるときは、Cookie がコピーされるのは作った瞬間の1回だけだという仕組みを思い出してください。ブラウザ側で何かを変えても、入れ物は追従しません。
2つ目以降を作るときの決め方
1つ目がうまく動いたあと、どこまで増やすかで迷います。判断の目安は、そのサイトを1日に何回開き直しているか、通知を受け取りたいか、他の作業と混ざると困るか、の3点です。当てはまる数が多いものから順に作ると、Dockが埋まる前に効果の大きいものが揃います。
どの種類のサイトが入れ物にされやすいかは、対応サービス一覧に並んでいるサービスの傾向から読み取れます。対話型のAI、チャット、ノート、案件の管理、カレンダーのように、開きっぱなしにして通知を受け取る類のものが中心です。判断に迷ったら、この並びに近い性格のサイトかどうかで決めると外しません。
名前やアイコン、通知やキー操作をどこまで細かく決められるかは、作り方によって差があります。設定できる項目の一覧はできることにまとまっていて、作る流れそのものは使い方ガイドに順番どおり並んでいます。どこから費用が発生するのかは料金で、権限やデータの扱いについての細かい疑問はよくある質問で確かめられます。
まず1つ、朝いちばんに開いて夜まで閉じないサイトを選び、この記事の順番どおりに作ってみてください。4つの項目を先に決めておけば、作り直しは起きません。
よくある質問
作る前に必ず決めておくべきことは何ですか?
どのブラウザで作るか、どのアカウントにログインした状態で作るか、何という名前にするか、どこまでを入れ物の中で開かせるか、の4つです。特にアカウントは重要で、Safariの場合は追加した瞬間のCookieがコピーされるため、そのときログインしていたアカウントが初期状態として固定されます。
作ったあとで名前を変えられますか?
Finderでファイル名を変える方法はありますが、Dockの並びやキー操作の割り当てが追従しないことがあります。名前はSpotlightで呼び出すときのキーそのものなので、作り直したほうが結果的に早く片付きます。作った直後であれば、消して作り直す手間はほとんどかかりません。
仕事用と個人用で2つ作りたいときの順番は?
先にブラウザで仕事用のアカウントにログインしてから1つ目を作り、次にアカウントを切り替えてから2つ目を作ります。切り替えを忘れると、同じアカウントで開く入れ物が2つ並びます。名前の頭に1文字か2文字の区別を足しておくと、Spotlightで打ち分けられます。
作ったのにブラウザのタブで開いてしまうのはなぜですか?
押しているものが入れ物ではなく、URLを保存しただけのファイルである可能性があります。デスクトップやDockの区切り線の右側に置いた種類のものは、押すと既定のブラウザが開きます。ホームフォルダのアプリケーションフォルダに保存されているかどうかを確かめてください。