site specific browser edgeの実際|Macでの手順と限界

Microsoft Edgeには、開いているWebサイトをそのまま独立したアプリにする機能があります。会社から支給されたMacにEdgeが入っていて、業務用のアカウントでサインイン済みで、社内システムがEdgeでしか正しく動かない。そんな状況なら、これが最短の道になります。一方で、Microsoftが公開している説明の多くはWindowsを前提にしており、Macでは当てはまらない項目が混ざっています。この記事では、Macでの実際の手順と保存先、いつまで使えるのかという期限、そして会社支給の端末で操作そのものが出てこない場合の原因を順に整理します。

手順と、できあがったものの置き場所

Edgeの画面に「サイト専用ブラウザ」という語は出てきません。この機能は「アプリ」という言葉で用意されています。

操作は、画面右上の「設定など」から「その他のツール」、「アプリ」、「このサイトをアプリとしてインストールします」と進み、名前を付けて確定するだけです。インストールしたものは edge://apps に一覧で並び、各カードの「詳細」からアクセス許可の確認とアンインストールができます。削除するときは、アプリの履歴とデータも一緒に消すかどうかを聞かれます。ログイン状態を持っている業務システムの場合、ここの選択は意味を持ちます。

macOSでできあがるのは1つのアプリファイルです。置き場所は、ディスク直下の「アプリケーション」フォルダではなく、ホームフォルダの中にある「アプリケーション」フォルダの下に作られる Edge Apps という専用フォルダです。中身を開いてもブラウザ本体の複製は入っていません。小さな起動用のプログラムとアイコン、そしてEdge本体への参照と、どのプロファイルに属するかの情報が入っているだけです。

この構造が、Chromium系のサイト専用ブラウザの性質そのものを説明しています。Dockに並ぶアイコンは、窓が付いたショートカットであって、単独で動くプログラムではありません。Edgeを削除すればアイコンは動かなくなります。反面、Edgeが更新されれば描画エンジンも安全性の修正も自動的に引き継がれ、こちら側で何かする必要はありません。

入口は2つあり、結果が同じではない

同じ機能への入口はもう1つあります。使える場面は限られますが、結果は明らかに良くなります。

サイト側がWebアプリマニフェストという設定ファイルを配信している場合、Edgeはアドレスバーにインストールを勧める表示を出します。ここから入れると、アプリ名、アイコン一式、起動時に開くURL、表示形式のすべてをサイト側の指定どおりに受け取れます。起動したときに出るのは、そのサイトが指定したページです。

一方「このサイトをアプリとしてインストールします」は、マニフェストの有無にかかわらず動きます。それが利点であり、同時に代償でもあります。Edgeは推測で埋めるしかないため、アイコンはファビコンから拾われ、起動時に開くURLはそのとき表示していたページになります。ファビコンは小さい画像なので、Dockに並べたときににじんで見えることがあります。

ここから実務的な習慣が2つ出てきます。1つは、インストールする前に「起動したときに開いてほしいページ」まで移動しておくこと。もう1つは、作ったあとにDockのアイコンを一度確かめることです。アイコンがぼやける問題は、この方法を試した人が最終的に専用の道具を探しに行く最大の理由になっています。どのサイトが最初から整った状態で用意されているかは対応サービス一覧で確認できます。

説明されている機能の多くはWindowsのもの

ここがMacの利用者にとって最も時間を取られる部分です。しかも、推測ではなくMicrosoft自身の文書から読み取れます。

インストール済みアプリについての説明には、タスクバーへのピン留め、スタート画面へのピン留め、デスクトップショートカットの作成、そして edge://apps の「詳細」から設定する「デバイス ログインの自動開始」が並んでいます。これらはすべてWindowsの仕組みです。利用者向けのページにmacOSという語は出てきません。

Macでこの機能が壊れているわけではありません。独立した窓、Dockのアイコン、Command+Tabでの切り替え、edge://apps での一覧はそのまま使えます。使えないのは、Edgeの設定画面からログイン時の自動起動を指定する部分です。

代わりの手段はOS側にあります。起動中のアプリをDockで副ボタンクリックし、「オプション」から「ログイン時に開く」を選ぶか、システム設定の「ログイン項目」に追加します。結果は同じですが、Microsoftのページを読んでいてもたどり着けません。この機能が「Macでは自動起動できない」と誤解されやすいのはこのためです。

説明されている挙動 Windows macOS
アドレスバーの無い独立した窓 使える 使える
edge://apps の一覧に並ぶ 並ぶ 並ぶ
タスクバー・スタート画面へのピン留め 使える Dockに常駐させる形で代替
edge://apps からのログイン時自動起動 使える OSのログイン項目で設定する
アプリの切り替え表示 Alt+Tab Command+Tab

この方法がいつまで使えるかは、Edge側の期限で決まる

作ったアプリは、作成元のEdgeの上で動きます。したがってEdge自身の対応OSが、この仕組みの寿命をそのまま決めます。Microsoftはその予定を公開しています。

Microsoft Edge 129 から 138 までサポートされている macOS 11 (Big Sur)。Microsoft Edge 139 から 150 までサポートされている macOS 12 (Monterey)。Microsoft Edge バージョン 151 以降には macOS 13 (Ventura) 以降が必要。 出典: learn.microsoft.com

これは表というより残り時間の表示として読むほうが実態に合います。Edgeはすでにバージョン151を越えているため、Monterey(macOS 12)のMacは受け取れる最後のビルドで止まっています。そこに作ったアプリも一緒に止まります。起動はします。ただし描画エンジンの更新が来なくなるので、画面を作り変え続けるサービスほど影響が出ます。

同じ文書には、AppleシリコンのMac向けのネイティブ対応がStableバージョン88以降であることも書かれています。つまり、いま問題になるのはCPUの種類ではなく、macOSのバージョンのほうです。

判断は単純になります。手元のMacがmacOS 13以降なら、この道は今後も更新され続けます。そうでないなら期限のある道なので、対応の範囲が違うブラウザを土台にするほうが長持ちします。

同じ文書には、macOS 11で「バージョン139以降はインストールや起動に問題が出る場合がある」という注意も添えられています。ここから読み取れるのは、対応表の下限に載っていることと、実際に安定して動くことが同じではない、という点です。古いMacで無理に使い続けるより、土台を替える判断のほうが結果的に手数は少なくなります。

会社支給のMacでは、選べないことがある

Edgeは、Macで使うブラウザとしては珍しく、管理者のポリシーで細かく制御されます。この機能に直接効くものが3つ公開されています。ブラウザからの利用者によるWebアプリのインストールを有効にするもの、強制的にインストールするWebアプリの一覧を設定するもの、そしてWebアプリの管理設定です。

業務用の端末では、ここから2つの現象が出ます。

1つは、メニューが出てこない場合です。「このサイトをアプリとしてインストールします」が見当たらない、または選べないとき、原因はEdgeの不具合でもサイト側の問題でもなく、端末を管理している側の設定であることがあります。再インストールを繰り返しても状況は変わりません。

もう1つは逆方向です。管理者側が社内システムをアプリとして配ってしまえば、全員の端末に同じアイコンが並びます。毎日開く社内の管理画面やイントラネットに対しては、素直に有効な使い方です。企業の中でこの機能がEdgeを土台に使われやすいのは、この配布の仕組みがあるためです。

個人所有のMacであれば、こうした制限は関係ありません。同じ画面でも背景が違うので、原因を探し始める前にどちらの状況かを見分けておくと、時間を無駄にせずに済みます。

プロファイルの結び付きが、後から効いてくる

Macに入っているEdgeは、主力ブラウザではなく「業務用アカウント専用の2本目」として置かれていることが多くなります。そのため、プロファイルとの結び付きは想像より重い意味を持ちます。

あるプロファイルから作ったアプリは、そのプロファイルのCookie、サインイン状態、拡張機能、許可設定を引き継ぎます。プロファイルが2つあれば、インストール済みアプリの組も2つ独立して存在します。同じサイトを両方から入れることもできるので、業務用と個人用でアイコンを分け、どちらも同時にサインインしたまま使えます。

問題が起きるのは静かなほうです。たまたま前面にあったプロファイルから作ってしまうと、正しいセッションを持たない側に紐づきます。開いた瞬間にサインイン画面が出ますが、見た目は正しく作れたアプリと区別が付きません。

インストールの前に、いまどのプロファイルが選ばれているかを確認するだけで、この事故は起きなくなります。扱うサイトとアカウントが増えるほど、プロファイルの割り当ては付随的な話ではなく設計そのものになります。その考え方と具体的な手順は使い方ガイドにまとまっており、費用の目安は料金で確認できます。

整理の観点でもう1つ。アンインストールのときに出る「アプリの履歴とデータも削除するか」という確認は、既定のまま流さないほうがよい場面があります。同じサイトを別のプロファイルで作り直す予定があるなら、データを残しておけば再ログインを省ける場合があります。逆に、退職や担当替えで業務システムのアイコンを外すときは、履歴とデータまで消すほうが筋が通ります。1回の確認画面ですが、後で困る側は決まっています。

Edge・Chrome・Safariを同じMacの上で比べる

どれを土台にしてもDockにアイコンは並びます。分かれるのは、引き継がれるログイン状態と、その道がいつまで支えられるかです。

土台 操作 引き継がれるもの 必要な条件
Edge 設定など>その他のツール>アプリ>このサイトをアプリとしてインストールします 使ったEdgeのプロファイル 現行のEdgeはmacOS 13以降
Chrome メニュー>キャスト、保存、共有>ページをアプリとしてインストール 使ったChromeのプロファイル Chromeの導入
Safari ファイル>Dockに追加 引き継がない macOS Sonoma 14以降

社内システムのようにシングルサインオンの背後にあるものは、すでにセッションを持っているChromium系のブラウザを土台にするほうが素直です。逆に、他の閲覧から完全に切り離したいサイトであれば、Safariの独立性が向いています。一般解は無く、対象のサイトごとに答えが変わります。

なお、以前この用途で使われていたコマンドライン系の道具は、現在は選択肢に入りません。Nativefierは2023年9月にGitHub上でアーカイブされ、更新が止まっています。当時の解説記事を見つけても、いま同じ手順を再現する意味はありません。

よくある質問

Macで作ったEdgeのアプリはどこに保存されますか?

ディスク直下の「アプリケーション」フォルダではなく、ホームフォルダ内の「アプリケーション」フォルダの下にある Edge Apps フォルダに保存されます。中身は小さな起動用プログラムとアイコンで、Edge本体と使用したプロファイルへの参照を持っています。

Macでログイン時に自動起動させるにはどうすればよいですか?

edge://apps の「デバイス ログインの自動開始」はWindows向けの設定です。macOSでは、起動中のアプリをDockで副ボタンクリックして「オプション」から「ログイン時に開く」を選ぶか、システム設定の「ログイン項目」に追加してください。

「このサイトをアプリとしてインストールします」が選べません。

会社が管理している端末では、管理者のポリシーで利用者によるインストールが無効にされている場合があります。Microsoftは該当する設定項目を公開しており、この場合は再インストールしても変わりません。管理部門への確認が必要です。

Edgeをアンインストールすると、作ったアプリはどうなりますか?

動かなくなります。Dockのアイコンは、URLをEdgeに渡してプロファイルを利用する起動役なので、本体を消すと中身の無いアイコンだけが残ります。同じEdgeとプロファイルを入れ直せば再び使えるようになります。

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