サイトをアプリにする方法とショートカット|3つの別物を切り分ける
サイトをアプリにする方法をショートカットという語で調べると、書いてあることがかみ合わない解説にいくつも当たります。原因は単純で、この語が少なくとも3つの別物を指しているからです。押すとブラウザのタブで開くもの、押すと独立した窓で開くもの、キーボードの組み合わせで呼び出すもの。この記事はまず3つを切り分けて、目的から逆算してどれを作るべきかを決められるようにします。
同じ「ショートカット」が3つの別物を指している
3つの違いは、作った後に何が起きるかで区別できます。
- タブで開く入口: 押すとブラウザが起動し、通常のタブとして目的のページが開く。タブの列は1本増える
- 独立した窓で開く入れ物: 押すとタブバーもアドレスバーも無い窓が開く。Dockに並び、Command+Tabの対象になる
- 呼び出しの割り当て: 押すものではなくキーの組み合わせ。既にある入口を、手を動かさずに呼ぶための設定
タブに埋もれたサイトを取り出したくて調べている場合、必要なのは2つ目です。1つ目を作っても、押した先はタブなので、埋もれる状態そのものは変わりません。30枚のタブを整理したくて始めた作業が、31枚目を増やす作業になってしまいます。
3つ目は、1つ目や2つ目と競合しません。2つ目を作ったうえで3つ目を足すのが、実際にいちばん手数が減る組み合わせです。
1つ目: 押すとタブで開くショートカット
Chromeにはこの種の項目があり、名前と役割が途中で変わりました。開発者向けブログに経緯が書かれています。
Starting in Chrome 128, the Create Shortcut menu item in More > Save and share now creates a bookmark on the user's desktop or homescreen. The previous behavior of this menu item on desktop has moved to the Install Page as App option. 出典: developer.chrome.com
以前は「ショートカットを作成」の中に「ウィンドウとして開く」というチェックボックスがあり、そこで2つの結果を選び分けていました。現在は項目が2つに分かれ、「ショートカットを作成」はデスクトップにブックマークを置くだけの機能になっています。古い手順を書いた記事のとおりに操作して、独立した窓が開かないと感じるのはこのためです。
この形が向いているのは、週に何度か開く程度で、独立した窓までは要らないサイトです。デスクトップやFinderのサイドバーに置いておき、思い出したときに押す。作るのは数十秒で、ブラウザの更新でも壊れにくい。日々のタブの量を減らす効果は無いと理解したうえで使えば、十分に役に立ちます。
Safariの場合、アドレスバーのURLをデスクトップへドラッグすると同じ性質のファイルができます。押せばSafariでタブが開く形です。
この形の利点は、壊れにくさと扱いやすさです。実体はただの書類なので、Finderで名前を変えられますし、選んでCommand+Iで情報ウインドウを開けば、左上のアイコンに手持ちの画像を貼り付けて差し替えられます。フォルダにまとめて10個を1か所に収めることもできます。参照系のサイトを手元に置いておく用途なら、この方法が最も手数が少なくて済みます。
2つ目: 独立した窓で開くアプリ形式
タブから取り出したいなら、こちらを作ります。macOSで無料で使える経路は2つあります。
Safariでは、macOS Sonoma 14以降でメニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選びます。名前を入れて追加を押すと、ホームフォルダの中の「アプリケーション」フォルダにアプリの実体ができ、Dockに並びます。作ったアプリはSafariとCookieを共有しないため、初回はサインインし直しになります。手間に見えますが、同じサービスの2つのアカウントを2つの窓で同時に開けるという結果につながります。
Chromeでは、3点メニューの中の「ページをアプリとしてインストール」です。こちらは作ったときのプロファイルとログイン状態を共有するため、作った直後から使えます。その代わり、同じサービスの2つ目のアカウントを別の窓で同時に開くことはできません。
どちらで作っても、手に入るものは共通しています。
- Dockに専用のアイコンが並び、そこに置いたままにできる
- Command+TabとMission Controlに、ブラウザとは別の項目として出る
- タブバーもアドレスバーも無いので、別のページへ流れる経路が消える
- システム設定の通知一覧に単独で並び、そのサイトの通知だけを調整できる
3つ目: キーボードから呼び出すショートカット
2つ目まで作ると、次に効いてくるのが呼び出しの速さです。Dockのアイコンを目で探してクリックする動作は、Dockに30個並んだ時点で速い操作ではなくなります。
いちばん手軽なのはSpotlightです。Command+スペースを押し、作成時に付けた名前の頭を数文字打てば候補に出ます。名前を工夫しておくと、この打鍵数がそのまま短くなります。「メール 仕事」ではなく「仕事メール」にしておけば、同じ2文字で他と競合せずに引ける、という程度の差が毎日積み上がります。
固定のキーで一発起動したい場合は、macOSに標準で入っている「ショートカット」アプリが使えます。アプリを開く動作を1つ置いたショートカットを作り、詳細の欄でキーの組み合わせを割り当てる。メニューバーにピン留めしたり、クイックアクションとして呼び出したりもできます。Spotlightからショートカットの名前で実行することも可能なので、覚えるキーを増やしたくない人にも向きます。
この3つ目は、作るものではなく整えるものです。2つ目を作らないまま3つ目だけ用意しても、開くのはやはりタブになります。
割り当てるキーを決めるときは、他のアプリと重ならない組み合わせを選ぶのが前提です。よく使われている組み合わせに重ねると、片方が黙って効かなくなり、原因を探す時間のほうが節約した時間を上回ります。数字キーを絡めた組み合わせは競合が少なく、しかも順番で覚えられるため、5個程度までなら破綻せずに運用できます。
3つを並べて比べる
| タブで開く入口 | 独立した窓のアプリ形式 | キーの割り当て | |
|---|---|---|---|
| 押した結果 | ブラウザのタブが1枚増える | 単独の窓が開く | 既にある入口を呼ぶ |
| 作る手間 | 数十秒 | 数十秒 | 数分 |
| Dockに置けるか | ファイル扱いで右側のみ | アプリとして左側に置ける | 対象外 |
| Command+Tabの対象 | ならない | なる | 対象外 |
| 通知の個別管理 | できない | できる | 対象外 |
| タブの整理に効くか | 効かない | 効く | 開く速度に効く |
作る順番は表の左からではなく、真ん中からです。まず独立した窓を1つ作って、それが日常で使えるかを確かめる。使えるようなら数を増やし、増えてから呼び出しのキーを整える。この順序なら、途中で不要と分かった作業を捨てられます。
どのサイトを独立させるか、線を引く
3つの違いが分かっても、対象を決めないと作業が終わりません。手当たり次第に作ると、Dockが埋まって探す時間が増えるだけになります。独立した窓を作る価値があるのは、次の3つを満たすサイトです。
- 毎営業日に開いている
- 検索結果やリンクからではなく、自分で意図して開いている
- ログイン状態を保っておく価値がある
メール、カレンダー、チャット、課題管理、社内の管理画面はたいてい当てはまります。逆に、月に数回しか開かないサービス、検索から辿って読むだけのページ、共有リンクで届く資料は当てはまりません。それらはブラウザのタブで扱うほうが素直です。
判断に迷ったら、いまブラウザで開いているタブを1枚ずつ見て、明日の朝も同じものを開くかを自問すると早く決まります。開くと答えられるタブが5枚あれば、その5枚が最初に作る対象です。全部を一度に作る必要はなく、1つ作って1週間使い、手応えがあれば残りを足す進め方で失敗が減ります。
除外の条件も1つ挙げておきます。拡張機能が無いと作業にならないサイトは、Safariで作った入れ物には向きません。Chromeウェブストアの拡張機能はWebKitの入れ物では動かないためです。その場合はChromeで作るか、別の道具に回すほうが早く終わります。
作った後に壊れる条件
3つのうち、壊れやすさが違います。
タブで開く入口は、実質ブックマークなので壊れにくい部類です。壊れるとしたらサイト側がURLを変えたときで、これはブックマークと同じ扱いで直せます。
独立した窓は、作り方によって差が出ます。Safariで作ったものはmacOSの機能なので安定していますが、Chromeで作ったものは作成時のプロファイルにぶら下がります。設定からそのプロファイルを消すと、アイコンは残ってもログイン状態が失われ、作り直しになります。プロファイルを整理する予定があるなら、整理を済ませてから作るほうが順序として無駄がありません。
キーの割り当ては、他のアプリと重なると黙って効かなくなります。割り当てる前に、そのキーが既存の操作で使われていないかを確かめるだけで、後の調査が要らなくなります。
実体そのものを消してしまう場合もあります。独立した窓のアプリは、ホームフォルダの中の「アプリケーション」フォルダに置かれます。Dockからアイコンを外しただけでは実体が残り、逆に実体を消すとDockのアイコンが機能しなくなります。この向きの違いを知らないと、片付けたつもりのものが溜まり続けます。
もう1つ、認証の途中で別のドメインへ移る社内システムには注意が要ります。独立した窓の中で完結せず、途中で止まることがあります。人に配る前に、1つ作ってセッションが切れて再ログインするところまで通しておくと安全です。
数を増やす前に確かめておくこと
ここまでの手段はすべて追加の費用が0円です。まず標準の機能で1つ作り、足りるかどうかを自分で確かめるのが最短で、それで足りるならこの先は不要です。
足りなくなる場面もはっきりしています。Chromeウェブストアの拡張機能を残したまま独立させたい、同じサービスを2つのアカウントで同時に開きたい、アイコンを自分の画像に差し替えたい、作った十数個を一覧で管理したい。この4つは標準の機能では空欄のまま残ります。
専用のWebアプリ化ツールを見るときは、機能の箇条書きより先に雛形の並びを見ると判断が速くなります。300以上のプリセットからすぐ作れる形であれば、URLもアイコンも名前も選んだ時点で埋まり、一覧に無い社内の管理画面も同じ手順で扱える見込みが立ちます。自分が毎日開くサービスが入っているかは対応サービス一覧で先に確認でき、窓やリンクの挙動をどこまで指定できるのかはできることに整理されています。作成手順の細かさは使い方ガイドで画面付きに追えます。
費用の桁も先に見ておくと迷いません。標準機能は0円、専用のツールには3アプリまで無料で、それ以上を作るときに3,980円の買い切りへ移る形があります。月額課金の製品では3年間の合計が28,700円前後になるものもあり、同じ目的でも総額の幅は大きく開きます。線引きは料金にまとまっており、導入前に出やすい疑問はよくある質問に集まっています。
よくある質問
デスクトップに作ったショートカットを押してもタブで開くのはなぜですか?
その種のショートカットがブックマークとして作られているためです。Chromeでは以前あった「ウィンドウとして開く」のチェックが別項目に分かれ、独立した窓が欲しい場合は「ページをアプリとしてインストール」を選ぶ形になりました。Safariでは「ファイル」から「Dockに追加」を使います。
作ったアプリをキーボードだけで開くにはどうすればよいですか?
Command+スペースでSpotlightを開き、作成時に付けた名前を数文字打つのがいちばん手軽です。固定のキーで一発起動したい場合は、macOS標準の「ショートカット」アプリでアプリを開く動作を1つ作り、キーの組み合わせを割り当てます。
ショートカットとアプリ形式は、どちらを先に作るべきですか?
アプリ形式が先です。キーの割り当ては既にある入口を呼ぶための設定なので、独立した窓を作らないまま割り当てても、開くのはブラウザのタブのままになります。まず1つ作って日常で使えるか確かめ、増えてから呼び出しを整える順序が無駄になりません。
Dockの左側にサイトのショートカットを置けないのはなぜですか?
Dockの左側はアプリケーション専用の領域だからです。ブックマーク型のショートカットはファイル扱いになるため、置けるのは区切り線より右側になります。左側に並べたい場合は、Safariの「Dockに追加」やChromeの「ページをアプリとしてインストール」でアプリの実体を作る必要があります。