サイトをDockに置くとは|何ができて、どこで詰まるか

サイトをDockに置く、という言い方は1つの操作を指しているようで、実際には中身の違う3つの結果を指しています。どれになるかで、押したときの挙動もログインの扱いも変わります。毎日開くサービスがブラウザのタブに埋もれていて、そこから取り出したいのであれば、まず自分が作ろうとしているのがどれなのかを決めるのが先です。ここでは3つの違いと、独立させたときに何が手に入り、どこで手が止まるのかを順に見ていきます。

「Dockに置く」が指している3つの結果

同じ操作名でも、macOSから見た正体は別物です。

  • アプリの実体を作る: ホームフォルダの中のアプリケーションフォルダに.appが生成され、Dockの区切り線より左、通常のアプリと同じ並びに入る
  • URLの書類を置く: そのページを開くだけのファイルで、Dockの区切り線より右、フォルダやゴミ箱と同じ領域にしか入らない
  • 起動中のアイコンが一時的に出る: ブラウザの窓が開いている間だけ見えている状態で、終了すると消える

「Dockに追加したのに他のアプリと並ばない」「再起動したら消えた」という詰まり方は、ほぼこの取り違えです。左側に並べたい、Command+Tabの対象にしたい、という目的があるなら、必要なのは1つ目のアプリの実体です。書類やブックマークをいくら整理しても左側には入りません。

逆に、月に数回しか開かないページを手元に置きたいだけなら、2つ目で足ります。押した結果がブラウザのタブでよいかどうかが、最初の分かれ道です。

独立したアプリになると、macOS側で何が変わるか

アプリの実体を作ると、そのサービスはOSから見て1つのアプリケーションとして扱われます。Command+Tabの並びに独立して出る、Spotlightで名前を打つと出る、ミッションコントロールで別のウインドウとして数えられる、フルスクリーンにすると専用の操作スペースを持つ、といった変化が一度に起きます。

macOS標準のSafariでこれを作った場合の位置づけは、Appleの資料に書かれています。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。 出典: support.apple.com

ここで押さえておきたいのは、分離が利点にも手間にもなるという点です。仕事用と個人用で同じサービスの2つのアカウントを同時に開きたい人にとって、Cookieが別なのは求めていたものそのものです。一方で、ブラウザでログイン済みだから作った瞬間から使えるだろうと思っていた人には、初回のサインインがそのまま作業になります。

Dockに通知の件数を出すバッジも、独立させて初めて成立します。タブのままではブラウザのアイコンに全部まとまってしまい、どのサービスに何件来たのかは分かりません。

中身はブラウザのまま。だから引き継がれる制限もある

独立したアプリになったといっても、ページを描画しているのはブラウザのエンジンです。ネイティブアプリとして書き直されたわけではないので、サイト側ができないことは、アプリにしてもできません。

  • サイトがオフラインに対応していなければ、機内モードでは開いても中身が出ない
  • ファイルの添付や書き出しは、サイトが用意している方法に従う
  • ショートカットキーはサイト側のものが効く。macOSのメニューが増えるわけではない
  • パスワードの自動入力は、どのエンジンで作ったかによって使える仕組みが変わる

拡張機能の扱いは、作り方で最も差が出る部分です。Safariで作ったWebアプリのツールバーには、インストール済みのSafari機能拡張に関連するボタンが出ます。Chromeで作ったものはChromeの拡張が動きます。広告ブロッカーやパスワード管理を前提に毎日使っているなら、どのエンジンで作るかを先に決めておかないと、作り直しになります。

詰まる場所1: ログインとセッションの持ち主

独立させた直後に一番多く起きるのが、ログインの分断です。Cookieが分かれる作り方であれば、ブラウザで入っているアカウントは引き継がれません。2段階認証をもう一度通すことになり、認証アプリや携帯電話が手元に無いタイミングで始めると、そこで止まります。

シングルサインオンを使っている社内システムでは、もう1つ注意が要ります。認証の途中で別の窓が開く設計になっている場合、その窓を開けるかどうかがアプリ側の設定に左右されます。外部のリンクを全部ブラウザに回す設定にしていると、認証だけがブラウザに飛んで戻ってこない、という形で止まります。

対策は単純で、最初の1本は業務に影響しない時間帯に作り、ログインまで通してから常用に切り替えることです。

詰まる場所2: リンクが出ていく方向と入ってくる方向

独立したアプリは、リンクの扱いを自分で決める必要があります。アプリの中で開くのか、既定のブラウザに渡すのか。この設定が自分の使い方と合っていないと、毎回小さな摩擦が残ります。

チャットのように外部リンクが大量に流れてくるサービスでは、アプリ内で全部開くと窓の中が別サイトで埋まります。逆に、社内の管理画面のように内部リンクで画面が切り替わるサービスでは、外に出す設定にしていると1クリックごとにブラウザへ飛ばされます。

入ってくる方向も見ておきます。メールに貼られたURLを押したとき、開くのは既定のブラウザです。作ったアプリで開いてほしければ、そのための仕組みを持っているツールを選ぶ必要があります。ここは作り方によって差が大きく、標準機能だけでは手が届かない場合があります。

詰まる場所3: 更新と、アイコンや名前の持ち主

作ったものは、作った時点のブラウザとサイトに依存しています。ブラウザ側が大きく更新されたとき、ラッパー型のアプリが起動しなくなる例が知られています。実体がどこを参照しているのかを把握しておくと、そのときに慌てません。

見た目の持ち主も確認しておきます。サイトが用意しているファビコンをそのまま使う作り方では、サイト側がロゴを変えた日にDockの並びが変わって見えます。名前もURLも自分で決めたいのであれば、作成時に指定できるかどうかを先に見ます。Safariで作ったWebアプリは、アプリ名・URL・アイコンを後から設定画面で差し替えられます。

削除の仕方も作り方で違います。ホームフォルダのアプリケーションフォルダから実体を捨てる形、ブラウザのアプリ一覧からアンインストールする形、管理用のツールから消す形があり、途中で作り方を変えると残骸が残ります。

詰まる場所4: 通知の権限が2段構えになっている

Dockにバッジを出したい場合、必要な条件は2つあります。サイトがWeb Pushに対応していること、そしてmacOSの通知がそのアプリに対して許可されていることです。片方だけでは出ません。

システム設定の通知一覧には、作ったアプリが1つのアプリとして並びます。ここで音やバナーの出し方をサービスごとに分けられるのが、タブのままでは得られない部分です。集中モードの対象からも個別に外せます。

なお、通知を許可するかどうかの確認は、サイトを開いた直後に1度だけ出ることが多く、そこで拒否すると設定画面から戻すことになります。作った直後に通知まで通しておくのが確実です。

通知を切ったまま使う選択もあります。常駐させたいが割り込まれたくないサービスは、バッジだけを出して音とバナーを止めると、開いたときに件数が分かる形になります。タブのままでは、この細かさで制御することはできません。

3つの結果を並べて、自分の目的に届く行を探す

言葉で違いを追うより、押したあとに何が起きるかを並べたほうが早く決まります。

アプリの実体 URLの書類 ブックマーク
Dockのどこに入るか 区切り線の左 区切り線の右 入らない
押した結果 独立した窓 ブラウザのタブ ブラウザのタブ
Command+Tab 対象になる 対象外 対象外
通知のバッジ 出せる 出ない 出ない
ログインの扱い 作り方で分離できる ブラウザと同じ ブラウザと同じ
作るのにかかる時間 数十秒 数秒 数秒
実体の置き場所 アプリケーションフォルダ 任意の場所 ブラウザの中

タブの列を減らすことが目的であれば、届くのは左の列だけです。中央と右の列は、押した先がブラウザのタブなので、開いた瞬間にまたタブが1枚増えます。ここを取り違えたまま作業すると、手順どおりに進めたのに目的が達成されない、という結果になります。

一方で、左の列には管理の手間が付いてきます。実体がファイルとして存在する以上、名前を決め、アイコンを決め、要らなくなったら削除する、という流れが1本ごとに発生します。2本や3本なら気になりませんが、十数本を超えると、どれをどのブラウザで作ったかが分からなくなります。増やす前提なら、一覧で管理できる形を最初から選んでおくほうが後戻りが少なくなります。

どのサイトを出して、どれを出さないか

全部を出すとDockが埋まり、探す時間はタブのときと変わりません。線を引く目安は次の4つです。

  • 1日に3回以上開くか。開かないものはブックマークで足りる
  • 開いている時間が長いか。常駐するものほど独立させる価値が出る
  • 同じサービスを複数のアカウントで使うか。使うならCookieの分離が効く
  • 通知を受け取りたいか。受け取るならバッジが効く

この4つのうち2つ以上に当てはまるサービスだけを出すと、Dockの数は自然に5個から10個の範囲に収まります。

判断に迷うのは、検索から辿り着くページと、社内の管理画面です。検索から入るページは、入口を固定しても結局検索し直すことが多いので、独立させても手数が減りません。社内の管理画面は逆で、URLが長く、ブックマークからでないと辿り着けないものほど、独立させたときの効果が大きく出ます。毎朝同じ画面を開いて数字を見る、といった使い方をしているなら、候補の筆頭です。

出さないと決めたサービスも、判断した理由をどこかに残しておくと、半年後に同じ検討を繰り返さずに済みます。

作り方を選ぶときに、最後まで見る行

標準機能で作れる形が自分の条件を満たすなら、費用は0円で終わります。満たさないのは、拡張機能を残したまま独立させたい場合、同じサービスを2つのアカウントで同時に開きたい場合、そして作った十数個をまとめて管理したい場合です。この3つのどれかに当たったときに、専用のWebアプリ化ツールが候補に入ります。

比べるときは機能の箇条書きより先に、自分が毎日開くサービスが雛形に入っているかを見ると判断が速くなります。300以上のプリセットからすぐ作れる形であれば、URLもアイコンも名前も選んだ時点で埋まるため、Dockに並べる数が増えても作成の手数が一定に収まります。入っているサービスは対応サービス一覧で先に確かめられます。

窓の挙動やリンクの行き先をどこまで指定できるのかはできることに整理されており、実際の作成画面は使い方ガイドで追えます。費用の線引きは料金にまとまっていて、無料で作れる本数と、そこを超えたときの買い切りの金額が並んでいます。作る前に出やすい疑問はよくある質問に集まっているので、ログインや通知の扱いが気になる場合はそちらを先に見ておくと、作り直しが減ります。

よくある質問

サイトをDockに置くと、ブラウザのログイン状態は引き継がれますか?

作り方によります。SafariでWebアプリとして保存した場合、閲覧履歴やCookieはSafariと共有されないため、初回はサインインし直しになります。ブラウザのプロファイルを共有する作り方であれば、作った直後からログイン済みの状態で使えます。同じサービスを2つのアカウントで同時に使いたい場合は、分離される作り方のほうが向いています。

Dockの左側と右側で、置けるものはどう違いますか?

区切り線の左側はアプリケーションの領域で、実体を持つ.appだけが並びます。右側はフォルダ、書類、URLのファイル、ゴミ箱の領域です。ページを開くだけのURLファイルは書類なので右側にしか入りません。他のアプリと並べたい場合は、アプリの実体を作る方法を選びます。

Dockに置いたアプリで、広告ブロッカーなどの拡張機能は使えますか?

どのエンジンで作ったかで変わります。Safariで作ったWebアプリのツールバーには、インストール済みのSafari機能拡張のボタンが表示されます。Chromeを基にした作り方であればChromeの拡張が動きます。拡張機能を前提に毎日使っているサービスは、作る前にどちらで作るかを決めておくと作り直しを避けられます。

通知のバッジがDockに出ないのはなぜですか?

条件が2つあり、どちらかが欠けていると出ません。1つはサイト側がWeb Pushに対応していること、もう1つはmacOSの通知設定でそのアプリが許可されていることです。通知の確認ダイアログはサイトを開いた直後に出ることが多く、そこで拒否していると、システム設定の通知一覧から許可し直す必要があります。

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