webサイトアプリ化をChromeで|手順と、残る3つの制約

webサイトアプリ化をchromeで済ませたいとき、必要な操作そのものは1分もかかりません。詰まるのはその先で、作ったアプリがブラウザとどこまで一体なのかを知らないまま増やすと、ログインの取り違えや二重起動で余計に手間が増えます。ここでは、Chromeが用意している道の手順と、その道を選んだときに残り続ける制約を分けて整理します。

タブが増える速さに、探し方が追いついていない

毎日開くサイトの数は、この数年で増える一方です。カレンダー、チャット、案件の管理画面、経費の入力、それぞれ別のサービスで、どれもブラウザの中にあります。30枚のタブが並んだ状態でファビコンを目で追う時間は1回あたり数秒でも、1日に何十回も繰り返せば無視できない量になります。

この状況に対して、ブラウザ側は2つの方向で答えを出してきました。1つはタブを整理する機能で、グループ化や固定表示がこれにあたります。もう1つが、特定のサイトだけをブラウザの外へ出す方向です。後者はサイト固有ブラウザと呼ばれ、Chromeでは「アプリとしてインストール」という名前で提供されています。

方向が2つに分かれているのは、解こうとしている問題が違うからです。タブの整理は、ブラウザの中にあることを前提に見つけやすくする方法です。アプリ化は、そもそもブラウザの中から出してしまう方法で、Dockのアイコン、Command+Tabの並び、Mission Controlの一覧という、macOS側の探し方に載せ替えることになります。1日に何度も探し直すサイトほど、後者の効き目が大きくなります。

ただし出せるのは器だけです。中身は同じWebページのままで、サイト側から特別なものが配られるわけではありません。何が変わって何が変わらないのかを先に押さえておかないと、期待していた機能が付いてこないことに後から気付くことになります。

現在のChromeでの手順と、名前が変わった項目

いまのChromeでサイトをアプリにする経路は1つです。対象のページを開き、右上の3点メニューから「キャスト、保存、共有」を開いて、「ページをアプリとしてインストール」を選びます。サイトによってはアドレスバーの右端にインストールのアイコンが出ることがあり、そちらを押しても結果は同じです。

紛らわしいのは、同じメニューの中に「ショートカットを作成」という別の項目が残っていることです。この2つは2024年に役割が分けられ、ショートカットを作成のほうはブックマークに近いものを作るようになりました。押した結果が通常のタブで開くなら、選んだのはこちらです。

インストールが済むと、macOSではホームフォルダの中の「アプリケーション」フォルダに「Chrome Apps」というフォルダが作られ、その中にアプリの実体が置かれます。ディスク直下の共通のアプリケーションフォルダではありません。Dockに常駐させたい場合は、このフォルダから直接ドラッグします。

管理用の入口はchrome://appsです。インストール済みのものだけが並ぶため、以前に作ったものが今どういう状態なのかを確かめる場所としても使えます。

ウェブアプリをインストールするには、[その他] > [キャスト、保存、共有] > [ページをアプリとしてインストール] を選択します。 出典: support.google.com

かつてはサイト側がプログレッシブウェブアプリの要件を満たしていないとアプリ化できませんでした。現在は手動でのインストールに限り、その条件が外れています。マニフェストを持たない社内の管理画面でも、この経路なら窓を持たせられます。

インストール後に残る3つの制約

作られたアプリは、独立したプログラムではありません。同じChromeが、タブバーとアドレスバーを外した窓で同じページを描いているだけです。この構造から、3つの制約が生まれます。

1つ目は、セッションがプロファイルに属することです。アプリはインストールしたプロファイルのCookieと保存済みパスワードをそのまま使います。ログインの状態はブラウザ側と共有されるため、アプリの中でログアウトすればブラウザのタブでも切れます。

2つ目は、拡張機能が中まで届くことです。広告のブロックもパスワード管理も窓の中で働き続けます。便利な反面、すべてのページに介入する種類の拡張機能は、専用のアプリに見える窓の中でも同じように動いています。

3つ目は、プロセスがブラウザと地続きなことです。窓を閉じてもChromeの本体が残ることがあり、逆にChromeを終了させるとアプリの窓ごと消えることがあります。1日つけっぱなしにする使い方では表に出ませんが、ブラウザを1日に何度も再起動する人には毎回関係してきます。

一方で、この構造には見返りもあります。エンジンはChromeの更新にそのまま乗るため、セキュリティの修正が自動的に届きます。中身が古いまま取り残される心配が要らない点は、包み直す種類の道具に対する明確な優位です。

2つ目のアカウントで行き止まりになる場所

Chromeの経路がはっきり足りなくなるのは、同じサービスを2つのアカウントで使う場面です。1つのプロファイルの中に同じサイトのアプリを2つ作っても、両方が同じCookieを見るため、2つ目も1つ目と同じアカウントで開きます。

回避策として用意されているのがプロファイルの分割です。Chromeで2つ目のプロファイルを作り、そちらでもう一度インストールすれば、アプリはプロファイルごとに作られます。macOSのアプリケーションフォルダには、プロファイル名の付いた別のアプリとして並びます。

ただしこの方法には手間が付いてきます。プロファイルを増やすと拡張機能もブックマークも設定も別管理になり、片方だけ更新し忘れる状態が生まれます。既定のブラウザとして開くリンクがどちらのプロファイルへ行くのかも、意識して管理する必要が出てきます。

Chromeでインストール プロファイルを分けて2つ 専用の道具
準備 数十秒 プロファイル作成が先 導入が必要
Cookieの保管 元のプロファイルと共有 プロファイル単位で分離 アプリごとに独立
同一サービスの2アカウント 不可 可能 可能
拡張機能 そのまま効く プロファイル別に管理 道具による
アイコンの差し替え サイト側の指定 同左 たいてい可能
更新 Chromeに追従 同左 道具の更新に依存
消し方 アプリのメニューから削除 同左 通常のアプリと同じ

表の通り、選択を分けるのはセッションを分けたいかどうかの1点です。ログインが1つで足りるなら、ブラウザ標準の経路がいちばん短く、更新の面でも安全です。

覚えておくと使い勝手が変わる設定

インストールしたあとに触れる項目は多くありません。ただ、次の3つは知られていない割に効き方が大きい項目です。

起動の自動化は、アプリごとに設定します。chrome://appsでアプリを右クリックすると、サインイン時に起動する項目が出ます。朝いちばんに開くと決まっている勤怠や案件の一覧は、人が思い出して開くより、システムに開かせたほうが確実です。

ショートカットの置き場所は、あとから決められます。同じ右クリックのメニューにショートカットを作成する項目があり、デスクトップなど任意の場所へ置けます。アプリの登録と、起動する入口を置く場所が、別の操作として分かれている形です。

削除は、アプリの窓の中から行うのが後始末まで含めて確実です。アプリを開いて3点メニューを出すと、アプリ名を含んだアンインストールの項目があります。ここでChromeからデータも削除するかを選べます。実体をゴミ箱へ入れるだけだと、chrome://appsに登録だけが残ることがあります。

名前とアイコンについては、Chromeの経路ではサイト側の指定が使われます。サービスがロゴを変えれば、Dockの見た目も追随します。手元で好きな絵に差し替えたい場合、この経路では扱えません。

サイト側が変わったときに起きること

アプリの中身はサイトそのものなので、サイト側の変更はそのまま手元に降りてきます。放っておくと分かりにくい形で現れるため、起こり得る変化を先に把握しておくと対処が速くなります。

代表的なのはURLの変更です。サービスがドメインを移したり、ログイン後の入口を別のパスへ移したりすると、アプリが最初に開く場所が古いままになります。転送が設定されていれば当面は動きますが、転送が切れた時点でエラーの画面が出ます。この場合、アプリを作り直すのがいちばん確実です。Chromeの経路には、作ったあとで開始URLを書き換える設定がありません。

名前とアイコンの変化も同じ理由で起こります。サービスがロゴを刷新すると、Dockのアイコンも入れ替わります。似た色のアイコンを持つサービスを複数アプリにしていると、ある日から見分けが付かなくなることがあります。

もう1つは、ログインの扱いが変わる場面です。サービス側が認証の方式を変えると、外部の認証画面が別の窓で開く挙動になることがあります。アプリの窓の中で完結せず、ブラウザ側に飛ぶ形です。動作としては通りますが、窓が2つに割れるため、毎日繰り返すと気になります。この挙動はサイト側の実装に依存するため、手元の設定では変えられません。

いずれも壊れたわけではなく、包んでいる中身が動いただけです。アプリを作り直す手間は数十秒なので、様子がおかしいと感じたら一度消して入れ直すのが早い対処になります。

どのサイトをアプリにするか、線を引く

すべてのタブをアプリにすると、探す場所がタブからDockへ移るだけで、量の問題は残ります。判断の基準は2つで足ります。

1つは、開き方です。決まった時間に自分から開くサイトは向いています。カレンダー、問い合わせの受付、社内の管理画面、チャットがこれにあたります。検索結果やリンクから入って読み終わったら閉じるサイトは向きません。資料や記事の類はタブのままで困りません。

もう1つは、失う痛みです。タブを整理したときに巻き込まれて消えると困るものは、窓を持たせる価値があります。逆に、消えてもすぐ開き直せるものは、そのままで足ります。

判断に迷ったら、いちばん長く開いているものを1つだけアプリにして、1週間そのまま使うのが早いです。Dockから開く回数が増えたなら効いており、増えていないならそのサイトはタブのままで足りていたということになります。

数を増やすときは、順番にも意味があります。先に入れたものから使い方が定着するため、いちばん困っているサイトから1つずつ足していくと、どこで効いたのかが分かります。まとめて10個作ると、効いたものと惰性で残っているものの区別が付かなくなり、あとで整理するときに判断できません。

対応表と料金から見える、判断の材料

ブラウザ標準の経路では届かない要件が出たとき、専用の道具を見ることになります。比べる前に押さえておくと判断が速くなる情報が3つあります。

1つ目は、想定されている使い方の幅です。この種の道具には300以上のプリセットからすぐ作れるものがあり、その並びを見れば、どういうサービスを毎日開く人向けに作られているのかが読み取れます。自分が使っているサービスが含まれているかどうかは対応サービス一覧で先に確認できます。

2つ目は、設定として何を持っているかです。セッションの分離、アイコンの差し替え、通知の扱い、窓の大きさの記憶といった項目のうち、どこまで用意されているのかはできることにまとまっています。実際に手を動かす量がどれくらいかは使い方ガイドを見れば見当が付きます。

3つ目は費用の形です。買い切りか継続課金か、対応するmacOSのバージョンはどこまでかを料金で先に確かめておくと、あとから乗り換える手間が減ります。判断に迷いやすい点はよくある質問に整理されているので、導入前に目を通しておく価値があります。

この3つを見た上で、ブラウザ標準の経路で足りるならそのままでよく、セッションの分離が要るときだけ別の道具を検討する、という順序が無駄がありません。まずは1つ、いちばん長く開いているサイトをアプリにするところから始めるのが現実的です。

よくある質問

Chromeでアプリにすると、ログインし直す必要はありますか?

必要ありません。インストールしたプロファイルのCookieをそのまま使うため、ブラウザでログイン済みなら開いた時点でログイン状態です。裏を返すと、アプリの中でログアウトすればブラウザ側のタブでも切れます。ログインを分けたい場合、この経路では実現できません。

同じサイトのアプリを2つ作って、別々のアカウントで使えますか?

同じプロファイルの中では使えません。両方が同じCookieを見るため、2つ目も1つ目と同じアカウントで開きます。Chromeで2つ目のプロファイルを作ってそちらでインストールすれば分けられますが、拡張機能やブックマークもプロファイル単位で別管理になります。

作ったアプリはMacのどこに保存されますか?

ホームフォルダの中の「アプリケーション」フォルダに「Chrome Apps」というフォルダが作られ、その中に置かれます。ディスク直下の共通のアプリケーションフォルダではないため、Finderの「移動」から「ホーム」を選んで辿るのが確実です。一覧はchrome://appsでも確認できます。

アイコンを自分の好きな画像に変えられますか?

Chromeの経路では変えられません。名前もアイコンもサイト側の指定が使われ、サービスがロゴを変更すればDockの表示も追随します。似たアイコンのサービスを複数アプリにすると見分けが付きにくくなるため、差し替えが要る場合は別の道具を検討することになります。

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