Uniteとは|何ができて、どこで詰まるか
Uniteという名前にたどり着く人の多くは、製品の紹介文ではなく境界線を知りたがっています。ブラウザにサイトを登録して作るショートカットと何が違うのか、そして何ができないのか。この2つが分かれば、自分の使い方に当てはまるかどうかは自分で判断できます。ここでは作られるものの正体、土台になっている仕組み、3つの表示形式、macOSに寄せた機能、そして実際に詰まる場所の順に並べます。
URLを渡すと、独立したアプリが1本できる
この道具の役割は単純です。URLを渡すと、そのサイト専用のアプリを組み立てて、アプリケーションフォルダ(または指定した場所)に置きます。できあがるのは本物のアプリで、独自のアイコンを持ち、Dockに並び、アプリ切り替えに出てきて、独自の窓で開きます。所要時間は数十秒です。
重要なのは、データがブラウザと切り離される点です。Cookieもログイン状態も、そのアプリの中だけに持ちます。同じサービスの2つのアカウントを、別々のアプリとして同時に開いたままにできるのはこのためです。ブラウザのプロファイルを切り替える操作が要りません。
製品としては、2026年3月9日に世代が変わり、現行版はUnite Proという名前になりました。現行は1.x系で、更新はおおむね月に1回の頻度で出ています。2026年だけでも6月18日、7月26日、8月9日、8月30日に更新が公開されています。販売は継続しており、提供の終了や新規受付の停止は案内されていません。開発と販売は同じ会社が続けています。
土台は、この用途のために作られた自前のブラウザ
中身は既製のブラウザの使い回しではありません。
Unite uses a custom browser by BZG made specifically for SSBs and powered by Apple's open source WebKit 2 出典: bzgapps.com
WebKitはSafariと同じ系統の描画の仕組みで、macOSに最初から入っています。これを土台にする選択は、そのまま長所と短所になります。長所は軽さです。同じ会社が出しているChrome系の道具では1本あたり200MB以上になるのに対し、こちらは90MB前後だと公開されている比較表に書かれています。常時4本も5本も開く使い方では、この差が積み上がります。
短所は後述する拡張機能の扱いです。土台の選択は後から変えられないので、この一点が合わない人は、最初から別の道具を見たほうが早い。
表示形式が3つある
1本のアプリは、3つの形のどれかで動きます。作るときに選び、後から何度でも変えられます。
- 通常。上部にツールバーとタブが並ぶ、ブラウザに近い窓。長時間開く作業向き
- サイドバー。左側に幅を変えられる一覧を置き、タブをそこに縦に並べる形。行き来の多いサイト向き
- メニューバー。Dockから消え、メニューバーのアイコンを押すと小さな窓が下りてくる形。短く何度も開く道具向き
通常とサイドバーでは、窓を常に最前面に固定する設定も選べます。メニューバーの形で使っていても、その場で通常の窓に開き直す操作が用意されているので、形の選択は思ったほど後戻りできない決定ではありません。
ブラウザの外に出る機能
サイトによっては、macOS側の仕組みと直接つながる機能が自動で有効になります。対応するサイトを登録すると候補として提示され、既定で入る作りです。
- Dockのアイコンに未読の数を出す
- Google カレンダーやOutlookの予定を、macOSの通知として出す
- 主要なAIチャットを、どの画面からでも呼び出せる小さな窓としてメニューバーに置く
- 動画サイトの再生速度を、キーボードや画面上の操作で変える
2026年8月30日の更新では、GmailやOutlookで作ったアプリをmacOSの既定のメールクライアントに設定できるようになりました。他のアプリでメールのリンクを押したときに、そのアプリの作成画面が宛先入りで開きます。この種の機能は、ブラウザのショートカットでは原理的に届かない領域です。
サイトの見た目と権限を、アプリごとに決められる
もう一段細かい設定が、アプリごとに用意されています。ここが、ブラウザで同じサイトを開いた場合との差が最も大きい部分です。
見た目の側では、ユーザースクリプトとユーザースタイルを当てられます。サイトの特定の要素を消す、余白を詰める、色を変えるといった調整を、そのアプリの中だけに効かせられます。明るい配色しか持たないサイトを自動で暗い配色に変換する設定もあり、表示倍率はサイトごとに決められます。ブラウザの拡張機能で同じことをすると、他のすべてのサイトにも影響が及びます。ここが1本のアプリに閉じているのは、設定を長く保つうえで効きます。
権限の側では、通知、カメラ、マイク、画面共有、位置情報を、サイトごとに許可、拒否、都度確認から選べます。Cookieの扱いも、すべて受け入れる、すべて遮断する、第三者のものだけ遮断するの3つから選べます。ビデオ会議のサイトはカメラとマイクを許可し、それ以外は拒否しておくといった分け方が、アプリごとに完結します。ダウンロードの保存先もアプリごとに変えられるので、仕事の書類と個人の書類の保存先を分けられます。
更新はどう届くか
本体の更新は自動で通知され、本体を更新すると、作ったアプリ側にも同じ更新を自動で当てる設定が既定で有効になっています。この設定を切ると、各アプリは作った時点の状態のまま残り、編集して保存し直したときにだけ更新されます。
macOSを大きく上げた直後に挙動が変わった場合の対処も案内されています。まず本体の更新を確認し、それでも直らなければ、そのアプリを編集して保存し直して組み立て直す、という順番です。作ったアプリはOSの更新のたびに作り直しが必要なものではありませんが、組み立て直しという逃げ道があることは覚えておく価値があります。
詰まる場所1: 第三者の拡張機能が使えない
最も多くの人が引っかかるのがここです。この道具で作ったアプリは、Chromeの拡張機能に対応していません。公開されている比較表にも、第三者の拡張機能には対応しないと明記されています。
代わりに、いくつかの機能が本体に内蔵されています。広告の遮断は内蔵の仕組みで動き、パスワードは内蔵の管理機能で保存できます。2026年7月26日の更新では、1Passwordから直接ログイン情報を入れる機能がベータとして加わり、8月9日の更新で複数アカウントへの対応が入りました。
それでも、文法チェッカー、翻訳、業務用の独自拡張といったものに依存している作業は、この道具の中では再現できません。拡張機能が要る作業と要らない作業を分けて考えて、要らない側だけをアプリにするのが現実的な使い方です。
詰まる場所2: サイト側の事情
サイト専用のアプリは、ブラウザとは違う名乗り方でサイトに接続します。そのため、サイト側の作りによっては挙動が変わります。何が起きるかは、公開されている更新履歴を見ると具体的に分かります。
2026年6月18日の更新では、自動化を検知する仕組みを持つサイトでの挙動の改善、ユーザーエージェントの更新、SafariやmacOSの更新後に設定が戻ってしまう不具合の修正、NotebookLMの一部が読み込まれない問題の修正、YouTubeの再生リストとNetflixの全画面表示の修正が入りました。7月26日の更新では、ChatGPTのようなサイトで入力や応答の表示が他のブラウザより遅くなる問題が直されています。
これは品質が低いという話ではなく、この種の道具に共通する構造的な弱点です。サイト側が更新されれば、追いかける側も更新が要ります。判断の材料になるのは、更新の頻度と、直った問題が公開されているかどうかです。自分が使いたいサイトが特殊な作りをしているなら、無料で作れる1本目でそのサイトを試すのが確実です。
詰まる場所3: 動作条件とライセンスの縛り
現行版が動くのはmacOS 15以降です。Apple SiliconとIntelの両方に対応しますが、macOS 14以前で止まっているMacでは使えません。
費用の面では、無料で作れるのは1本までです。1本の中では機能に制限がありませんが、2本目からはライセンスが要ります。ライセンスは同時に1台のMacでのみ有効で、別のMacへ移すには元の環境で解除します。月額のバンドル経由で使う場合は、30日に一度は本体を開いて契約の確認を通す必要があります。作ったアプリを、ライセンスを持たない相手に渡して使わせることもできません。
詰まる場所4: 旧版からの移行で消えるもの
旧版のUnite 6で作ったアプリは、現行の形式へ変換できます。URL、名前、アイコン、表示形式、Cookieとセッション、保存したパスワード、ブックマーク、履歴、ユーザースクリプトは引き継がれます。
引き継がれないものもあります。旧版にあった小さな窓の形式は現行版に無く、通常の形に置き換えられます。Dockまわりの旧い機能も、置き換わった仕組みで設定し直すことになります。変換自体にライセンスが必要なので、無料枠のままでは旧版の資産を移せません。
日本語で使う人が見ておく2点
日本語環境に関わる変化が現行版で2つあります。1つは表示言語で、スペイン語、フランス語、ドイツ語、簡体字中国語、ヘブライ語、そして日本語に、この世代で初めて対応しました。もう1つは2026年8月30日の更新で、ラテン文字以外のキーボード配列でショートカットが正しく効かない問題と、Cmd+Vのような編集操作が二重に実行される問題が修正されています。日本語入力を使う環境では、この修正が入る前後で操作感が変わります。
向く使い方と、向かない使い方
ここまでを踏まえると、判断の線は比較的はっきりしています。
向いているのは、通知を受け取りたいサービス、同じサービスで複数のアカウントを分けたいとき、そしてメニューバーに置いて短く何度も開く小さな道具です。どのサービスが独立させる値打ちがあるかを見当付けるには、対応サービス一覧のような、アプリにされることの多いサービスを並べたページを眺めるのが早い。自分の1日と照らして、2本目以降の候補が出てくるかどうかが分かります。
判断に迷ったときは、そのサイトを閉じた状態で1日を過ごせるかを考えると分かりやすい。閉じられないサイトは常駐させる値打ちがあり、閉じられるサイトはブラウザのタブのままで困りません。常駐させる本数は、多くの人で3本から5本に落ち着きます。
向いていないのは、拡張機能に依存する作業と、macOS 14以前のMacです。この2つはどちらも工夫で埋められません。逆に言えば、それ以外の条件はだいたい設定で吸収できます。作る前に決めておく項目と、後から変えられる項目の区別を先に押さえておきたい場合は、作成の流れを順に説明した使い方ガイドが判断の助けになります。表示形式、リンクの飛び先、権限の扱いといった、後から変えると作り直しになる項目がどれかが分かります。
この種の道具を横に並べるときは、機能の数ではなく、土台に何を使っているか、拡張機能に対応するか、費用が買い切りか月額かの3点で見ると早く決まります。それぞれの製品のできることの一覧を、この3点だけに絞って読み比べれば、候補は2つか3つに減ります。
そのうえで、無料の範囲が期間で区切られているのか本数で区切られているのかを料金のページで確かめると、試してから決められる製品かどうかが分かります。細かい条件、たとえば作ったアプリを他のMacへ移せるかどうかはよくある質問に書かれていることが多いので、本数が増えそうな人ほど先に読んでおくと安全です。
よくある質問
Uniteとブラウザのショートカットは何が違いますか?
できあがるものが独立したアプリで、データをブラウザと共有しない点が最大の違いです。同じサービスの別アカウントを同時に開いたままにでき、Dockのアイコンに未読の数を出す、会議の通知を出すといったmacOS側の機能とつながります。表示形式もメニューバーやサイドバーから選べます。
Chromeの拡張機能は使えますか?
使えません。公開されている比較表にも、第三者の拡張機能に対応しないと明記されています。広告の遮断とパスワードの管理は本体に内蔵されており、1Passwordからの自動入力も追加されました。それ以外の拡張機能が必要な作業には向きません。
どのMacで動きますか?
macOS 15以降が必要です。Apple SiliconとIntelの両方に対応し、macOS 26 Tahoe向けに設計されたと案内されています。macOS 14以前で止まっているMacでは現行版を使えないため、価格を検討する前にここを確認してください。
使っているサイトがうまく動くかは、どう確かめますか?
無料で1本だけ作れるので、最初の1本に不安のあるサイトを充てるのが確実です。過去の更新履歴を見ると、特定のサイトで読み込みや入力が遅くなる問題が個別に直されており、サイト側の作りによって差が出ることが分かります。