WhatsAppのMacアプリ|2つ目の番号だけが入らない理由

日本でWhatsAppをMacから使う人の多くは、国内の連絡にLINEを、海外の取引先や家族との連絡にWhatsAppを使い分けています。つまり最初から複数の連絡手段を並行して開いている状態で、そこにもう1つ窓が増えます。「whatsapp mac app」で探している人がぶつかるのは、実はダウンロードの場所ではありません。公式のMac版は存在して無料で、しかも比較的古いMacでも動きます。詰まるのはその先、仕事用と個人用で番号を2つ持っている場合に、Macの公式アプリでは切り替えができないという点です。ここではその制約の中身と、番号ごとに独立した窓を用意する方法までを整理します。

公式Mac版の条件は macOS 12.1 以降

まず前提の確認です。WhatsAppの配布ページには、Windows版と並んでMac版が置かれており、必要な環境はmacOS 12.1以降と記載されています。App Storeの掲載内容も同じで、iPhoneはiOS 15.1以降、iPadはiPadOS 15.1以降、Apple WatchはwatchOS 10.0以降、そしてMacはmacOS 12.1以降という並びになっています。価格は無料、掲載されているサイズは397.4 MBです。

この12.1という数字が、この記事で最も実務的な意味を持ちます。比較のために別の下限を並べると、Chromeが公表しているMac側の条件はmacOS 13 Ventura以降です。Safariの「Dockに追加」でWebアプリを作る機能は、Appleのサポート記事によればmacOS Sonoma 14以降が必要です。

3つの数字を並べると、いつもの話が逆転します。macOS Montereyで止まっているMacでは、公式のWhatsAppアプリは入るのに、現行のChromeは入らず、SafariのメニューにはDockに追加の項目自体がありません。ブラウザ側の経路が閉じていて、ネイティブアプリだけが開いている状態です。古いMacBookを予備機として残している場合や、家族用の1台が数年前のモデルという場合は、この節だけで結論が決まります。

逆に現行のMacであれば、経路は全部開いています。そこから先の判断材料になるのが、次のリンクデバイスという仕組みです。

4台と14日という2つの上限

WhatsAppは1台の主要な電話を中心に設計されています。それ以外の場所でアカウントが開いているものはすべて「リンクデバイス」として扱われ、ヘルプセンターに上限が明記されています。

You can now use the same WhatsApp account on multiple devices at the same time, using your primary phone to link up to four devices. You'll need to log in to WhatsApp on your primary phone every 14 days to keep linked devices connected to your WhatsApp account. 出典: faq.whatsapp.com

ここから実務上の注意が2つ出てきます。

1つ目は、Macが特別扱いされないことです。公式のMacアプリも、ブラウザのタブで開いたWhatsApp Webも、そのページを独立した窓に入れたものも、アカウントから見れば同じ4枠のうちの1つです。自宅のMac、職場のMac、タブレット、もう1台のノートで枠は埋まります。5つ目を足すときは、どれかのリンクを外す必要があります。

2つ目は14日という期限で、これは電話側の話です。Macで毎日使っていても、主要な電話でWhatsAppを開かない期間が2週間を超えると、リンクしている側が一斉に切断されます。海外用の番号を別の端末で持っていて、その端末を普段は電源を切っている場合に起きやすく、症状としては「急にMacで開けなくなった」という形で現れます。故障ではなく仕様です。

なおヘルプセンターには、リンクデバイス側で最大1年分のチャット履歴が表示されない場合があるという注意書きも出ています。完全な履歴は主要な端末側に残るため、Macの窓を保管場所として扱わないほうが安全です。

公式アプリが止まるのは「2つ目の番号」

代わりの方法を探し始める理由は、ほぼこの一点に集約されます。WhatsAppは1台の携帯電話で2つのアカウントを持てる機能を提供していますが、その範囲について同じヘルプ記事にこう書かれています。

Secondary accounts can only be created from your primary mobile device. Only mobile companion devices can switch between accounts. This feature is not available on linked devices. Multiple accounts are currently only supported on mobile devices. 出典: faq.whatsapp.com

つまり、アカウントの切り替えは携帯電話の上でだけ使える機能で、リンクデバイスであるMacには来ていません。個人用の番号と屋号用の番号を持っている個人事業主、海外の取引先とだけやり取りする番号を分けている担当者、家族用と店舗用を分けている店主。いずれもiPhoneでは切り替えられて、Macではできません。公式アプリを2つインストールしても解決しません。同じアプリが同じ保存領域を読むためです。

答えはアプリを変えることではなく、セッションの入れ物を分けることです。WhatsApp Webはブラウザのプロファイル単位で1つの端末として扱われるため、プロファイルを分けた2つの窓を用意すれば、それぞれを別のアカウントからリンクして同時に開いたままにできます。枠の計算も心配ありません。アカウントが別なら4台の枠も別々に数えられます。

WhatsApp Webが求めるブラウザの版

窓の中身がWhatsApp Webになる以上、土台のブラウザの版が条件になります。ヘルプセンターによれば、WhatsApp WebはWindows・Linux・macOSに対応し、通話はChrome・Edge・Firefox・Safari・Operaで最も安定します。最低の版はChrome 85以上、Edge 85以上、Firefox 115以上、Safari 15.2以上、Opera 85以上です。

数字自体は低く、現行のブラウザなら余裕で満たします。実務で効くのは、その版がどこで決まるかです。Macに入っているChromium系ブラウザの実体を参照して作った窓は、そのブラウザの版をそのまま名乗ります。Chromeが自動更新された日に、その上で動いている窓もまとめて新しくなり、作り直しは発生しません。エンジンを同梱する方式との差はここに出ます。

もう1つ、この方式では窓の中でChromeの拡張機能が使えます。パスワード管理や翻訳の拡張がWhatsAppの窓でもそのまま働き、しかもアプリごとに入れる拡張を変えられます。SafariのDockに追加で作ったWebアプリは、Appleの説明によればSafariと閲覧履歴・Cookie・Webサイトデータ・設定を共有せず、Safari拡張機能を有効にできる作りです。分離という点では同じで、使える拡張機能の種類が違います。

4つの経路の違い

経路 必要なmacOS Macで2つ目の番号 独立したアイコン 窓の中の拡張機能
公式Macアプリ 12.1以降 非対応 あり 不可
WhatsApp Webをタブで ブラウザの下限(Chromeは13) プロファイルごとに1つ なし ブラウザ全体で共通
SafariでDockに追加 14以降 Webアプリごとに1つ あり Safari拡張機能
サイトをアプリにする道具 ブラウザの下限 アプリごとに1つ あり アプリごとに個別

表の3列目が、この記事の主題です。2つの番号を1台のMacで扱うなら、公式アプリ以外の経路を1つ足すことになります。

窓にする前に確認しておく3点

  • 通知の許可は窓の中で出す。Appleのサポート記事は、Dockのアイコンに未読の数を出したい場合、通知の許可はブラウザではなくWebアプリの側で応答するよう案内しています。ブラウザで許可済みでも新しい窓には引き継がれず、最初の症状は「メッセージは届くのに何も鳴らない」という形になります
  • ログアウトはリンクの解除を意味する。窓を閉じるだけならセッションは残りますが、WhatsApp Web内でログアウトを選ぶと枠が解放され、復帰には電話からQRコードを読み直す必要があります
  • 保存先を先に決める。受け取ったPDFや画像の保存先はセッションごとに設定でき、分けたプロファイルには別の保存先を割り当てられます。最初に決めておかないと、2つのダウンロードフォルダを行き来することになります

窓を分けたあとに決めておく運用

窓が2つに増えると、通知の扱いを先に決めておく価値が出てきます。独立したアプリはmacOSのシステム設定の通知一覧に個別の項目として並ぶため、片方だけバナーを出して、もう片方はバッジだけにする、といった分け方ができます。仕事用は営業時間だけ通知して、個人用は常に静かにしておく運用も同じ仕組みで作れます。タブのままでは、通知はブラウザという1つの項目にまとめられてしまい、この分け方はできません。

自動で開く設定も、番号によって答えが変わります。毎営業日に必ず開くほうの窓はログイン項目に入れておくと、Macを起動した時点で受信済みの状態になります。使う頻度が週に数回であれば、ログイン項目には入れず、必要なときにDockから開くほうが画面は静かに保てます。両方を自動起動にすると、朝の起動直後に窓が2つ立ち上がることになるので、最初に決めておくほうが後で困りません。

もう1つ、誤操作の話があります。窓の中で操作しているとき、Command+Qを押すつもりが別の窓に効いてしまうと、開いていたはずのセッションが閉じます。アプリごとに終了前の確認ダイアログを出せる道具であれば、常時開いておきたい窓にだけ確認を付けるという設定ができます。閉じてもリンクは残るので実害は小さいものの、通知を待つ用途では窓が生きていること自体が前提になります。

番号ごとに窓を分けるという考え方

サイトをアプリにする道具の側から見ると、WhatsAppは分かりやすい対象です。プロファイルが分かれること自体が目的になる、数少ないサービスだからです。ほとんどのサイトでは分離は付随的な利点ですが、ここでは分離そのものが公式アプリにできないことの代わりになります。

作るときに効いてくるのが名前とアイコンです。同じ緑のアイコンが2つDockに並んでいると、どちらが仕事用か毎回迷います。窓ごとに名前を変えられる道具なら、屋号や相手先の名前をそのまま付けられるので、Command+Tabの一覧でも迷いません。300以上のプリセットからすぐ作れる種類の道具であれば、URLを調べる手順も省けます。設定として何を持てるのかはできることに、どのサービスがプリセットに入っているかは対応サービス一覧にまとまっています。無料で作れる本数の範囲は料金で確認できます。

最初に決めるのはmacOSの版です。Montereyで止まっているMacなら公式アプリが唯一の経路になり、現行のMacで番号が1つだけなら公式アプリで足ります。番号が2つある場合だけ、2つ目に独立した窓を用意する話になります。

よくある質問

WhatsAppのMacアプリを使うのに、iPhoneを常時つないでおく必要はありますか?

常時接続は不要です。ただしリンクを保つには、主要な電話で14日に1回はWhatsAppを開く必要があります。海外用の端末の電源を切ったまま2週間を超えると、Mac側のセッションも切断されます。復帰は電話でWhatsAppを開き直すだけです。

Macで2つのWhatsAppアカウントを同時に使えますか?

公式アプリでは使えません。WhatsAppはアカウントの切り替えを携帯電話でのみ提供しており、リンクデバイスでは利用できないと明記しています。プロファイルを分けた2つの窓を用意し、それぞれ別のアカウントからリンクする方法なら同時に開いたままにできます。

公式アプリとWhatsApp Webで機能に差はありますか?

配布ページはMac版の利点として通話・画面共有・動作の速さを挙げています。通話はWeb側でも使えますが、Macから通話を多くかけるなら公式アプリを主にするほうが安定します。チャットや検索、メディアの表示は同じ画面なので差はありません。

サイトを窓に入れた場合、リンクデバイスの4台に数えられますか?

数えられます。公式アプリでもタブでも独立した窓でも、アカウントがログインしている場所はすべて1台として計算されます。上限はアカウントごとに4台なので、2つ目のアカウントには別に4台分の枠があります。

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