fluid mac 使い方|いまも動くものと、期限があるもの

fluid mac 使い方を調べている人の入口は、ほとんどが同じです。URLと名前を入れるだけでDockに置ける小さなアプリが作れる道具があった、という記憶があり、それがいまのMacでもまだ使えるのかを確かめたい。結論から書くと、配布は続いていて、多くのMacでいまも起動します。ただし配布版の中身は2018年で止まっており、Apple Silicon機では翻訳実行になり、その翻訳の仕組みには公表済みの終了予定があります。判断すべきなのは「動くかどうか」ではなく「あと何年動くか」のほうです。

この道具が何をしているのか

やっていることは2008年の登場時から変わっていません。サイトのURLを入れ、名前を付け、必要ならアイコン画像を指定して作成を押す。数秒後にはアプリケーションフォルダに1つのアプリが出来上がり、そのサイトだけを独立した窓で開けるようになります。Dockに専用のアイコンが並び、Command+Tabの切り替えにもブラウザとは別の項目として出てきます。

誤解されやすいのは、中で何が動いているかです。サイトから特別なものがダウンロードされるわけでも、ページがネイティブのコードに変換されるわけでもありません。表示しているのはmacOSに含まれるWebの描画エンジンで、バージョン2はプロセス分離に対応したWebKit2の仕組みの上に作り直されています。つまり描画そのものはOSの更新に合わせて新しくなり続けます。古いのは中身のエンジンではなく、それを包んでいる殻のほうです。この区別が、後述する不安のうちどれが実在してどれが的外れなのかを分けます。

費用が障壁になったことは一度もありません。ダウンロードは無料で、作れるアプリの数にも制限がありません。5ドルのライセンスを買うと追加される機能は3つで、ステータスバーへの常駐、ユーザースクリプトとユーザースタイルの利用、そして全画面表示です。公式ページに書かれている有料機能はこの3つだけで、そこに書かれていないものは製品にも無いと考えたほうが安全です。

配布ページの数字が、そのまま現状を表している

公式のダウンロードページには、バージョン2.1、容量6.3MB、動作条件は「Mac OS 10.12 以降」と書かれています。ページの著作権表記は2019年で止まっており、説明文にはAppleが2016年に使うのをやめた「Mac OS X」という呼び方が残っています。バイナリとしての最後の公開はバージョン2.1.2で、2018年10月です。それ以降の更新は公開されていません。

この空白がもたらす影響のうち、他のすべてを上回るものが1つあります。アプリのバイナリを実際に調べて対応状況を記録している第三者のデータベースは、2021年3月に確認した時点で、この道具をx86専用、つまりApple Silicon向けの実行形式を持たないものとして記録しています。AppleがMacの製品群をApple Siliconへ移し終えたのは2023年なので、ここ数年に買ったMacはまず該当します。そうした機種では、このアプリはネイティブでは動きません。Rosetta 2という翻訳の仕組みを通して動きます。

速度の話をしているのではありません。Webページを表示するだけの用途では、翻訳実行による差はほとんど体感できません。問題は、その翻訳の仕組みに終了予定が公表されていることです。

Rosettaの終了予定が、そのまま期限になる

Appleはこの点を推測に委ねず、バージョン番号で示しています。macOS 26.4以降では、Rosettaに依存するアプリを起動したときに、Apple Silicon対応版へ更新するよう促すシステム通知が出る場合があります。そしてRosettaに対応する最後のリリースはmacOS 27で、それ以降はApple Silicon搭載のMacでIntel専用のアプリが起動しなくなります。例外として残るのは、Intelのフレームワークに依存する古い、更新の止まったゲームだけです。Webサイトを包むアプリはその例外に当てはまりません。

2018年から更新が無く、開発の再開も告知されていない道具について、この期限までにApple Silicon対応版が出ることを前提に運用を組むのは危うい判断です。週末に1つ試してみる分には何の問題もありません。毎日使うサイトを8個そこに移すのは、期限付きの土台に生活を載せることになります。

いまも動くこと、もともと無いこと

現行のmacOSでも、中心の機能は動きます。アプリは生成され、Dockにアイコンが並び、タブバーもアドレスバーも無い窓が開き、Mission Controlにも独立した項目として現れます。毎日開く単純なサイトが1つあるだけなら、これで用は足ります。

無いものは、公式ページが一度も書いていないものです。広告の遮断機能、アプリごとの権限管理、メニューバーやサイドバーの表示形式、ユーザーエージェントの切り替え、そしてWebのプッシュ通知に関する動作の記載がありません。通知については特に注意が要ります。Web側から出す通知にmacOSのWebアプリが対応したのは、この配布版が公開されたよりずっと後です。更新履歴も問い合わせ先も動いていない道具では、書かれていないことは機能ではなく賭けになります。

アイコンを差し替えられる点は、かつては明確な長所でした。2010年ごろは他にそれができる手段がほとんど無かったからです。いまはブラウザ内蔵の手段でも専用の道具でも、何らかの形でアイコンを変えられます。この道具を選ぶ理由の1つは、静かに消えました。

すでに入っているアプリが該当するかを調べる

以前この道具でアプリを作った人は、いまもアプリケーションフォルダにそれが残っています。どれが翻訳実行になっているかは、推測しなくても分かります。macOSは実行形式を3か所で表示します。

いちばん速いのはFinderです。対象のアプリを選んでCommand+Iで情報を見るウインドウを開き、上部の「種類」の行を読みます。Intel専用のものは「アプリケーション(Intel)」と表示され、対応済みのものは「アプリケーション(ユニバーサル)」または「アプリケーション(Apple Silicon)」と出ます。

2つ目はアクティビティモニタで、起動中の状態を見たいときに便利です。開いたときに「種類」の列が出ていなければ、列見出しを副ボタンでクリックして表示に切り替えます。動いているすべてのプロセスがAppleかIntelのどちらかで表示されるため、Dockに並べたもののうちどれだけが翻訳実行なのかが一目で分かります。

3つ目はコマンドで、まとめて確認したいときに向きます。アプリのバンドル内の実行ファイルに対して lipo -archs を実行すると、含まれている実行形式が出力されます。結果が x86_64 だけなら、Apple Silicon向けの中身は入っていません。

この確認は一度やっておく価値があります。該当するのが1つだけということはめったに無いからです。古い包み込み型ツール、古いメニューバー常駐アプリ、古いインストーラは同じ時期にまとめて集めていることが多く、macOS 27はそれらを1つずつではなく一斉に使えなくします。

乗り換えるときに失うもの、失わないもの

移行そのものは見た目より簡単です。この種のアプリは、ほとんど何も抱えていません。ローカルのデータベースも独自の保存形式も無く、中身はURLと名前とアイコン、そしてログインの状態だけです。

各アプリが開いているURLを控えます。設定画面から確認できます。名前とアイコンを変更していたなら、それも記録しておきます。あとは現行の手段で作り直し、新しいアプリの中でもう一度ログインします。ログインの状態は入れ物をまたいで引き継がれないためです。古いほうは通常のアプリと同じく、ゴミ箱にドラッグすれば消えます。

引き継げないものが1つだけあります。有料ライセンスで動かしていたユーザースクリプトとユーザースタイルです。囲い込みが効いているのは実質ここだけなので、それに頼っている場合は、乗り換え先がユーザースクリプトに対応しているかを先に確かめてから古いほうを消すのが安全です。

4つの道を並べて比べる

この道具 SafariのDockに追加 Chromeのアプリとしてインストール 現行の専用ツール
費用 無料、5ドルで3機能追加 無料 無料 買い切りまたは継続課金
動作条件 macOS 10.12以降 macOS Sonoma 14以降 現行のChrome おおむねmacOS 15以降
実行形式 Intel専用、翻訳実行 ネイティブ ネイティブ ネイティブ
最終公開 2018年10月 macOSに同梱 Chromeに同梱 更新が続いている
ログインの保管 記載なし Safariと分離 Chromeのプロファイルと共有 アプリごとに独立
通知 記載なし 対応、未読バッジも出る Chrome経由で出る 対応、権限管理付きが多い
アイコン変更 作成時に指定 アプリの設定から可能 サイト側のものが使われる たいてい可能
メニューバー常駐 ライセンス購入で可 不可 不可 対応するものが多い

無料で済ませたいなら、現行のMacではSafariの「Dockに追加」のほうが2018年の配布版より多くのことができます。しかもCookieの保管場所がSafariと分かれているため、同じサービスの2つ目のアカウントを同時に開いたままにできます。Appleの資料はこの挙動をはっきり書いています。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。 出典: support.apple.com

Chromeのアプリとしてインストールを選ぶ理由は限られます。そのサイトがChromeの拡張機能に依存しているか、ログインが特定のChromeプロファイルの中にしか無い場合です。作ったアプリはそのプロファイルのCookieを引き継ぐので、同じサービスの2アカウントは同時に開けません。有料の道具が費用に見合うのは、無料の道が空欄のまま残す行です。メニューバーやサイドバーの表示形式、アプリごとの権限管理、アプリ間のリンクの振り分け、そしてmacOSが変わったときに更新を出す作り手がいること。この4つです。

どのサイトをアプリにする価値があるのか

道具を選ぶ前に決めるべきことがあり、ここを飛ばす人が多い。アプリにする価値があるサイトは、次の4つを同時に満たすものです。

  • 平日は毎日開いている
  • 目的が1つに絞られていて、そこから別のページへ移動する理由がない
  • 時間に関わる知らせが届き、30枚のタブの裏に埋もれると困る
  • タブの列から探し出すのに、1日に何度も数秒を使っている

この条件を通るサイトは、たいてい2つか3つです。メール、チャット、カレンダー、仕事用の管理画面あたりに落ち着きます。月に2回しか開かないものは1つ目で落ちるのでブックマークで足ります。調べ物に使うサイトは2つ目で落ちます。外へリンクをたどることが目的なのに、アドレスバーの無い窓に閉じ込めるのは不便になるだけです。

もう1つの絞り込みは、アカウントの分離が要るかどうかです。同じサービスを仕事用と個人用で使い分けているなら、Cookieの保管場所を分けられる道でなければ成立しません。この条件だけでChromeの選択肢は消えます。先にこの見極めをしておくと、道具の比較そのものが短く済みます。

対応表と料金表から先に読み取れること

道具を選ぶとき、機能の一覧より先に見ると判断が早くなる情報が2つあります。1つは、想定されている使い方の幅です。この種の道具には300以上のプリセットからすぐ作れるものもあり、その一覧を眺めると、チャットとメールに偏っているのか、社内の管理画面のような用途まで想定されているのかが分かります。どんな設定を持つ道具なのかはできることの一覧で確認でき、手順の細かさは使い方ガイドを見れば見当が付きます。どのサイトが最初から用意されているかは対応サービス一覧で確かめられます。

もう1つは費用の形です。買い切りなのか継続課金なのか、対応するmacOSのバージョンがどこまでかを料金で先に見ておくと、あとで乗り換える手間が減ります。判断に迷いやすい点はよくある質問にまとまっています。

そして、これらの道は排他ではありません。通知と2アカウントが要るものはSafariで、拡張機能が要るものはChromeで、メニューバー常駐やリンクの振り分けまで欲しいものだけ専用の道具で作る。長く残る構成は、たいていこの混在型です。2018年の配布版を選ぶ理由が残っているとすれば、それはユーザースクリプトを走らせたいという1点だけで、その1点のために期限付きの土台を選ぶかどうかが、いま決めることになります。

よくある質問

Fluidは2026年のMacでもまだ動きますか?

インストールも起動もできますが、ネイティブでは動きません。最後の公開は2018年10月のバージョン2.1.2で、実行形式はIntel専用です。Apple Silicon搭載のMacではRosetta 2による翻訳実行になり、macOS 26.4以降は起動時に更新を促すシステム通知が出る場合があります。

いつまで使えるのですか?

Appleの公表によれば、Rosettaに対応する最後のリリースはmacOS 27です。それ以降はIntel専用のアプリがApple Silicon搭載機で起動しなくなります。この道具に2018年以降の更新は無いため、対応版が出る前提で運用を組むのは避けたほうが安全です。

5ドルのライセンスは買う価値がありますか?

追加されるのはステータスバーへの常駐、ユーザースクリプトとユーザースタイル、全画面表示の3つです。ユーザースクリプトを走らせることが目的なら費用は小さい。通知やアプリごとの権限管理、メニューバー表示が目的なら、ライセンスを買っても手に入りません。

無料で置き換えるなら何が近いですか?

macOS Sonoma 14以降のSafariにある「Dockに追加」です。独立したアイコンを持つアプリが作られ、CookieはSafariと分かれるため2つ目のアカウントを同時に開けます。通知にも対応し、アプリの設定から名前とアイコンを変更できます。

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