Fluidの費用|無料でできる範囲
Fluidの費用を調べている人がまず知りたいのは、無料でどこまで使えて、お金を払うと何が増えるのかという境目でしょう。結論を先に書くと、本体は無料で、アプリをいくつ作っても料金は発生しません。有料になるのは3つの機能だけで、価格は5ドルの買い切りです。ここでは、その境目の中身、買い方と受け取り方、そして買い切りの費用をどう見積もればよいかを順に見ていきます。
無料でできる範囲はどこまでか
公式のaboutページには、基本版は完全に無料だとはっきり書かれています。ここで言う基本版とは、機能を削った体験版のことではありません。サイトのURLと名前を指定してアプリを作る、という中心の作業そのものが無料の側に入っています。
作れる数にも制限は設けられていません。メール、カレンダー、チャット、社内の管理画面と、開きたいサービスの分だけ作っても費用は変わりません。作ったアプリはアプリケーションフォルダに残り、本体を消しても単体で起動します。ライセンスの認証を毎回確認するような仕組みも、無料の範囲には関わってきません。
一方で、作ったアプリを他人に配ることについては、公式ページに「できればやめてほしい」という趣旨の記述があります。技術的に止められているわけではなく、作者からの依頼として書かれている形です。社内の全員に同じアプリを配りたい場合は、各自に本体を入れてもらって同じ手順で作ってもらうのが、書かれている意図に沿った使い方になります。
無料の中身をもう少し具体的に書いておきます。利用にあたって会員登録は求められず、アカウントを作る画面も出てきません。月額の契約も無く、あとから課金の案内が届く作りにもなっていません。ダウンロードするファイルは6.3MBで、公式サイトには動作にmacOS 10.12以降が必要と書かれています。金額の話に入る前に、この前提を満たしているかどうかを先に確かめておくと無駄がありません。
費用の観点でもう1つ押さえておくとよいのは、無料の範囲で使える機能が、日常の用途のほとんどを覆っているという点です。Dockに専用のアイコンを置く、独立した窓で開く、Command+Tabで切り替える、アイコンを好きな画像に差し替える。タブの海から特定のサービスを救い出すという目的なら、ここまでで足ります。
5ドルのライセンスで開く3つの機能
有料になるのは次の3つです。公式ページには、それぞれどのメニューから使うのかまで書かれています。
- ステータスバーへの常駐。画面上部のメニューバーにアプリを置いて、クリックで出し入れする使い方ができます
- ユーザースクリプトとユーザースタイル。表示しているページにJavaScriptやCSSを自分で足して、見た目や動きを変えられます
- フルスクリーン。窓を画面いっぱいに広げる表示です
この3つを見ると、対象になっているのは「窓の出し方」と「ページの作り替え」であることが分かります。逆に言えば、サイトを普通に表示して使う部分には有料の線が引かれていません。
自分に必要かどうかの判断は、使い方から逆算できます。1日に何十回も出し入れするチャットのようなサービスを扱うなら、メニューバーへの常駐は効いてきます。反対に、朝に開いて夕方まで出しっぱなしにする種類のサービスなら、常駐の価値は小さくなります。ページの一部を隠したい、文字を大きくしたい、といった要望があるならユーザースタイルが該当します。どれも当てはまらないなら、無料のまま使い続けて問題ありません。
買い方と、買ったものの受け取り方
購入の経路は少し変わっています。公式サイトのトップページに並んでいるのは、無料ダウンロード、ライセンスの再発行、不具合の報告の3つで、購入ボタンは置かれていません。購入はアプリ側のメニューから行う形になっています。
支払いはPayPalです。この点は、ライセンス再発行のページを見るとはっきり分かります。同ページには、これまで販売してきたアプリはすべてPayPal経由で購入されているため、PayPalに登録したメールアドレスを入力すれば、過去に購入したすべてのライセンスを再生成して送り直せる、という説明が書かれています。
この仕組みは、買ったあとの管理の手間に直結します。ライセンスキーの控えを失くしても、購入時のPayPalのアドレスさえ分かれば取り戻せます。逆に言えば、そのアドレスを解約したり会社を移ったりすると、手がかりが1つ減ります。Macを買い替える予定があるなら、購入直後に届いたメールを保管用のフォルダへ移しておくのが確実です。
支払いがドル建てであること
価格が5ドルと表示されている以上、日本から買うと円換算の金額は為替で動きます。PayPalの支払いでは、口座の残高から引く場合と、登録したカードから引く場合とで、適用される換算の扱いが変わることがあります。金額が小さいので差額そのものは問題になりませんが、経費として処理する場合は、請求書に出るのがドルの金額なのか円の金額なのかを確認しておくと後の作業が楽になります。
もう1つ、ドル建ての買い切りには発行元の所在地が関わります。この道具は個人の開発者が販売しており、法人向けの見積書や請求書の発行を前提とした販売の形にはなっていません。会社の経費で購入する予定があるなら、支払いの証跡としてPayPalの取引履歴とメールを残す運用になります。この点は、日本の会社が販売している道具と手順が変わるところです。
買い切りの寿命をどう見積もるか
買い切りの価格を評価するときは、金額そのものより「何年使えるか」で割るほうが実態に近くなります。この道具の場合、その分母が公表されています。
配布版が対応しているCPUはIntel系のみで、Appleシリコンのマシンでは翻訳の仕組みを通して動きます。その翻訳の仕組みについて、Appleは期限を公表しています。
Rosettaは現在、Appleシリコン搭載のすべてのMacで利用でき、次のmacOSのメジャーリリースであるmacOS 27まで引き続き利用可能です。macOS 28以降を搭載したコンピュータでは、Intelベースのフレームワークに依存する一部の古いメンテナンス対象外のゲームにのみ、Rosettaの機能が利用可能になります。 出典: support.apple.com
つまりAppleシリコンのMacで使う場合、起動できる期間には上限が見えています。5ドルという金額は、飲み物1杯分と同じ水準です。1年あたりに直しても大きな額にはなりません。判断が分かれるのは金額ではなく、その期間のあとに同じ作業をどうするかを、いま決めておくかどうかのほうです。
なお、Intel搭載のMacを使っている場合はこの期限の話は当てはまりません。使っているMacのCPUによって、同じ5ドルの意味が変わるということです。
無料の範囲で足りるかを確かめる3つの質問
払うかどうかで迷ったときは、次の質問に答えると結論が出ます。
1つ目は、そのサービスを1日に何回開き直すかです。開きっぱなしにするなら、メニューバーへの常駐には出番がありません。10回を超えて出し入れするなら、常駐の有無は作業の速さに直結します。
2つ目は、表示されるページの一部を消したいか、あるいは大きくしたいかです。使わないサイドバーが場所を取っている、文字が小さくて読みにくい、といった不満があるなら、ユーザースタイルが効く場面です。不満が「探すのに時間がかかる」だけなら、独立した窓にした時点で解決しています。
3つ目は、そのサービスを何年使い続ける見込みかです。契約が年度で切り替わる社内システムのように、来年には別の画面になる可能性が高いものなら、無料の範囲で始めておくほうが身軽です。
3つとも「いいえ」なら、払う必要はありません。1つでも「はい」があるなら、金額の小ささを考えると先に試すほうが早く答えが出ます。
無料の経路と並べて費用を見る
同じ「サイトを独立した窓で開く」という目的には、費用のかからない経路もあります。判断材料として並べておきます。
| 経路 | 費用 | 対応CPU | 画面の言語 |
|---|---|---|---|
| ブラウザの「アプリとしてインストール」 | 0円 | ブラウザに準じる | ブラウザに準じる |
| Fluid(無料の範囲) | 0円 | Intel系のみ | 英語 |
| Fluid(ライセンス) | 5ドルの買い切り | Intel系のみ | 英語 |
| 現行のサイトをアプリにする道具 | 無料から買い切りまで | 製品による | 製品による |
費用を数えるときに抜けやすいのが、設定にかかる時間です。プリセットが用意されていないサービスからアプリを作る場合、許可するドメインを自分で調べて書き足す作業が発生します。ログインの途中で別のドメインを踏む設計のサービスだと、ここで30分近く使うこともあります。時給で考えれば、5ドルという金額はその時間より小さくなります。金額の欄だけを横に見て安い順に並べると、この差が見えません。
表にすると分かるのは、費用だけで比べても差が出にくいということです。Chromeなどが持っているインストール機能を使えば0円で窓は作れます。差が出るのは、作ったあとにどこまで手で調整できるか、そしてブラウザ本体の更新や設定変更に巻き込まれないかどうかです。費用を先に見るのではなく、必要な調整項目を先に決めて、それを満たす経路の中でいちばん安いものを選ぶ順番のほうが、結果として無駄がありません。
料金表と対応表から読み取れること
この分野の現行の製品は、無料の範囲を「作れるアプリの数」で区切る形が主流になっています。たとえば料金を見ると、無料で3つまでアプリを作れて、それ以上を作る場合に3,980円の買い切りへ進む、という区切り方が示されています。機能で線を引くのではなく数で線を引く方式で、有料の機能を試せないまま判断する状況が起きにくくなります。
費用を比べる前に確かめておくとよいのが、自分が毎日開くサービスが最初から用意されているかどうかです。プリセットがあれば、ログイン用の別ドメインを自分で調べて設定に書き足す工程が消えます。現行の道具では対応サービス一覧に300以上のプリセットが並んでいます。ここに自分の使うサービスが載っていれば、初期設定にかかる時間はほぼゼロになります。
実際の作業量を見積もりたい場合は、設定項目の一覧を先に見ておくのが早道です。使い方ガイドには作成から調整までの手順が載っており、できることには機能の範囲がまとまっています。費用に関する疑問が残るなら、購入前によく聞かれる点を集めたよくある質問に目を通しておくと、試す前に消せる疑問が減ります。
次に手を動かすなら、順番はこうなります。まず使っているMacのCPUを確かめる。次に、独立した窓に出したいサービスを書き出して、そのうち1日に何度も開き直すものに印を付ける。印が付いたものについてだけ、常駐やスクリプトが必要かを考える。ここまで決まってから、無料の範囲で始めるか、5ドルを払うか、別の経路にするかを選べば、判断を後戻りさせずに済みます。
費用の判断で最後に残るのは、金額ではなく期間です。半年で使い方が変わる可能性があるなら無料の範囲で始めて構いませんし、何年も同じ窓を開き続ける前提なら、更新が続いているかどうかを金額より優先して見るほうが、結果的に安く済みます。
よくある質問
Fluidは完全に無料で使えますか?
本体は無料で、アプリを作る作業に料金はかかりません。作れる数の制限もありません。有料になるのはステータスバーへの常駐、ユーザースクリプトとユーザースタイル、フルスクリーンの3つで、5ドルの買い切りライセンスで使えるようになります。
ライセンスはどこで買えますか?
公式サイトのトップページに購入ボタンはなく、アプリのメニューから購入する形になっています。支払いはPayPalで、購入後はライセンスが発行されます。価格は5ドルで、月額ではありません。
ライセンスキーを失くしたらどうなりますか?
公式サイトに再発行のページがあり、購入時に使ったPayPalのメールアドレスを入力すると、過去に購入したライセンスが生成されてそのアドレスに送られます。アドレスが分からなくなると手がかりが減るため、購入時のメールは保管しておくのが安全です。
5ドルを払う価値があるかはどう判断すればよいですか?
判断材料は使い方です。1日に何十回も出し入れするサービスを扱うならメニューバーへの常駐が効きます。ページの見た目を自分で変えたいならユーザースタイルが該当します。どちらも不要なら無料の範囲で足ります。あわせて、使っているMacがAppleシリコンかIntelかで使える期間の見通しが変わる点も考慮に入ります。