spotify mac app intuneで詰まる理由|配れる形と配れない形
spotify mac app intuneで検索する人の手が止まる場所は、だいたい同じです。Intune管理センターでmacOSを選び、アプリの種類の一覧を開いても、配布されているMac版に当てはまる選択肢が見当たりません。Mac App Storeを指す種類は存在せず、配布物はPKGでもディスクイメージでもないためです。ここで必要なのは根性でパッケージを作ることではなく、何が配れて何が配れないのかを先に切り分けることです。
Intuneが受け付けるmacOSアプリの種類は思ったより少ない
Intuneはアプリをストアアプリ、基幹業務アプリ(LOB)、組み込みアプリ、Webリンク、他のMicrosoftサービス由来のアプリに分けています。このうちmacOS向けに実際に選べるのは、macOSアプリ(DMG)、管理対象外のmacOSアプリ(PKG)、管理対象PKGを入れる基幹業務アプリ、macOS Webクリップ、そしてMicrosoft 365アプリ・Microsoft Edge・Microsoft Defender for Endpointという自社製品の枠だけです。
ここで欠けているものに注目すると話が早くなります。iOSストアアプリの種類もMicrosoftストアアプリの種類もあるのに、Mac App Storeを指す種類がありません。つまりmacOSでは、Microsoft自社製品以外は「ファイルをアップロードする」か「URLへのショートカットを配る」かの二択です。App Storeに任せて配信と更新を丸ごと預けるやり方は、iPhoneでは使えてもMacでは使えません。
この分岐は更新の担当者を決めてしまいます。Microsoftの一覧では、ストアアプリとWebリンクの更新は自動、基幹業務アプリは管理者が更新するものと明記されています。音楽再生のクライアントのように新しいビルドが頻繁に出るものをファイルとして持ち込むと、そのたびに再アップロードするか、Intuneの見えないところでアプリが自分自身を書き換えるかのどちらかになります。どちらを選ぶかを決めずに始めた配布が、半年後に壊れます。
配布されているMac版のインストーラは、アプリ本体ではない
つまずきの核心はここです。Mac向けの配布物はSpotifyInstaller.zipという名前のZIPで、大きさは1,868,156バイト、およそ1.8MBしかありません。中身はInstall Spotify.appという1つのバンドルだけで、その識別子はcom.spotify.client.installerです。再生に使う本体は入っておらず、IntelとApple silicon両対応のこの小さな実行ファイルが、起動してから本体を取りに行きます。
その前提でDMGの条件を読むと、なぜ弾かれるのかがはっきりします。
DMG ファイルには、拡張子が .app ファイルを 1 つ以上含める必要があります。 他の種類のインストーラー ファイルを含む DMG ファイルはインストールされません。 出典: learn.microsoft.com
ZIPはDMGではないので、そのままではアップロードできません。ZIPを開いてDMGに包み直せば、拡張子の条件だけは満たせます。ところがIntuneはDMGアプリを「含まれるアプリ」に並べたバンドルIDで見分けるため、検出されるのはインストーラの識別子であって、本体の識別子ではありません。結果として、本体の取得が終わっていなくても、小さな実行ファイルがアプリケーションフォルダに置かれた時点で成功と報告されます。
前提条件も一通りあります。デバイスがIntuneの管理下にあること、DMGのサイズが8GB未満であること、macOS用のMicrosoft Intune管理エージェントが入っていることの3つです。macOS 13以降では、DMGアプリのポリシーを割り当てた時点でフルディスクアクセスの許可が自動的に要求されます。更新と削除にその権限が要るためです。
正直に言えば、この配布物を素材にIntune用のパッケージを作る道は残っています。ただしそれは、いったんインストールした本体からDMGを自作し、バンドルIDとバージョン検出を自分の責任で持ち、配布物の形が変わるたびに作り直す仕事を引き受けるということです。小さな作業ではありません。
macOS Webクリップは「アプリ」にはならない
一覧の「その他」にWebリンクがあり、その中にmacOS Webクリップが用意されています。URLを入れて割り当てるだけで、ファイルもエージェントもバージョン検出も要りません。手間で言えば最短の道です。
ただし、できあがるものを先に確認したほうがよいです。Microsoftはプラットフォームごとの結果をこう書いています。
- iOSとiPadOSでは、Webアプリへのショートカットがホーム画面に追加される
- macOSでは、利用者が自分でDockにピン留めできるショートカットになる
- Windowsではスタートメニューにショートカットが置かれる
ここで効いてくるのが、全画面表示の設定です。ブラウザを使わずWebクリップを全画面のWebアプリとして起動する設定は、公式の説明でiOSとiPadOS専用と明記されています。マニフェストスコープを無視する設定も同じくiOS系専用です。つまりmacOSでは、押した先はブラウザであり、開いたページは並んだタブの1枚に戻ります。「Dockに独立したアプリを置きたい」という最初の要求は、この経路では解けません。
割り当て方にも注意点があります。必須として割り当てたmacOS Webクリップは、利用者の手では消せません。割り当てを削除しても残るため、消すには先に割り当てをアンインストールへ変更する必要があります。全社に配ってから気づくと厄介です。
ブラウザ再生で変わるのは、見た目より先に音質
Webプレイヤーへ誘導する方針を採るなら、音質の差も表に出しておくべきです。公開されている音質の区分は次のようになっています。
| 再生する場所 | 無料プラン | 有料プラン |
|---|---|---|
| Web Player | AAC 128 kbit/秒 | AAC 256 kbit/秒 |
| デスクトップ・モバイル | 高音質で160 kbit/秒と同程度 | 最高音質で320 kbit/秒と同程度、ロスレスは24ビット/44.1kHzのFLAC相当 |
さらに、ブラウザ側では音質を選ぶこと自体ができません。
Web Playerでは音質を調節できません。アプリをダウンロードすれば、利用できる機能が増えます。 出典: support.spotify.com
事務所のBGMとして流すだけなら、この差は誰も気づきません。一方で、音の仕事をしている部署や、最高音質のために有料プランを契約している人にとっては、Webプレイヤーへの一本化は要求されていない品質低下になります。オフライン再生とローカルファイルの再生も、インストールしたアプリ側の機能です。機内や電波の届かない現場で使う端末が混ざっているなら、配布のしやすさより先にそちらが判断材料になります。
Webプレイヤーを独立したアプリにして、DMGとして配る
3つ目の道は、ショートカットではなく実体のあるアプリを作ってしまうことです。Webプレイヤーを土台にした独立したmacOSアプリを用意し、それを通常のDMGアプリとして配ります。
サイトをアプリにする道具が作るのは、名前もアイコンもDockの枠も持った本物の.appです。これはIntuneのDMGアプリが求める形そのもので、ディスクイメージの中に.appが入っており、バンドルIDは作った側が決められます。「含まれるアプリ」に自分で決めたIDを並べられるので、検出も安定します。Webクリップの限界だった「押すとブラウザに戻る」も起きません。タブバーのない専用の窓で開きます。
3つの道を並べると、判断すべき点は2つに絞られます。
| 比較する点 | 配布物を包み直す | macOS Webクリップ | Webプレイヤーから作る独立アプリ |
|---|---|---|---|
| Intuneでの種類 | macOSアプリ(DMG) | macOS Webクリップ | macOSアプリ(DMG) |
| Dockにアプリとして並ぶ | 並ぶ | 並ばない(ブラウザが開く) | 並ぶ |
| 検出に使うID | 配布元のもの。インストーラ由来で不安定 | 不要 | 自分で決めた固定のID |
| オフライン再生とロスレス | 使える | 使えない | 使えない |
| 更新の担当 | 管理者 | サイト側 | サイト側 |
下の2行を一緒に読むのが要点です。独立アプリを作る道は、パッケージ作成と更新作業の両方を消す代わりに、音質の上限とオフライン再生を手放します。広報や営業の端末には割に合う取引で、音の編集をする端末には割に合いません。
サイトをアプリにする道具の側から見た、配布までの距離
この種の道具を評価するときに見る点は、実は配布の直前に集まっています。
まず、土台に何を使うかです。専用の実行環境を丸ごと同梱する作り方ではなく、利用者のMacにすでに入っているChromium系ブラウザ(Chrome・Brave・Edge・Vivaldiなど)を土台にする作り方があります。この形だと、ブラウザ側の更新にそのまま乗り、拡張機能もログイン状態も引き継がれます。空のプロファイルから始まらないので、配った直後にサインインし直す作業が要りません。どこまでが引き継がれるかはできることに整理されています。
次に、対象のサイトが最初から登録されているかです。300以上のプリセットからすぐ作れる形になっていれば、URLとアイコンを自分で用意する手間が消えます。実際にどのサービスが並んでいるかは対応サービス一覧で確認できます。
最後に、作ったアプリをどう配るかです。手順そのものは使い方ガイドにまとまっていますが、Intuneに載せる前提なら、作った.appをディスクイメージに収めてDMGアプリとして登録し、バンドルIDを「含まれるアプリ」に並べる流れになります。ここまで揃えて初めて、管理センターの一覧に他のアプリと同じ顔で並びます。
なお、どの道を選んでも最後に効いてくるのは検出ルールです。「アプリのバージョンを無視する」を「はい」にすると、Intuneはバンドルの識別子があるかどうかだけを見ます。自動更新の仕組みを持つアプリではこちらが推奨されています。「いいえ」にするとバージョン番号まで一致を求めるので、アプリが自分で更新するたびに不一致として扱われます。この設定はアンインストールの挙動も変え、「いいえ」なら識別子とバージョンの両方が、「はい」なら識別子だけが一致すれば削除されます。あわせて、必須として配ったアプリは利用者ごとのフォルダではなく/Applicationsに入ること、Intuneのエージェント経由で入れたmacOSアプリはデバイスの廃止時に自動では消えないことも押さえておくと、返却端末の扱いで慌てずに済みます。
よくある質問
IntuneでMac App Storeのアプリをそのまま配布できますか?
できません。アプリの種類にはiOSストアアプリとMicrosoftストアアプリはありますが、Mac App Storeに対応する種類は用意されていません。macOSではMicrosoft自社製品以外は、PKGかDMGをアップロードするか、Webリンクとして配るかのどちらかになります。
配布されているMac版のZIPをDMGに包み直せば解決しますか?
拡張子の条件は満たせますが、検出が正しく働きません。ZIPの中身は約1.8MBのインストーラで、識別子もcom.spotify.client.installerです。Intuneはこの識別子を見て成否を判断するため、本体の取得が終わっていなくても成功と記録される状態になります。
macOS Webクリップを配ればDockにアプリが並びますか?
並びません。macOSのWebクリップは利用者が自分でDockにピン留めできるショートカットで、押すとブラウザが開きます。ブラウザを使わず全画面のWebアプリとして起動する設定は、公式にiOSとiPadOS専用と書かれています。
Webプレイヤーを独立したアプリにすると音質は下がりますか?
ブラウザ経由の再生は有料プランでAAC 256 kbit/秒、無料プランでAAC 128 kbit/秒が上限で、音質を選ぶ操作もできません。最高音質とロスレス、オフライン再生はインストールしたアプリ側の機能です。BGM用途なら差は問題になりませんが、音を扱う業務では判断材料になります。